今年はもっと美しく!キレイな桜の撮り方白書~22個の秘訣~

毎年この時期になると、待ち遠しくてウズウズしている方も多いのではないでしょうか?そう、日本の心、桜のシーズンが近づいてまいりました。

桜の撮り方白書

白や淡いピンク、花びらの形状もさまざまな桜は、私たちの心を和ませ、また写欲を湧かせてくれる魅力的な被写体です。でもいざ桜の前に経つと、構図や色の表現など悩みどころがたくさん…桜の撮り方って難しいと感じている方も多いはず。

そんな手強い桜撮影のコツを今から覚えて、3月下旬~4月上旬のシーズンを徹底攻略してみませんか?

全国の桜・写真ファンの皆さま、必見です!



■桜撮影の基本


撮影する場所

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Photo by 正隆

お花見スポットは全国にたくさんあり、迷ってしまいますね。

近くの公園や川岸に桜並木があればお手軽ですが、もし選べるのなら背景に壮大な山並みがあるとか、背景が菜の花畑とか、桜の木が1本だけポツンとある周囲が開けた場所とか…そういった贅沢なロケーションを狙ってみても面白いと思います。

写真は有名な目黒川の桜並木をマジックアワーに狙いました。

撮影する時期

桜は地域によって開花時期がだいぶ変わります。桜(ソメイヨシノ)の開花予想はこちらで確認することができます。事前によく調べて計画を立てましょう。

桜は咲き始めほど色が濃く、散り際は白っぽく変化します。もしピンク色の桜が撮りたければ、五分咲きから満開までを狙って行くといいでしょう。引きの画でも絵になるのは満開の桜ですので、混雑はしますが一般的にはやはり満開がオススメです。

撮影する時間帯

撮影する時間帯はできるだけ朝がオススメです。朝は太陽が低い位置にあり柔らかな印象の光になりますが、正午だと太陽は真上にあるため花びらの強い影が出やすくなります。

特に桜は下に向かって咲く特徴があるため、他の花よりも余計に影が出て暗くなってしまう(逆光になりやすい)のです。どうしても正午に撮りたいときは、思い切って明るめの露出補正をするか、日中シンクロという手もあります。

また日中に限らず、夕日に照らされた桜や、早朝のドラマティックな桜、ライトアップされた夜桜も趣きのある写真になります。

花粉症対策をする

桜のシーズンは、残念ながら花粉真っ盛りの季節。花粉症の方はなにはともあれ、花粉対策が重要です。お薬を忘れないでくださいね!また、花粉対策に有効な特別なマスクも市販されているので、参考にしてくださいね。

■桜撮影のカメラ設定


露出補正

白っぽい桜が画面いっぱいにあると、カメラの露出計は「明るすぎる」と判断して、露出を抑えて(暗めに)写してしまいます。そこで桜をアップで撮る場合は、露出補正を0.3EV~1EVほどプラスに設定するのが基本です。逆光など場合によってはもっと大胆なプラス補正が効果的です。

ホワイトバランス

ホワイトバランスをオートや太陽にしていると、桜の温かい色味が出せずに寒々しくなってしまうことがあります。そんな時はホワイトバランスを黄色み寄りに設定してみるのも方法です。さらにマゼンタを強くするとピンク色を強調することができます。やり過ぎないように注意しつつ、見た目のイメージに近づけて撮ってみましょう。

ピクチャースタイル

普段はピクチャースタイルなどの描写の設定を「スタンダード」にしている方が多いかと思いますが、メリハリのある描写なら「風景」、桜の鮮やかさを出すなら「ビビット」など、使い分けてみるとより印象的な作品に仕上がります。

さらにふんわり感を出すなら

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Photo by ひらはらあい

より柔らかく優しい印象を強調したいなら、ピクチャースタイルの詳細設定で「明瞭度」を低く設定してみましょう。レタッチで加工するようにふわっと幻想的な印象になりますが、撮影後もとに戻すことはできないのでスタンダードなデータの記録も忘れないでくださいね。

