SONY α9を徹底解説!真のゲームチェンジャーとなるか!?

α9

ついにソニーから真のプロ機とも言えるハイエンドEマウントミラーレス機、α9が正式発表されました。

このα9、途方も無いスペックを載せており、まさにキヤノン・ニコンによって寡占状態になっていたプロスポーツカメラ市場に殴り込みをかけるべく登場した初めてのミラーレス機と言えるでしょう。

目次
  • α9特徴概要
  • α9製品外観
  • α9のスペック詳細解説
  • 気になる価格と発売日
  • ソニーはスポーツカメラマン市場を崩せるか?α9Rやα9Sはあるのか?

今回はこの「途方も無いミラーレス機」、ソニーα9をご紹介したいと思います。

■α9の特徴概要


α9のスペック概要

  • 世界初の2,420万画素フルサイズ積層CMOSセンサー
  • RAW:241コマ/ JPEG:362コマまでの連続撮影枚数
  • 連続撮影速度20コマ/秒の超高速連写
  • ブラックアウトフリー連続撮影
  • 無音撮影対応
  • 1/32,000秒までの電子シャッター搭載
  • オートフォーカス測距点:693点(秒間60回のAF / AEトラッキング)
  • ファイル転送用イーサネットポート搭載
  • デュアルSDカードスロット採用
  • バッテリーライフの延長
  • 広範なプロフェッショナル機能に対応
  • シャッタースピード5段分の5軸ボディ内手ぶれ補正搭載

比類無い画質、最速の機動性と多用途性、かつてない使いやすさを実現

ソニーによると、α9は「これまでに発売されたありとあらゆる一眼レフ、ミラーレスをを凌駕する革新的なカメラである」と言っており、その圧倒的な自信を感じさせます。

実際α9は約20コマ/秒の超高速連写や693点というとんでもない、まさに信じられないようなオートフォーカスを搭載、しかもフルサイズの積層CMOSイメージセンサーという最先端のイメージセンサーまで採用しています。

まさにソニーの持てる技術の全てをつき込んだモデルとなっています。

■SONY α9製品外観


正面

α9

α9のフロントデザインはα7と大きく変わらないものの、連写モード&オートフォーカスモードダイヤルが左肩に(向かって右側)に搭載され、より精悍な印象を増しています。

またα9のロゴに関しても、α7シリーズのシルバーからゴールドへと変更されています。

上面

α9

上面から見た場合、左肩に連写モードとオートフォーカスモードの切り替えダイヤルが搭載されているのがわかります。

また一見気づきにくい部分ですが、α7シリーズのレリーズボタンは平らですが、α9はふっくらとした丸みがあり、より高級感と質感を増しています。

右側面

α9

ボディ右側側面を見てみましょう。NFC対応のWi-Fiが搭載されているマークが記載、4K動画と小さく「SteadyShot INSIDE」との記載があります。

SteadyShotは安定した・固定したといったような意味なので、ボディ内手振れ補正を搭載していることがわかります。またデュアルカードスロットを搭載していることが分かるα7よりも縦幅のあるカードスロットカバーと、ロックが採用されています。

左側面

α9

ボディ左側面のインターフェイス端子がまとめられており、カバーの下には有線LAN端子やHDMI端子、マイク・ヘッドフォン端子、シンクロ端子などがあります。

背面

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ボディ背面には左上には誇らしげなゴールドのα9バッジが、右側にはジョイスティックタイプのマルチセレクターが搭載されているのが大きな特徴です。

やはりマルチセレクターはスポーツ撮影では愛用されている方も多く、ソニーとしてはプロスポーツ撮影を視野に入れたα9には是非とも採用したかった操作系だったのかも知れません。

■α9のスペック詳細解説


途方も無いオートフォーカス性能

α9

α9のオートフォーカスは、693点像面位相差オートフォーカスを搭載し、なんと画面内の約93%のエリアをカバーしています。

これまでフルサイズの一眼レフといえばどうしても画面中央部に測距点が固まっており、周辺部で動体を追うことを苦手としていました。

これはEOS-1D X Mark IID5といってオリンピックの定番といえるキヤノン・ニコンのハイエンド一眼レフでさえ克服できなかった弱点でしたが、これに対しα9は約93%のエリアカバー率を誇る途方も無いオートフォーカスシステムを実現しており、まさに「画面のあらゆる部分」で動体追随撮影を行うことが可能になっています。

あらゆる撮影を行える無音・無振動の電子シャッター

α9は機械的なシャッターノイズや振動の全く無い完全電子シャッターを搭載し、しかもこのシャッターは動体歪みも抑制されているとのこと。

クラシックコンサートなど音を出すことが出来ないライブ撮影でもα9は気兼ねなく撮影を行うことが可能で、これはまさに静かな環境での撮影を求められるプロカメラマンにとって大きな魅力となるでしょう。

プロフォトグラファーのさまざまな要望に対応する基本性能

α9

α9はプロ・ハイアマチュアのフォトグラファーにとって使いやすさと信頼性を最大限に高めるため、カメラには従来のNP-FW50バッテリーの約2.2倍となる新型のNP-FZ100バッテリーを採用しています。

