東芝が単眼カメラで撮影した1枚の画像からカラー画像と距離画像を同時に取得できる撮像技術を開発したとのことで、簡単にご紹介します。
■何の役に立つのか?
自動車などでは周辺状況の確認のために複数のカメラやセンサーが搭載されるのが一般的になってきました。自動運転や運転支援テクノロジーの高度化が進んでおり、ドローンやロボット開発においても、カメラによる画像センシングの重要性が高まっています。
これらの用途で、二次元の映像を撮影するだけでなく、対象物の形・動き・距離などの動的な三次元空間の把握が必要になります。
従来ではステレオカメラ(二つのカメラによって三角測量のような原理を利用する)による方法や、ミリ波レーダーなどが使用されていましたが、ステレオカメラでは2つのカメラを間隔をあけて設置する必要性から省スペース化が難しく、ミリ波レーダーによる計測はコスト的に高額になりがちでした。
■今回の技術は何がすごいのか?
今回東芝が開発したこの技術は、独自のカラーフィルターと画像処理の組み合わせにより、カメラで撮影した1枚の画像からカラー画像と高精度な距離情報を得ることが可能です。
レンズ開口部に水色と黄色のカラーフィルターからなるフィルターを取り付けることで、物体までの距離に応じたボケと色ズレを発生させます。
撮影された一枚の画像に発生したボケと色ズレを画像解析することで、物体までの距離が画素ごとに検出可能とのことです。このカラーフィルターは明るさを落としにくい緑色の光を透過させるため、撮影画像の画質劣化を抑えることが可能になっています。
これは一般的なベイヤー型イメージセンサーに搭載されているカラーフィルターアレイがR(レッド)とB(ブルー)に対してG(グリーン)が2倍あるのと同じ理屈のようです。
市販カメラを用いた試作機によると、カメラ間隔が35cmのステレオカメラ並みの距離制度が単眼カメラで撮影した1枚の画像から得られたとの事です。
またレンズと画像処理で構成するシステムであるため、一般的なイメージセンサーを利用して構成することが出来るとういう点でコストを抑えることが可能との事。
画像:東芝
Reported by 正隆