■まずはよく観察しよう


桜に限らず花の撮影で大切なのは、いきなりカメラを構えて目についた花を撮るのではなく、まずはよく観察することです。

人間の知覚は都合のいいもので、ぱっと花を見て「キレイだな」と思った瞬間、ごちゃごちゃした背景は目に入らなかったり、本当は花弁が痛んでいるのにまるで完全な状態に見えたりと、理想的なイメージを脳で補完してしまうところがあります。

ですので、キレイだなと思った瞬間に慌ててカメラのシャッターを切った写真は、「現実の背景」や「ありのままの花弁の状態」を突き付けられて、写真としてはいまいち…ということがしばしばです。

鑑賞して美しい物を写真としてキレイに見せるのは、写真ならではのテクニックが必要です。

まず第一歩としてよく観察して、たくさんの桜の中から撮影するに相応しいベストな桜を、そのときの光線状態も含めて吟味しましょう。観察の中からその被写体の魅力を引き出すアングルやフレーミングが見えてきます。

■遠景の桜を撮る!


圧縮効果を利用する

焦点距離の長いレンズを使用することで、奥にある物が近くに迫って見える効果があります。圧縮効果についてはこちらの記事でも解説しています。

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Photo by 正隆

これを活かせば桜並木の木と木の間の距離が縮まって見え、桜に密集感が生まれます。広角レンズで撮るとスカスカになって寂しい時でも、ゴージャスな雰囲気を演出できる方法です。

水面の写り込みと一緒に撮る

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Photo by ひらはらあい

川や池に写った桜も合わせて写しこみ、作品性を高めましょう。桜自体と写り込みの比率をバランス良く仕上げるのがポイントです。この作品では菜の花の黄色がアクセントになり、画面により華やかさを添えています。

また、あえて花見客を消さずに残していますが、画面右上の一部なので煩くなりません。どうしても人が絶えない場所では無理して消そうとせずに効果的に配置することを考えれば、その場の雰囲気をうまく伝える写真になります。

ランドマークと一緒に撮影する

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Photo by 正隆

この作品はスカイツリーの見える隅田公園にて、三脚を立てて撮影したものです。このように桜だけではなく、インパクトのある建築物と一緒に撮影すれば魅力的な観光写真のようになります。

事前に桜の位置を調べ、どのようなアングルで撮れば理想的な構図になるか調べておけば万全です。有名撮影スポットではシビアな場所取りになるので、大変ですが粘っていきましょう。

風に揺れる花や桜吹雪を写す

シャッタースピードを遅くすることで、風に揺れている花びらと止まっている木というように、動きにメリハリをつけることができます。手持ちではブレやすくなるので三脚を使用するといいでしょう。

桜吹雪を撮るとき、桜をピタッと止めたい場合はシャッタースピードを速くし、ブラすことで動感表現をしたい場合はシャッタースピードを遅めにします。夜桜の場合はフラッシュを焚くことで、散る花弁まで写すことができます。

桜は咲き初めのころは、いくら待ってもなかなか散りません。満開を過ぎ桜が散り始めたころ、強い風が吹く日が狙い目です。構図をしっかり決め、落ち着いて撮るために三脚を立てるといいでしょう。

背景は木の幹など、暗いところを選ぶことで桜吹雪を目立たせることができます。また背景を青空にする場合、PLフィルターで青さを濃くすればより引き立ちます。

■アップの桜を撮る!


順光で空の青さを出す

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Photo by ひらはらあい

天気のいい日に順光で見上げるように撮影すれば、空の青さが桜を引き立てるスパイスになってくれます。彩度を少し上げればさらに空の青さと桜の赤みが強調されます。お持ちであればPLフィルターを使ってみるのもいいでしょう。

花びらの重なりが影になって気になる部分は、あとでシャドーを持ち上げたり部分的に露出補正をすることでカバーできます。

ストロボを使う

桜は日中シンクロで花びらの影を消すというテクニックもあります。花は自然光でしか撮らない方も多いと思いますが、ストロボを炊くとひと味違った印象の写真になるのでぜひやってみてください。

