結婚式場や披露宴会場へのカメラマンの持ち込みはあり?なし?

披露宴
Photo by ひらはらあい

結婚式や披露宴をプロフォトグラファーに依頼して撮影する際、その式場付きのカメラマンに依頼する場合と、外部のカメラマンに依頼して撮影する場合があります。

とある結婚式場が、外部のカメラマンを新郎新婦が雇って持ち込む場合、それが仮に新郎新婦の友人であっても「使用する機材に応じて高額の持ち込み料を請求する」ということを行っていたため、ネット上で話題になりました。

これに関してITmediaのねとらぼが関係各所に取材を行ったとのこと。そこで今回はこの外部カメラマンの持ち込みの話題をご紹介します。



■問題の始まり


この話が起きた経緯

問題の発端はネット上に掲載されたとある結婚式場の注意喚起チラシで、その内容は「スナップ写真外部業者のお持ち込みについて」という題名で、


”当園は、外部業者のお持ち込みをお断りしています。

お客様のご都合でお持込み希望される場合は、持込料を頂戴いたします。

ご招待の有無に拘わらず、下記の機材及びそれに準ずる機材をご使用の場合はプロと判断し所定の持ち込み料を頂戴いたしますので予めご了承下さいますようお願い申し上げます。”


といった文章の後、「持込み料金のご案内 100,000円(税別)」という記載と、該当する機材として、キヤノン・ニコンの一眼レフ中級機以上とクリップオンストロボの機種名が記載されています。

機材によって料金を徴収するシステムに対する人々の反応

つまり、中級機以上の一眼レフボディもしくはクリップオンストロボを持ち込む方は招待の有無に関係なく(つまり友人や親族であっても)プロカメラマンと見なし、10万円+税を徴収するといった内容になっています。

これに対しネット上では、一部肯定的な意見もありましたが、多くがこの結婚式場に対し批判的な意見が占めました。

■式場はなぜこうした行動に出るのか?


なぜ式場は外部カメラマンのも持ち込みを嫌うのか?

式場で結婚式を上げた方はご存知だと思いますが、式場付きカメラマンへの依頼は非常に高価なオプションとなっている場合がほとんどです。

また撮影自体はそれほどではなくても、データ料金や写真集が高価になっており、結局は高くつくようなカラクリがなされていることがほとんどです。

利益を上げたい式場側と費用を抑えたい新郎新婦

結婚及び結婚式はさまざまな部分でお金がかかるため、新郎新婦としては「外部のカメラマンに依頼したほうが安く出来るならそうしようかな」となるケースが増えています。

式場側としては写真撮影のオプションは提携している撮影会社のカメラマンに仕事を振ることで中間マージンをとれるため、利益率が高く、是非とも獲得したいオプションです。そのため外部カメラマンを持ち込ませないために、「じゃあ外部カメラマンの持ち込みは有料にしよう」という独自ルールを作ります。

それに対し新郎新婦は、「じゃあプロカメラマンではなく、(実際は外部のプロカメラマンだが)友人ということにして招待しまえばいい」という抜け道を探したり、あるいは「知り合いの写真趣味の◯◯さんに頼んでみようか」といった発想に至るというわけです。

そうした抜け道を塞ぐため、式場側は、「じゃあ友人だろうが親族だろうがデカい一眼レフ持ってくる人はプロカメラマンと見なす」というさらなる独自ルールを作ることで、何が何でも式場付きの提携カメラマンを使わせようという戦略に出ます。

つまり「利益を上げるために何としても提携している式場付きカメラマンを使わせたい」という式場側と、「なるべく費用を抑えたい」という新郎新婦のいたちごっことなっているわけです。

■関係各所の反応


ねとらぼが関係各所にインタビューを行っているため、それぞれの意見を見てみましょう。

注意喚起チラシを配布した式場の回答

ねとらぼは実際に「スナップ写真外部業者のお持ち込みについて」というチラシを配布した式場にもインタビューしています。


ねとらぼ:どうして持込料を請求しているんですか?

式場:式場のカメラマンを使っていただきたいので、抑止のための費用として請求しています。これらの費用は契約前にきちんと説明し新郎新婦に納得していただくようにしています。

ネット上でチラシが出回ったことは把握しており、現在ではこのチラシの使用はやめています。以前は、契約前の説明に約款、細則に加えてこのチラシを使用していましたが、現在は約款・細則のみで説明しています。

ねとらぼ:10万円は高額だと思うのですが?

