美術鑑賞や望遠撮影の下見時など、「もっと大きく細部を見たいが双眼鏡を持ち歩くのは億劫」といった場合に活躍するのが単眼鏡です。
そこで今回は単眼鏡の選び方とオススメの単眼鏡をご紹介します。
■単眼鏡の選び方
単眼鏡の倍率はどれがいい?
実は単眼鏡にも手ぶれ補正機能のついたモデルもあり、そうしたタイプであれば多少倍率が高くてもブレを軽減してくれます。
ただ単眼鏡の大きな魅力として「小型軽量で持ち歩きやすい」という点があります。防振単眼鏡はどうしても大きくなってしまうため、携帯性を重視したい場合には手ぶれ補正機構のない一般的な単眼鏡が選択肢となるでしょう。
その場合、あまり倍率の高い単眼鏡はブレが目立ちやすいため、倍率としては4〜6倍程度が使いやすいでしょう。
単眼鏡の明るさはどう比較すればいい?
双眼鏡と同じく、単眼鏡も他の要素が同じであればレンズ口径の大きいモデルほど高価にな、また重量も増してしまいます。
しかしだからと言って口径の小さいものを選んでしまうと、美術館や観劇のような薄暗い場所では映像が暗く感じてしまう場合があります。
単眼鏡の明るさはレンズの有効径が同じでも、倍率が高くなると暗くなる点に気をつけましょう。そのため例えば、
といった2つの単眼鏡があった場合、4×12とか6×16というのは、有効径12mmで倍率が4倍、有効径が16mmで倍率が6倍という意味であるため、一見すると有効径が16mmで大きいマルチモノキュラー 6×16の方が明るい単眼鏡のように見えますが、実際には倍率の低いマルチモノキュラー 4×12の方が明るいモデルとなっています。
倍率が同じであれば基本的にレンズ有効径が大きい単眼鏡の方が明るいと考えてもらって構いませんが、倍率が異なる単眼鏡の明るさを比較する場合は、仕様表の「明るさ」の部分を比較すると良いでしょう。この「明るさ」の数値がより数値の大きい方が明るい単眼鏡となります。
最短合焦距離とは?
単眼鏡選びのもう一つのポイントとして「最短合焦距離」とか「至近距離」といったものがあります。
これは「どれだけ近くのものにピントを合わせられるか?」を表記したもので、例えば最短合焦距離が0.6mと書かれていれば、「60cmから無限遠(遠景)までの距離であればピントを合わせられる」ということで、言い換えれば「60cmよりも近いものにはピントを合わせる事が出来ない」という意味です。
そのため、例えば美術鑑賞などで近づいて見る場合が想定される場合には、ある程度最短合焦距離が短いモデルを選んでおかないと、うっかり近づいて見ようとするとピントが合わないという事が起こる場合があります。
見え味の良し悪しは?
この見え味は明るさや倍率といったカタログ上である程度判別できる要素と異なり、実際に見てみないと分からない部分があります。
また、短時間で判別するにはある程度双眼鏡や単眼鏡を見慣れている必要があり、初めて単眼鏡を選ぶ方にとって店頭で単眼鏡の見えの良し悪しを判別するのは難しい部分もあるでしょう。
「カタログスペック上はさほど差がないように見えるのに価格には大きな開きがある」といった場合がありますが、ハッキリ言って「見え味は値段なり」という場合が多いのも事実です。
■おすすめ単眼鏡
ビクセン:マルチモノキュラー 4×12/6×16
機種名 | マルチモノキュラー 4×12 | マルチモノキュラー 6×16 |
倍率 | 4倍 | 6倍 |
対物レンズ有効系 | 12mm | 16mm |
プリズム材料 | BK7 | BK7 |
実視界 | 11.5° | 9.3° |
見掛視界 | 46.0° | 55.8° |
1000m先視界 | 201m | 157m |
ひとみ径 | 3.0mm | 2.7mm |
明るさ | 9.0 | 7.3 |
アイレリーフ | 15.0mm | 12.0mm |
至近距離 | 約0.2cm | 約0.25cm |
高さ×幅×厚さ | 5.8×3.1×3.3cm | 7.0×3.1×3.5cm |
重さ | 49g | 59g |
ニコン:モノキュラーHG 5×15D/7×15D
機種名 | モノキュラーHG 5×15D | モノキュラーHG 7×15D |
倍率 | 5倍 | 7倍 |
対物レンズ有効径 | 15mm | 15mm |
実視界 | 9.0° | 6.6° |
見掛視界 | 43.0° | 44.0° |
1000m先視界 | 157m | 115m |
ひとみ径 | 3.0mm | 2.1mm |
明るさ | 9.0 | 4.4 |
アイレリーフ | 15.8mm | 12.0mm |
最短合焦距離 | 0.6m | 0.8m |
高さ×幅×厚さ | 71×30×30mm | 71×30×30mm |
重さ | 75g | 75g |
ビクセン:アルテスモノキュラー HR 6×21
機種名 | アルテスモノキュラー HR 6×21 |
倍率 | 6倍 |
対物レンズ有効系 | 21mm |
プリズム材料 | BK7 / SK15 |
実視界 | 8.7° |
見掛視界 | 49.1° |
1000m先視界 | 152m |
ひとみ径 | 3.5mm |
明るさ | 12.3 |
アイレリーフ | 17.5mm |
至近距離 | 約0.6m |
高さ×幅×厚さ | 10.2×3.5×3.5cm |
重さ | 147g |
五藤光学研究所:GT-M518
機種名 | GT-M518 |
倍率 | 5倍 |
対物レンズ有効径 | 18mm |
明るさ | 13.0 |
ひとみ径 | 3.6mm |
実視界 | 10.0° |
1000m先視界 | 175m |
アイレリーフ | 17.9mm |
最短合焦距離 | 0.5m |
高さ×幅×厚さ | 104×36×41mm |
重さ | 約150g |
■一つは欲しい単眼鏡
単眼鏡、それはあなたのベストフレンド
美術館で双眼鏡はやや人の目が気になりますし、使うかどうか分からないような場合も双眼鏡は持っていくかどうか悩ましいところでしょう。
単眼鏡は片目で見る分、見え味では双眼鏡には敵いませんが、いつでも持ち歩けるその気軽さは双眼鏡にはない魅力です。
是非美術鑑賞や旅行のお供に、また写真撮影の小道具として単眼鏡をポケットに忍ばせてみてはいかがでしょう?
画像:Amazon
Reported by 正隆