PhotoshopやLightroomで有名なアドビ システムズ 株式会社は教育フォーラム「2017 Adobe Education Forum」において、日本の生徒と教師を対象とした、学習、クリエイティビティ、将来の仕事についての認識に関する調査結果を発表しました。
調査によると12歳から18歳までの日本の若者たちは、自分たちを「創造的」とは捉えておらず、自らを「創造的」と回答した生徒はわずか8%でした。
そこで今回はこのアドビの日本の教育者と若者を対象に行ったアンケートの結果をご紹介します。
■日本人には創造性が足りない?
アンケート結果
12歳から18際までの世代の2,521人の生徒と、1,016人の教師を対象にしたアンケートとなっています。
アンケート内容 | 日本 | 世界平均 |
自分を創造的と思う?(生徒) | 8% | 44% |
将来仕事で何らかの創作に携わっている?(生徒) | 43% | 78% |
自分の生徒を創造的と思う?(教師) | 2% | 27% |
将来何かを作る仕事をしていると思う?(生徒) | 43% | 78% |
創造性が求められる仕事は一握り?(生徒) | 69% | 24% |
創造性が求められる仕事はたくさんある?(生徒) | 31% | 76% |
創造的であることは成功する上で必要?(教師) | 86% | 89% |
授業では創造性をより重視すべき?(教師) | 73% | 71% |
アクティブラーニングは効果的な学習法か?(生徒) | 35% | 68% |
アクティブラーニングは効果的な学習法か?(教師) | 52% | 79% |
調査結果から伺える日本の問題
調査によると、12歳から18歳までの日本若者たちは自分たちを「創造的」とは捉えておらず、自らを「創造的」と回答した生徒はわずか8%でした。
この割合はグローバルの同世代(平均44%)に比べて著しく低い結果となりました。同様に生徒を「創造的」であると回答した日本の教師は2%に留まり、グローバル平均の27%を大きく下回る結果となりました。
つまり、日本の若者は自分自身でも教師の側から見ても「創造性が足りない」と考えているとのこと。
また、日本の若者はグローバルの同世代に比べ、「将来何かを作る仕事をしている」と考える割合が低く(日本:43%、グローバル:平均78%)、「創造的であること」は特別なこと、限られた人のことを指すと考えている可能性が高いことが分かりました。
一方、グローバルでは「創造性が求められる仕事や職業はたくさんある」と回答した生徒は76%(日本:31%)に上りました。
しかしこれは若者だけでなく、中高年であっても同じであるように思います。そこには個性をむしろ協調性が足りないという風に悪い方へ歪曲して捉える日本の風潮が大きく影響を与えている気がします。
これからは創造性なくして生きていけない時代に
一方で日本でもグローバルと同様に、創造性は将来の成功において重要であると捉えられており、生徒、教師ともに「授業では創造性をより重視すべき」であると認識しています。
教師は、創造性を養うためにもアクティブラーニングやビデオやポッドキャストなどインタラクティブなデジタルメディアの導入が効果的であると考えているにもかかわらず、現状の学習方法は読み書き中心の座学であり、カリキュラムがそこまで追いついていないと回答しています。
AIやロボット技術が加速度的に進化していく現代において、創造性のない職業はAIやロボットに取って代わられると警鐘を鳴らす人々もいます。
今後は「社会的に成功するため」というレベルではなく、「生き残るために」という次元で創造性が求められる時代になっています。
写真に関しても、「綺麗に撮る」という技術面はカメラの進化や知識の普及によってかなりの部分カバーされており、「どのようなコンセプトの作品を目指すか?」という創造性の方がより重視される時代なのかも知れません。
若者の生きる力、新しい価値を創造する力を育むことができる学校教育を実現していくことが不可欠であるとアドビは結論付けています。
調査対象
この調査はアドビがEdelman Intelligenceに委託し実施したもので、日本の500人の生徒(12~18歳)と、それを教える200人の教師を対象としてオンラインで実施されました。
調査期間は2017年5月26日から6月1日です。米国、英国、オーストラリア、ドイツにおける調査は、2016年9月26日から10月6日の期間に2,521人の若者とそれを教える1,016人の教師を対象に実施されました。
Reported by 正隆