式場:スナップ写真の外部業者を入れる際の持込料が10万円です。金額が10万円である根拠は申し訳ありませんが私の立場では存じ上げません。

ねとらぼ:持込料を無料にする予定はないのでしょうか?

式場:持込料につきましては契約前にしっかり説明し、新郎新婦に納得いただいた上で契約するようにしています。ブライダル業界も厳しい現状がありますのでお客様の持込料に対する不満の声がどんどん大きくなるようであれば、検討しなくてはいけなくなるかもしれませんが、現時点でただちに持込料を無料にする予定はありません。

ねとらぼ:友人が高級なカメラを何も知らずに持ち込んだ場合も、やはり10万円請求されてしまうんですか?

式場:実際にご友人の方が高級なカメラを持ち込んだことで、新郎新婦に請求することはありません。あくまでも外部業者を防御するための対策です。

外部業者がご友人のふりをして入ろうとすることはありますが、実務としては打ち合わせの時点、例えば席次表を見た時点でなんとなく分かります。その時点で新郎新婦と相談しています。


ちなみにここは有名な結婚式場で私もこの式場がどこか知っていますが、ねとらぼの記事では式場名は非公開になっていますので名前は伏せさせて頂きます。

注意喚起チラシ内での表現が、「当式場」ではなく「当園」となっている点でお察し頂ければと思います。

公益社団法人日本ブライダル文化振興協会

結婚式場の業界団体である公益社団法人日本ブライダル文化振興協会によれば、「外部業者が友人のふりをして撮影をすることがあり、その対策の一環ではないか」とのこと。

「カメラの機材を指定して持込料を請求する」という対応は結婚式場業界で一般的とまでは言えず、特に持込料に関して業界統一のルールは作っていないという回答。

また持込料の上限を決めるなどはしていないが、加盟業者に対しては契約前にきちんと説明するように通知しているそうです。

特定非営利活動法人京都消費者契約ネットワークによる意見書

適格消費者団体である京都消費者契約ネットワークは、2007年に日本ブライダル文化振興協会に対し、「持ち込みを一切禁止にしたり、不当に高額な持込料を定めたりしないよう加盟業者へ指導すべき」との意見書を提出しています。

その中の一部を抜粋してお伝えします。全文はこちらから(※PDF)

特定非営利活動法人京都消費者契約ネットワーク
画像:京都消費者契約ネットワーク(http://kccn.jp/)

消費者の持込を一切禁止したり不当に高額の持ち込み料を定めることは、消費者に一方的に不利な契約となる可能性が考えられ、独占禁止法で禁止される「不当な取引制限」にあたる可能性があること。

また、持ち込みを一切禁止することは合理的根拠に乏しく、消費者に一方的な不利な条項となり、このような条項の無効を定めた「消費者契約法10条に反する」と考えられるという見解を示しています。

この例では衣装・引き出物が例に出されていますが、結婚式・披露宴会場が提携する業者を優遇するために、持ち込みの一切を禁止したり不当に高額の持ち込み料を徴収されることがないように指示・通知するべきであるとの見解を示しています。

独立行政法人国民生活センター

一方国民生活センターによると、

「たまたま知り合いにカメラマンがいたので、友人に撮影をお願いしていた。しかし当日に業者は入れないとプロ扱いされ、プロは中に入れないといわれた」

という相談事例があるとのこと(この事例はどこの式場かは不明)。当日のトラブルになることもあるので、契約前、事前打ち合わせの際にきちんと式場と話し合うことが大切と説明しています。

■より良い結婚式を安心して行うために


というわけでこの問題、皆様はいかが思われたでしょうか?

結婚式場も商売ですから式場側が用意している写真撮影サービスの価格を設定する権利があり、それ自体はたとえ高額であっても料金の説明が新郎新婦に契約前にしっかりなされていれば問題は無いかと思います。

しかしながら京都消費者契約ネットワークの意見書にも書かれているように、式場側が新郎新婦に対し「持ち込みを一切禁止すること」や「不当に高額な持ち込み料を要求すること」は独占禁止法に抵触する恐れがあるとのこと。またこうした「持ち込みを禁止する行為」に対する世間的な印象は良いものではないことも事実です。

いずれにせよ大切な結婚式ですから、当日のトラブルにならないよう、契約前にしっかりと説明を受け、新郎新婦と式場側の双方が納得のいく形で契約されることが望ましいでしょう。

参考:ねとらぼ
画像:京都消費者契約ネットワーク(※PDF)

Reported by 山﨑将方