世にはさまざまなレンズマウントが存在しますが、レンズマウントは長い間そのメーカーを象徴するまさにそのメーカーの看板とも言えるレンズ交換式カメラの顔です。
というわけで今回は代表的なレンズマウントの特徴をご紹介します。
■EFマウント
EFマウントの概要
- 主な採用メーカー:キヤノン
- 名称の由来:「Electro-Focus」の頭文字である「E」と「F」からEFマウントとなった
- マウント径:54.0mm
- フランジバック長:44.0mm
売れてるだけじゃない、未来を見据えた完全電子マウント
現在最も人気のあるマウント、それがキヤノンEFマウントです。
完全電子化マウントとして登場し、現在でもトップランナーであるキヤノンEFマウントですが、EFマウントも1987年の登場ですから実に30周年となります。
登場から30年経つ現在でも第一線として活躍できるその実力から、EFマウントが非常に先見の明のあるマウントだったことが分かります。
マウント径は54mmということで35mm判のマウントとしては非常に大きな口径となっています。オートフォーカスや絞り機構の完全電子制御を早い段階で実現し、現在も大きな仕様の変更を必要とせず使われています。
しかし超広角から超望遠、またマクロも魚眼もアオリレンズも何でもありのラインアップこそEFマウント最大の魅力なのかもしれません。
■Fマウント
Fマウントの概要
- 主な採用メーカー:ニコン
- 名称の由来:ニコン初の一眼レフNikon Fで、これは一眼レフのReflex(レフレックスミラー)の「F」をとったもの。そのためマウントもFマウントと命名された
- マウント径:44.0mm
- フランジバック長:46.5mm
不変でありながら進化を続けるマウント界の大御所
レンズマウント界の重鎮とも言えるのがニコンFマウントです。
1959年の誕生以来なんと58年間もの間カメラ業界に君臨し続け、今なお進化を続けています。そのため機能的な制限はあるものの、Fマウントであれば非常に古いレンズであってもマウントアダプターなしで使用できるケースが多々あります。
しかしその長い歴史ゆえにさまざまな改良が加えられ、細かい仕様変更を繰り返してきたことによって、「世界で最も複雑なレンズマウント」と呼ばれることもあります。
Fマウントの互換性を正確に全てを把握することは、尋常ならざる知識が必要で、相当なニコンマニアでも細かい機能制限を全て記憶するのは難しくなっています。
その難解さゆえに取っ付き辛さもあるものの、徐々に理解していく過程においてマニア心をくすぐられるというのもFマウントの魅力なのかもしれません。
なにしろ長い歴史の上に現在でもプロアマに広く使われているため、Fマウントもそのレンズラインアップは何から何まで揃っているという充実ぶりです。
■Kマウント
Kマウントの概要
- 主な採用メーカー:ペンタックス
- 名称の由来:King of SLR(Single Lens Reflex)の頭文字の「K」に由来
- マウント径:45.0mm
- フランジバック長:45.46mm
「一眼レフの王」の名を持つマウント
ペンタックスKマウントは1975年に登場したアサヒペンタックスK2から採用されており、42年もの歴史を持つ老舗マウントです。
Kマウントの「K」は「King of SLR」(一眼レフの王様)の頭文字のKをとったものですが、ペンタックスのミラーレスマウントQシリーズのQマウントは「Queen of DILC mount」(レンズ交換式デジタルカメラマウントの女王)の頭文字のQから取られたもので、Kマウントが王様、Qマウントが女王様というわけです。
■Eマウント
Eマウントの概要
- 主な採用メーカー:ソニー
- 名称の由来:フランジバックが18(Eighteen)mmであることからEighteenの頭文字の「E」を採用
- マウント径:46.0mm
- フランジバック長:18.0mm
ミラーレス界に革新をもたらしたフルサイズ対応マウント
2010年に発表されたEマウントは、非常に短いフランジバックによってさまざまなメーカーのフィルムレンズをマウントアダプターを介して使用できるということで、マウントアダプターブームのきっかけともなりました。
また世界初のフルサイズミラーレス機の実現の礎ともなったこともEマウントの大きな功績と言えるでしょう。
当初は少ないと言われたレンズも現在ではかなり充実しており、同じくソニーが展開するAマウントレンズもマウントアダプターでかなりの互換性を実現していますが、純粋なEマウントレンズだけでも多くの撮影ジャンルに対応できる状況が整ってきました。
■マイクロフォーサーズマウント
マイクロフォーサーズマウントの概要
- 主な採用メーカー:オリンパス、パナソニック
- 名称の由来:4/3型のイメージセンサーを採用した事からシステム名がフォーサーズに、ミラーレス化する際にそれを小型化したことからマイクロフォーサーズとなったことに由来
- マウント径:40mm
- フランジバック長:20mm
レンズ交換式カメラの新時代を切り開いたミラーレス最大派閥のマウント
2008年に登場したマイクロフォーサーズマウントは、ミラーレスマウントとしては最古参の老舗マウントとなります。
マイクロフォーサーズ規格はパナソニックとオリンパスによって策定され、前身となった一眼レフシステムであるフォーサーズマウントから大幅なフランジバックの短縮と6mmの小径化がなされさらに小型化を極めています。
小型であるがゆえに大型のイメージセンサーに対応できないといった弱点もあるものの、それまでの一眼レフには不可能であった劇的な小型化を果たし、ミラーレスカメラの大きな潮流を作りました。
ミラーレスのレンズマウントとしてはシェア・レンズ本数共に現時点では最多であり、基本的にはオリンパスとパナソニックで共用することが可能です。
■Xマウント
Xマウントの概要
- 主な採用メーカー:フジフイルム
- 名称の由来:不明
- マウント径:43.5mm
- フランジバック長:17.7mm
新しいのにクラシカル、不思議な魅力を持つマウント
フジフイルムのXマウントは2012年の誕生でミラーレスとして比較的若いマウントです。フランジバックはEマウントよりもさらに浅い17.7mmとなっており、APS-Cサイズのイメージセンサーまで対応しています。
現在ではズームレンズも増えてきましたが、登場当初は単焦点レンズのラインアップを充実に力を入れたことや絞りリングを搭載したことが他のメーカーにはないXマウントのマニア心をくすぐるレンズラインアップの特徴となっていました。
Reported by 正隆