また高速な書き込みが可能なUHS-IIに対応したデュアルSDカードスロットを装備、イーサネット(有線LANターミナル)も利用可能で、まさにオリンピックなどの大規模プロスポーツ撮影を想定したものとなっています。

途方も無いイメージセンサー

α9は世界初の2,420万画素積層型CMOSイメージセンサーを採用していおり、まさにイメージセンサー技術で世界最先端の技術を持つソニーだからこそ搭載できた「圧倒的な」イメージセンサーを採用しています。

このイメージセンサーはISO100-51,200までの常用ISO感度、さらに拡張でISO50-204,800までの幅広い感度設定が可能。超高感度領域でも非常に低ノイズを実現しているとのこと。ソニーの最新のフルサイズ積層型CMOSイメージセンサーであれば、その高感度性能は間違いなく最高レベルのものが期待できることでしょう。

当然14bit RAW記録にも対応し、幅広いダイナミックレンジを実現しています。

史上最強のフルサイズ高速連写機

α9

さらにこのイメージセンサーは、新型のBIONZ Xプロセッサーと組み合わされることで、20コマ/秒という途方も無い高速連続撮影を実現しています。

この高速連写はAF/AEのトラッキング性能も桁外れで、毎秒60回ものオートフォーカス及び露出の計算を行えるとのこと。これはなんとあのα7R IIから約25%もの高速化とのことで、ソニーの技術革新の凄さを感じさせる部分となっています。

しかも!α9はJPEGで362枚、RAWでさえ241枚もの連続撮影を実現しており、単なるカタログスペックではなく、実用性の面でも抜かりなく作り込まれています。

最高の光学ファインダーをも超える最高の電子ビューファインダー

α9

α9の電子ビューファインダーは連写中でも途切れることなくライブビュー映像を提供し続けます。そのためハイエンドの一眼レフでも実現できない「常に被写体を追い続ける」ということが可能で、ミラーレスだからこそのブラックアウト時間の撤廃を実現しています。

ソニーは「EVFでは動体を追えない」は過去のものとしただけでなく、「EVFでなければ動体を追えない」と言わしめるための偉大な一歩を踏み出したと言えるでしょう。

またこのEVFは368万ドットの新型高解像かつ従来比2倍の輝度を持つ高輝度有機EL電子ビューファインダーを採用しています。勿論このEVFの接眼レンズにはツァイスのT*コートを採用しており、加えて接眼部のアウターレンズには指紋や汚れが付着しにくく、また付着した際にも拭き取りやすいフッ素コーティングを採用しているとのこと。

ファインダーのフレームレートは60fps及び120fpsに設定可能で、動体撮影時にも最適に動作します。

手ぶれ補正も最高峰!

α9

α9にはシャッタースピード約5段分の5軸ボディ内手ぶれ補正という、これまた最高峰の手ぶれ補正を搭載しています。

この手ぶれ補正はシャッターボタンを半押しするだけでファインダー映像や液晶モニター上でも映像が安定するため、フレーミングやオートフォーカスのチェックを快適に行うことが可能です。

大規模スポーツイベントに対応した画像転送システム

α9

α9はスタジオだけでなく大規模なニュースイベントやオリンピックレベルのスポーツイベントにも対応できるよう、FTPサーバへのファイル転送を実現するために有線LAN端子を搭載しています。

今回ソニーはα9の発表に合わせて新型フルサイズ対応Eマウント超望遠ズームレンズ、FE 100-400mm F4.5–5.6 GM OSSも発表しており、こちらも本格的なプロスポーツを想定したものとなっています。

またシンクロ端子も搭載し、クリップオンストロボだけでなく、さまざまなライティング機材への有線でのダイレクトな接続を可能にしています。

ある意味クラシカルなシンクロ接点をこれだけコンパクトなミラーレス機に採用したことが、α9がプロ機であることの証明でもあるように思います。ラジオスレーブやフォトセルによる光通信がある現在でも、本体から有線で大型ストロボを繋げられるというのは万が一の時でもスタジオのライティング機材と繋げられるというのは大きな安心感となります。

シンクロ端子がないとマルチインターフェースシューに対応したアダプターを「忘れずに」持っていく必要がありますが、シンクロ接点さえあれば、シンクロコードは多くのスタジオに常備されていますから、ラジオスレーブが出来ない状況でも、ほとんどのスタジオではライティングを組むことが出来るというわけです。

迅速な操作を実現するジョイスティックと操作性

α9には新たにボディ背面にジョイスティックを搭載しています。このマルチセレクターで測距点の選択を素早く行うことが出来ます。

EOS-1D X Mark IID5といったハイエンド一眼レフでは当たり前となっている操作系ですが、このコンパクトボディにジョイスティックを搭載した点はソニーの「α9をプロスポーツの現場で使って欲しい」という意気込みを感じさせる部分です。同時にAF ONボタンを搭載、親指AFにも対応しています。

