FE 100mm F2.8 STF GM OSSはソニー伝説のSTF(スムース・トランスファー・フォーカス)レンズである135mm F2.8 [T4.5] STFから長い時を経て登場した、Eマウントユーザーだけでなく多くの写真ファン待望のEマウント版STFレンズです。
今回は世界最高のボケ味と呼ばれるこのSTFレンズのEマウント版、FE 100mm F2.8 STF GM OSSをご紹介します。
■FE 100mm F2.8 STF GM OSSの概要
FE 100mm F2.8 STF GM OSSの概要は以下のようになっています。
- レンズ構成:10群13枚(APDエレメント含まず)
- 最短撮影距離:0.85m(マクロ切り換えリング0.85m-∞時)、0.57m(マクロ切り換えリング0.57m-1.0m時)
- 最大撮影倍率:0.14倍(マクロ切り換えリング0.85m-∞時)、0.25 倍(マクロ切り換えリング0.57m-1.0m時)
- 焦点距離イメージ:150mm
- フィルター径:φ72mm
- 大きさ:最大径φ85.2mm
- 全長118.1mm 質量:約700g
αマウント用であった135mm F2.8 [T4.5] STFは6群8枚(APDエレメント1群2枚含む)構成でしたが、FE 100mm F2.8 STF GM OSSでは非球面レンズ1枚とEDレンズ(特殊低分散レンズ)を含む10群13枚(APDエレメント含まず)となっており、世界最高と呼ばれるボケ味だけでなく、その他の画質面でも非常に期待できるものとなっています。
■STFレンズってどんなもの?
STFとは「スムース・トランスファー・フォーカス」の略で、アポダイゼーション光学エレメントを採用することでボケ味を劇的に良くしているのが特徴です。アポダイゼーション光学エレメントは、レンズ周辺部にいくほど暗くなるレンズで、グラデーションのかかったNDフィルターのようなものが搭載されたレンズと思っていただければ良いでしょう。
このアポダイゼーションエレメントは絞り機構の近くに配置され、点光源の輪郭を柔らかくしてくれたり、二線ボケの発生を抑制します。前ボケ・後ボケともに柔らかいボケ味を実現しながらも、ピント面のシャープネスにほとんど悪影響を与えないといった特性を持ちます。
このアポダイゼーション光学エレメントによって、αマウントの135mm F2.8 [T4.5] STFは「世界一美しいボケ味をもつレンズ」と言われてきましたが、今回のFE 100mm F2.8 STF GM OSSはそれをさらに超える物であるとソニーは謳っています。
アポダイゼーション光学エレメントを採用したレンズとしては、近年ではフジフイルムがFUJINON XF56mmF1.2 R APDをリリースしていますが、FUJINON XF56mmF1.2 R APDはAPDエレメントの効果が弱く、135mm F2.8 [T4.5] STFのような劇的なボケ味の良さはなく、またAPS-C機用であったこともあり、Eマウント用フルサイズ対応のSTFレンズの登場が待ち望まれていました。
■FE 100mm F2.8 STF GM OSSの作例と特徴
オートフォーカスを搭載した初のフルサイズ対応STFレンズ
FE 100mm F2.8 STF GM OSSの最大の魅力はその美しいボケ味ですが、従来のαマウント用135mm F2.8 [T4.5] STFはマニュアルフォーカスレンズでした。
これはアポダイゼーション光学エレメントを搭載しているため、レンズ周辺部に向かって段階的に暗くなっていくために位相差AFを適切にどうさせることが難しかったためですが、FE 100mm F2.8 STF GM OSSはこの問題を解決し、コントラストAFと像面位相差AFに両対応しています。
これによってFE 100mm F2.8 STF GM OSSはポートレートなどの動体撮影にも使いやすいレンズとなったと言えるでしょう。また静音性の高いSSMを採用することで、動画撮影にも不要なノイズが入りづらい設計となっています。
さらにマクロ域切り替え機能と手ぶれ補正も搭載、盤石の使い勝手を実現
FE 100mm F2.8 STF GM OSSはレンズ本体のリングを使ってマクロ域への切り替えを可能にする「マクロ域切り替え機能」を搭載、最短撮影距離は0.57m、最大撮影倍率は0.25倍を実現しています。
またレンズ内手ぶれ補正まで採用し、防塵防滴まで実現しているFE 100mm F2.8 STF GM OSSは、STFレンズであることに甘んじることなく、現代的な中望遠レンズとして使い勝手を妥協なく追求し、高い使い勝手を実現しています。
高いシャープネスと逆光耐性を実現
FE 100mm F2.8 STF GM OSSは単にボケ味が良いだけではなく、なのARコーティングによる高い逆光耐性を実現しており、さらに非球面レンズやED(特殊低分散)ガラスのの採用によってピント面の高いシャープネスを実現しています。
口径食の発生を抑えた11枚円形羽根絞り
FE 100mm F2.8 STF GM OSSはひきつづき口径食の発生を抑える作りとなっており、画面中部から周辺部に至るまで点光源のボケを円形に保ちます。11枚円形羽根絞りというのは現代のレンズとしては贅を尽くした作りと言えるでしょう。
■FE 100mm F2.8 STF GM OSSの仕様
名称 | FE 100mm F2.8 STF GM OSS |
型番 | SEL100F28GM |
レンズマウント | ソニーEマウント |
焦点距離(mm) | 100 |
レンズ構成 | 10群13枚(APDエレメント含まず) |
画角(35mm/APS-C) | 24°/16° |
開放絞り( F値) | 2.8[T5.6] |
最小絞り(F値) | 20[T22] |
絞り羽根(枚) | 11 |
円形絞り | ◯ |
最短撮影距離( m) | 0.85(マクロ切り換えリング「0.85m-∞」時) / 0.57(マクロ切り換えリング「0.57m-1.0m」時) |
最短撮影倍率(倍) | 0.14(マクロ切り換えリング「0.85m-∞」時) / 0.25(マクロ切り換えリング「0.57m-1.0m」時) |
フィルター径(mm) | 72 |
手ブレ補正 | レンズ内手ブレ補正方式 |
フードタイプ | 丸型バヨネット式 |
外形寸法(mm) | 85.2(最大径)×118.1(長さ) |
質量 | 約700g |
付属品 | |
フード | ◯ |
レンズフロントキャップ | ◯ |
レンズリアキャップ | ◯ |
ケース | ソフトキャリングケース |
その他付属品 | ー |
画像:Amazon
Reported by 正隆