軒下デジカメ情報局にニコン新型105mm F1.4レンズ、AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDの製品画像とスペックが報じられていましたのでご紹介します。
105mm/F1.4という現行ラインアップにはない大口径中望遠レンズとなるこのAF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED。純正・サードパーティ製含め優秀なレンズが多い中望遠レンズの中で、どれほどのインパクトを見せるのでしょうか!?
■AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDのスペック
- 焦点距離:105mm
- 開放F値:F1.4
- 絞り形式:電磁絞り
- 三次元的ハイファイ(高再現性)設計思想採用
- 発売予定日:2016年8月26日
- 量販店価格:税込233,280円前後
■AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDってどんなレンズ?
現代的な機構にF1.4という大胆なコンセプト
105m/F1.4ということで、現行レンズにはないタイプの中望遠レンズとなります。またEタイプレンズということで電磁絞りを採用し、105mmでF1.4ということでかなりの大口径単焦点レンズとなります。
もちろんナノクリスタルコートも採用し、ニコンFマウントのとしてはAF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDを超える価格設定となる最高峰の中望遠レンズとなります。
手ブレ補正は搭載されていませんが、レンズのコンセプトしては必要ない、もしくは大きくなり過ぎるといったことなのでしょう。
画像シミュレーターOPTIAを使用し三次元ハイファイ設計という意味では、AF-S NIKKOR 58mm f/1.4Gと共通しています。
■三次元ハイファイ設計って?
三次元の現実を二次元の画像へ
「三次元ハイファイ」というと聞きなれない言葉かも知れません。一般なレンズの評価指標としてはMTF特性図などがありますが、このMTF特性図などの従来のレンズ評価は、被写体及び像面の関係が平面と平面という前提で評価する方法でした。
無限遠の被写体の場合、無限に遠方の平面から発した光と考えることが出来るため、(被写体側)平面と(撮像面側)平面という測定方法でも問題ありません。
しかし近距離や中距離に被写体がある場合、多くの被写体は三次元の立体であるため、平面上の結像点だけでは全体の評価としてしまうのは不十分ではないか?とニコンのレンズ設計者は考えました。
そこで三次元の被写体に対し、結像点の前後を含めた三次元でレンズの評価基準を設け、それに即して開発を行うことをニコンでは「三次元ハイファイ設計」と呼んでいます。
三次元ハイファイ設計はポートレート写真をどう変えるか?
具体的にどのようなことかと言うと、結像位置の一点だけをシャープに写すのではなく、結像面のシャープネスやアウトフォーカス部のボケ方を高精度にコントロールし、良好なピント面の解像力とボケ味の両立、また距離によって描写特性を最適化しているとのこと。
もちろんニコンだけでなく、多くのカメラメーカー及びレンズメーカーがシャープネスとボケ味の両立を重要な課題としていますが、ニコンでは画像処理シミュレーター「OPTIA」との連携により従来個別の機器で計測していた収差を複合的に計測を行うことでより三次元的な描写特性を向上させる試みがなされています。
特にポートレートレンズなどでは、結像面は開放F値からある程度のシャープさが求められるのが現代の流行です。
しかし単にピント面がシャープで低収差あれば良いというだけでなく、アウトフォーカス部へ変化する際など、被写界深度を外れた瞬間に急激にボケるのではなく、緩やかにボケていくことなどが望まれます。
これが出来ていないと、人物の顔にスリット上にピント面が発生してしまうため、本来なだらかな立体を描く頭部が不自然に見えてしまうというわけです。
ニコン入魂のスーパーポートレートレンズとなるか?
写真は多くの場合、三次元の物体を二次元の画像に変換することになるため、三次元の立体を表現するにあたり単純に収差を減らし解像力を上げるだけでなく、人間の感覚に則した「心地よく自然に見えるための描写設計」が必要になるとのこと。
OPTIAを使用した三次元ハイファイ設計レンズ第一弾となったAF-S NIKKOR 58mm f/1.4Gは、開放F値における近距離での解像力の低さゆえ、従来の測定基準では低い評価を受けことが多かった一方で、実際のユーザーにはその描写が高く評価されました。
より進化したであろうAF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDがどのような写りをするのか、今から楽しみにしたいところです。
Reported by 正隆