上面表示パネル肯定派・否定派の皆さんこんにちは。
一眼レフ時代、上面表示パネル(肩液晶)は多くのメーカーの中・上級機に広く採用されてきました。
しかし近年では、同クラス同士で一眼レフよりも小型の傾向があるミラーレスカメラにおいて、貴重なスペースやコストを使って上面表示パネルを搭載する必要があるのか?という議論が起きてきました。
そこで今回は、この上面表示パネルがミラーレスカメラでも必要か不要かについて考えてみたいと思います。
■上面表示パネルを採用するメーカーと採用しないメーカー
上面表示パネルがあるメーカー
まずはミラーレスカメラで、上面表示パネルを搭載した機種があるメーカーと無いメーカーはどこなのかを見てみましょう。
メーカー | あり/なし | 機種 |
キヤノン | あり | EOS R |
ニコン | あり | Z6、Z7 |
ソニー | なし | ー |
富士フイルム | あり | X-H1、GFX 50S |
オリンパス | なし | ー |
パナソニック | あり | LUMIX G9、LUMIX S1、LUMIX S1R |
ペンタックス | なし | ー |
ライカ | あり | LEICA SL |
現行機のみ対象、またソニーTLM機はカウントせず。 |
こう見ると、過半数のメーカーはミーラレスカメラでも上面表示パネルを採用したモデルがあることが分かります。
次に、上面表示パネルを搭載する理由について考えてみたいと思います。
■上面表示パネル(肩液晶)を採用する理由
ステータス性
ミラーレスの上面表示パネルが表示される理由の一つに、「上面表示パネルが上位機種の証のようなイメージがある」という点があるでしょう。
これは実はデジタル一眼レフ時代ではなく、AFフィルムカメラの時代からあるものです。
上面表示パネル否定派の方からすれば馬鹿げたことであるように思われるでしょうが、元々シルバーが主流であったカメラがブラックに主流を移したのも、憧れから始まったものでした(写り込みを防ぐために黒になった、またはプラスチックになったので黒になった等は後付けで考えられた理由が流布された誤った情報であり、元々は単なる戦場カメラマンに対する憧れから始まった流行でした)。
勿論現代のミラーレスカメラで上面表示パネルにステータスを感じるかどうかは別ですが、コストの問題や大柄なボディの方が上面パネルを搭載しやすいといった理由から、一眼レフ時代長らく上面表示パネルが中・上級機のシンボルとなっていたことも事実でしょう。
省電力による常時表示
一眼レフ時代においては、基本的に上面表示パネルは電源オンの状態では常時表示されているため、スリープ状態となっている背面モニターを復帰させなくても、設定状態を確認出来るというメリットがありました。
特に(メモリーカードの)残り撮影可能枚数などはバッテリーさえ入っていれば、電源を切った状態でさえ知ることが出来ました。
こうしたメリットは、上面表示パネルが背面モニターよりも省電力となっている事に由来しています。
但し一眼レフでは殆どの機種でこれらのメリットを実現していたものの、ミラーレスでは電源オフの状態では完全に消えてしまう上面表示パネルもあるため、一概に電源オフ状態でも設定を確認できる機種ばかりでは無くなっています。
可動式の背面モニターの普及でローポジション撮影時の上面表示パネルの価値は下がった
チルトやバリアングルの可動式モニターが無かった時代、あるいはそうした可能式モニターが搭載されていない機種でのローポジションの撮影は、背面モニターが見辛いために、上面表示パネルは利便性がありました。
しかし現在では多くの機種で可動式モニターが採用されるようになったため、ローポジションの撮影時の設定などでは背面モニターを動かしてライブビュー撮影した方が、構図等も同時に確認しながら撮影できるため多くの人にとって使い勝手が良いと感じるでしょう。
情報量が少ない事による見易さ
上面表示パネルで表示できる情報は背面モニターでも表示することが可能です。
そう考えると「大は小を兼ねる」理論で、背面表示があれば上面パネルは無くても良いように思いますが、背面モニターのライブビューを切った状態ではかなりの情報が表示され、その情報量がかえって見づらいという欠点もあります。
それゆえに絞り値やシャッタースピードといった必要最小限の設定を確認する場合には、上面表示の方が情報量が制限されているぶん視覚的に理解しやすい場合があります。
背面モニターよりも暗所で眩しく感じにくい
背面モニターは通常の設定のままだと、夜景撮影や星野撮影、ホタルのような夜間撮影では、暗い場所に慣れた目に眩しく感じてしまうもの。
折角暗所に目が慣れていても、明るい背面モニターを見た事で目がリセットされてしまい、再び暗い被写体に目を移すと見辛く感じてしまうケースがあります。
近年ミラーレス上級機に搭載されている反転液晶は、パネル全体を照明で明るく照らすのでは無く、表示のみが発光するようなもの、あるいはそう見えるものが増えており(背面モニターの輝度設定を変えるよりも)暗所でもより眩しさを感じにくいものとなっています。
上面表示パネルには、暗闇に慣れた目を維持しながら設定を変えられるという利点があるわけです。
■結局ミラーレス時代に上面表示パネルは必要なのか不要なのか?
有れば有るなりの、無ければ無いなりのメリットがある
上面表示パネルが有る場合と無い場合を比較すると、
- 上面表示パネルがあるメリット
- 一部の人には上級機としてのステータス性を感じる
- 機種によっては電源オフ時でも撮影可能枚数等を確認できる
- 省電力による常時表示
- 情報量が少ないゆえの確認のし易さ
- 暗所に慣れた目に眩しく感じにくい
- 上面表示パネルがないメリット
- 上面表示パネルの代わりにボタンやダイヤルを搭載できる
- より小型化できる
といった違いがあります。
結局のところミラーレス時代における上面表示パネルは「有るなら有るなりの、無いなら無いなりの」双方のメリットがあるため、一概にミラーレスでも上面表示パネルは必要か不要かという結論は出し難いと思います。
ただ、キヤノン・ニコン・富士フイルム・パナソニック・ライカがミラーレス機でも上面表示パネルを採用していることから、当面上位機には上面表示パネルが搭載されていく流れではあるのかも知れません。
Reported by 正隆