キヤノンAPS-Cフラッグシップ機のEOS 7Dシリーズは野鳥撮影やスポーツ撮影などに非常に人気の高い大ヒットモデルです。
現行はEOS 7D Mark II(7D2)ですが、競合機であるニコンD500は非常に高いスペックで登場したこともあり、EOS 7D Mark II後継機であるEOS 7D Mark III(7D3)にも高い期待がかかります。
果たしてEOS 7D Mark IIIはどんな機種になるのでしょうか?今回はEOS 7D Mark IIIの詳細スペックを予想してみたいと思います。
■画質面での進化点は?
イメージセンサーはどうなる?
EOS 7D Mark IIは約2020万画素デュアルピクセルCMOSイメージセンサーを採用していますが、その後発売されたEOS 80Dに関しては2420万画素のデュアルピクセルCMOSイメージセンサーを採用しています。
画素数アップよるデータ量の増大は連写速度に影響を及ぼします。また高感度性能などのバランスを考えると、EOS 7D Mark IIIが大幅な画素数をアップをするとは考えにくく、EOS 7D Mark IIIも、EOS 80Dと同じ約2420万画素デュアルピクセルCMOSイメージセンサー、もしくは同程度の画素数のデュアルピクセルCMOSイメージセンサーを採用してくるものと考えられます。
EOS 7D Mark IIの画像処理エンジンはデュアル DIGIC 6となっています。しかし画素数と秒間コマ数を上げ、4K/60pなどの動画性能が期待されるとなれば、EOS-1D X Mark IIに搭載されているデュアル DIGIC 6+、もしくはデュアルDIGIC 7が必要となるでしょう。
高感度性能は?
またこれに伴い高感度性能はEOS 7D Mark IIの常用ISO感度がISO100~16000、EOS-1D X Mark IIがISO100〜51200ですから、EOS 7D Mark IIIではISO100〜25600程度まで順当に引き上げてくるのではないかと予想されます。
D500が常用ISO感度ISO100~51200ですが、キヤノンは正常進化を好むメーカーですから、妥当な範囲でまとめて来るのではないかと思います。
■オートフォーカス性能はどうなるのか?
優れたAF性能と競合機の存在感
オートフォーカス性能は動体撮影を得意とするEOSシリーズの大きな要となる部分です。
EOS 7D Mark IIの65点全点クロスタイプセンサーという非常に豪華なオートフォーカスモジュールですが、ニコンの対抗機であるD500は後発という事もあり、マルチCAM 20Kオートフォーカスセンサーモジュールを採用、153点(うち99点クロスタイプセンサー)という画面周辺部までカバーしたモジュールセンサーとなっています。
EOS 7D Mark IIIではより測距点を増やしカバーエリアを広げるか、現在は中央のみのデュアルクロス測距点を増やし、解放F8対応を大幅に拡張してくるものと考えられます。
またEOS 7D Mark IIでは、中央1点のみ-3EVまでの低輝度に対応していますが、D500やD5では、中央では-4EV、その他の測距点全てで-3EVに対応しています。
ライバルに対抗出来るオートフォーカス
このD500のオートフォーカス性能の劇的な進化は、フラッグシップであるD5と同じオートフォーカスモジュールをAPS-C機に搭載しているためで、EOS 7D Mark IIIでもフラッグシップであるEOS-1D X Mark IIと同じオートフォーカスモジュールを採用する可能性はあるかも知れません。
しかしながらオートフォーカスモジュールはボディサイズに影響を与えるため、事前に同じオートフォーカスモジュールを搭載することを前提に設計されたD5とD500の関係と同じようにEOS-1D X Mark IIとEOS 7D Mark IIIに同じオートフォーカスモジュールを搭載出来るとは限りません。
EOS 7D Mark IIIでは現行機にはない新型オートフォーカスモジュールを採用する可能性が高いと考えるのが妥当でしょう。その上で測距点数やカバーエリアを増やし、全点での解放F8測距対応と中央測距点での-4EV対応を実現してくるのではないかと予想します。
■最大の売り、連写性能はどうなる?
APS-C機最強の高速連写を目指して
EOS 7D Mark IIは秒間約10コマを実現した一眼レフAPS-C機では最速クラスのモデルとなっています。後継機であるEOS 7D Mark IIIでは当然この部分での進化も期待されるところで、後発のニコンD500に追いつかれはしたものの、動体撮影を得意とするキヤノンとしては連続撮影枚数は譲れない部分でしょう。
EOS-1D X Mark IIではミラーの位相を検出してより高精度な制御を行い、加えてモーターのパワーと応答性を上げることで、APS-C機よりも大幅に質量の大きいミラーを動かすフルサイズ機でありながら、最大秒間16コマを実現しています。
EOS 7D Mark IIが正常進化した場合、AF追随で最大約12コマ/秒程度は確実に実現してくるでしょう。
■気になる記録メディアは?