直射だとコントラストが高くてシャープな印象に、何かにバウンスさせたりディフューザーを使えば柔らかな印象になります。

メジロと一緒に撮る

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Photo by ひらはらあい

写真は1月に咲く寒桜ですが、梅などと同じようにメジロと一緒に撮影することができました。静かなところに咲く桜ならこうした野鳥がやってくるチャンスがあります。

望遠レンズがないと厳しい(写真はトリミングしたもの)ですが、愛らしいメジロはじっくり狙う価値あり。チャンスがあればぜひ撮ってみましょう。

前ボケを利用する

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Photo by ひらはらあい

ピントを合わせるメインの花びらを奥に、他の花びらがレンズの近くになるようカメラを寄せて絞りは開放に。ふわっとした桜の前ボケが出来上がります。キュートな桜のイメージにぴったりな撮り方で特別な機材も必要ありませんので、ぜひ試してください。

背景の色にこだわる

背景は青空だけではありません。例えば黒い幹なら引き締まった力強い写真に、葉の緑なら爽やかな印象に、まったくイメージの異なる演出が可能です。桜の枝は普通動かせないはずなので、自分が動いて適切な背景を探してみましょう。

■ちょっと変わった桜の撮り方


わざとフレアを入れてみる

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Photo by ひらはらあい

光源に向かってカメラを構え、わざとフレアを発生させてみるのも一つの方法です。

白くもやっとした効果は、儚げな桜の雰囲気に意外と合うもの。遠景でもアップでも一味違った作品になりますのでぜひお試しください。ただし、ゴーストはあんまり似合わないかも…。

雨に濡れた花びらを撮る

せっかくの桜の時期に少しでも雨が降ってしまったらがっかりですよね。でも雨に濡れた桜の花びらもいいものなんです。日本人ならではの情緒を携え、傘をさしてさっそく撮りに出かけましょう!

トイカメラモードを使ってみる

トイカメラやデジカメにあるトイカメラモードの機能を使って、桜を撮ってみるのも一興です。青空が濃くなったり、周辺光量落ちになって桜が強調されたり、意外な効果が期待できます。

散った花びらを撮る

満開の桜は素敵ですが、それが散ったあとに雪のように積もった桜のカーペットも見応えがあります。水面に浮かんでいる花びらも風流ですね。桜の写真はアイデア次第でさまざまな表現が考えられます。固定観念にとらわれず、自分だけの演出を見つけてください。

■桜と人物のポートレートを撮る!


女性を撮る

Photo by ひらはらあい

単なる記念写真っぽくならないコツは、大胆に桜に寄ってポーズを付けてみましょう。

女性と桜の優しい雰囲気を活かすには、指先まで意識すると表情豊かなポートレートになります。手の届く位置に咲いている桜を探し、積極的に前ボケとして取り入れるのもオススメです。

できるだけ余計な人工物は排除して、被写体の女性には腕時計など生活感のあるものを外してもらったほうが、ファンタジックな雰囲気を演出できます。

子供を撮る

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Photo by ひらはらあい

この時期はお子さんの入学式なども重なるケースが多く、せっかくなら記念として桜を背景にした写真を残しておきたいですよね。カメラマンがしゃがんでお子さんを見上げるようにすれば、背景いっぱいに高い位置に咲く桜を写し込むことができます。

お子さんを撮影するコツは、手早い撮影のセッティング。飽きられないように先に背景と構図を決めてから、お子さんに立ってもらう位置を指示しましょう。

きっちり撮れたらあとは自由に遊んでもらって、自然な表情のスナップショットをたくさん撮ってあげるのがオススメです。

桜の中という贅沢なロケーションでのスナップ撮影は、一生の思い出に残る一枚が生まれるかもしれません。

■桜は日本の心


咲き始めから満開~散り際まで、私たちを楽しませてくれる桜。あっという間の短い期間ですが、今から計画を立てて撮影をエンジョイしたいですね。一枚でも多く傑作が生まれることを祈りつつ…。

Reported by ひらはらあい