またEマウントで初めてとなる電子ビューファインダー&タッチスクリーン液晶モニターを搭載。これまで要望の多かった問題に応えた形です。

細かな部分としては30個までのカスタムメニュー登録が可能で、必要な時には即座に呼び出すことが可能です。

α9は別売の縦位置バッテリーグリップVG-C3EMに対応。縦位置撮影でも横位置撮影でも変わらぬ操作性を実現。ポートレート撮影やバッテリーライフを要するスポーツ撮影で高い威力を発揮し、USB充電にも対応しています。

ついに採用された待望の新型長寿命バッテリーとデュアルSDカードスロット

α9

α7シリーズはその性能は高く評価されていたものの、バッテリーライフに関しては大型のバッテリーが搭載でき、光学ファインダーによってバッテリーの消費を抑えられる一眼レフに対して苦戦してきました。

しかしα9では遂に新型の大容量バッテリーNP-FZ100が採用、α7シリーズから約2.2倍という劇的な長寿命化を果たしています。

またプロフォトグラファーにとって「非常に重要な」バックアップのために、デュアルカードスロットを採用、SD/SDHC/SDXCに対応しているのは勿論、UHS-II対応となっており、高速連写や4K動画といった高解像動画でもストレスなく対応できるようになっています。

動画に関しては少し疑問?

α9は静止画だけでなく、動画においても4K動画記録は勿論のこと、画素混合なしでフル画素の読み出しを行い、それをオーバーサンプリングすることで非常に高精細で深みのある高品質な4K映像を実現しています。

さらにα9はフルハイビジョンで最大100Mbps/120fps記録が可能。スーパースロー映像の撮影にも対応しています。

ただし、4K/60pには非対応とのことで、ソニーの技術力であれば4K/60pを搭載するだけであれば可能だったはずで、ボディサイズと放熱の関係を考えて見送ったということなのかもしれません。

プロフォトグラファーの過酷な撮影環境にも対応するタフネス構造

α9

α9は41ヶ所ものシーリングが施された高い防塵防滴性能を実現しています。プロフォトグラファーの厳しい撮影環境下においても存分にその力を発揮します。

ダイヤルはボタンよりも防塵防滴構造を施しにくいと言われていますが、これだけ多くのダイヤルと小型ボディを採用しながらガッチリと防塵防滴を実現しているあたりもプロスポーツで使って欲しいというソニーの意気込みが感じられます。

またプロスポーツ撮影のシーンだけでなく、さまざまな屋外撮影において安心感を感じられる構造は、風景・野生動物を撮影される方にも大きな魅力といえるでしょう。

大口径超望遠レンズの使用も想定したα9は重いレンズを使用してもたわみの起こりにくいマグネシウム合金ボディを採用しています。初代α7ではマウント部の脆弱性が悪い意味で話題になった事もありましたが、α9はそうした点にも十分な配慮がなされ、さまざまな過酷な使用環境に対応できるとのこと。

ハイエンド機として驚異的な小型軽量ボディ

α9 EOS-1D X Mark II

α9はその驚異的なスペックばかりが注目されがちですが、もちろんソニーフルサイズミラーレスといえばその驚異的なコンパクトボディは健在。

プロスポーツ撮影に対応したプロ機でありながら、外形寸法は約126.9×95.6×63mm。重量は約673g(CIPA準拠)となっています。

α9とα7R IIを比較した場合、α7R IIは約126.9×95.7×60.3mm、約625g(CIPA準拠)であるため、なんとα9α7R IIと比較してほぼ同じ大きさとなっています。バッテリーなどが新型になっているため重量は48gほど重くなっているものの、この驚異のスペックをこのサイズで実現した点は驚愕です。

■気になる価格と発売日


α9の価格に関してですが、B&Hでは4,499ドル(日本円換算で約49万円程度)と発表されており、ソニーUKのプレスリリースによると2017年6月発売とのことです。

思ったよりも発売が早く、価格も高価ではあるものの、EOS-1D X Mark IID5と比較するとむしろリーズナブルとなっています。α9が今年前半で最も注目されるスーパースペックのハイエンドミラーレス機となることはまちがい無いでしょう。

■ソニーはスポーツカメラマン市場を崩せるか?α9Rやα9Sはあるのか?


現実にはα9でスポーツカメラマンたちが一斉にαに流れるようなことはないと思いますが、それでも果たしてα9はソニーがスポーツカメラマンの市場に参入するための第一歩と出来るのか、Eマウントユーザーのみならず、多くのカメラファンにとって非常に注目される一台となりそうです。

また今回α9は途方も無いスペックではあるもの、画素数に関しては比較的バランスのとれたものを採用しており、ソニーがこの後より高画素バージョンであるα9Rや低画素バージョンのα9Sも送り出してくるのかについても興味は尽きません。

しかし何よりもまず、この「とてつもないミラーレス機」であるα9がカメラ市場でどのように暴れまわるのかを存分に見届けたいと思います。

画像:SONY,Camera Size

Reported by 正隆