さて次世代メディアへと変わりつつある記録メディアですが、EOS 7D Mark IIはCF+SDXC(UHS-I)のデュアルカードスロットです。
EOS 7D Mark IIIでは画素数や連写速度のアップ、何よりも4K動画に対応せねばなりません。
動画が上がれば静止画が上がる、静止画が上がれば動画が上がる
EOS 7D Mark IIでは、静止画撮影時はRAW:約24枚(約31枚)、RAW+JPEGラージ/ファイン:約18枚(約19枚)までの連続撮影が可能ですが、仮にEOS 7D Mark IIIが2400万画素/秒間12コマまで性能アップされ、EOS 7D Mark IIと同等のバッファメモリーであると、RAWはわずか1.6秒間程度、RAW+JPEGでは1.2秒程度しか連写が続きません。
EOS-1D X Mark IIでは、CFカードではRAW記録で約73コマの連続撮影出来ますが、CFastカードを使用することで約170コマへと大幅に連続撮影枚数を増やすことが出来ます。 キヤノン開発者によると、4K/60pの動画の場合CFカードでは最長で10秒程度しか記録出来ないとのこと。
機能性を利便性の両立のために
静止画に関してはバッファメモリー量を増加させることである程度連続撮影枚数を増やすことが可能ですが、APS-CフラッグシップであるEOS 7D Mark IIIにはEOS-1D X Mark IIで採用された4K/60p動画記録も搭載される可能性が高いと考えられます。その場合CFastメモリーカードが必要になってきます。
かと言ってデュアルCFastカードスロットは安価なSDカードを使えず、利便性を損ねてしまいます。最高性能と利便性、そのバランスをとった場合、EOS 7D Mark IIIでは、CFast+SDXC(UHS-II)のデュアルカードスロットが採用される可能性が濃厚と言えるでしょう。
■動画性能はどうなる?
EOS 7D Mark IIIの動画機能に関してですが、恐らくはEOS-1D X Mark IIと同等の4K/60pやFull HD/120p記録が搭載されるのではないかと考えられます。
後継機も画像処理エンジンは2機搭載
EOS-1D X Mark IIはデュアル DIGIC 6+で4K/60pを実現しており、EOS 7D、EOS 7D Mark IIとデュアル DIGICを採用していることを考えると、EOS 7D Mark IIIもまたデュアル DIGIC 6+もしくはデュアル DIGIC 7を搭載してくると考えられます。
■ボディデザインは?
完成されたデザイン
EOS 7Dシリーズに限らず、キヤノン上級機はデザインに関してはキープコンセプトが伝統で、大きな変化はせず、同時に僅かに変えてきます。EOS 7D Mark IIIもEOS 7D Mark IIと僅かにデザイン変更になるものの、遠目には区別をつけるのが難しい程度の変化となるでしょう。
■EOS 7D Mark IIIの発売時期は?
通常サイクルよりも早まる可能性が高い発売時期
予想されるEOS 7D Mark IIIの発売時期に関しては、EOS 7D(2009/10/2発売)とEOS 7D Mark II(2014/10/30発売)の発売周期を考えると2019年秋となります。
しかし競合機である後発のD500が非常に強力なスペックとなっており、EOS 7D Mark IIIはある程度前倒しされる可能性もあるのかも知れません。
■EOS 7D Mark IIとEOS 7D Mark IIIの仕様比較
EOS 7D Mark II vs EOS 7D Mark III(予想)仕様比較 | ||
機種 | EOS 7D Mark II | EOS 7D Mark III |
有効画素数 | 約2020万画素 | 約2420万画素 |
撮像素子 | 約22.4×15.0mm | 約22.3×14.9mm |
画像処理エンジン | デュアル DIGIC 6 | デュアル DIGIC 7 |
記録媒体 | CF(Type I、UDMA 7対応) SDXC(UHS-I対応) |
CFast(CFast 2.0対応) SDXC(UHS-II対応) |
ファインダー視野率 | 上下/左右とも約100% | 上下/左右とも約100% |
ファインダー倍率 | 約1.00倍 | 約1.00倍 |
アイポイント | 約22mm | 約22mm |
シャッタースピード | 1/8000~30秒 | 1/8000~30秒 |
ストロボ同調速度 | 1/200秒 | 1/250秒 |
秒間コマ数(AF追随) | 最高約10.0コマ/秒 | 最高約12.0コマ/秒 |
連続撮影枚数(RAW/14ビット) | 約24枚 | 約170枚 |
連続撮影枚数(JPEG/FINE) | 約130枚 | Full |
常用ISO感度 | ISO100~16000 | ISO100~25600 |
最高ISO感度 | ISO51200 | ISO102400 |
フォーカスポイント | 65点 | 65点 |
クロスタイプセンサー | 65点 | 40点 |
デュアルクロスタイプセンサー | 1点 | 25点 |
F8対応測距点 | 1点 | 65点 |
AF検出範囲 | -2~+18EV | -4~+18EV |
調光センサー | 15万画素RGB+IR測光 | 約36万画素RGB+IR測光 |
動画記録形式 | MOV | MOV |
動画記録画素数 | 1920×1080:FHD 1280×720:HD 640×480:SD |
4096×2160:4K 1920×1080:FHD |
フレームレート | FHD:59.94p/50.00p FHD:29.97p/24.00p HD:29.97p/24.00p SD:29.97p/25.00p |
4K:60p/30p/24p FHD:120p/100p/60p/50p FHD:29.97p/25p/24p |
圧縮形式 | H.264/MPEG-4 | H.264/MPEG-4 |
モニター種別 | 3.0型TFT液晶モニター | 3.2型TFT液晶モニター |
モニター解像度 | 約104万ドット | 約162万ドット |
タッチパネル | なし | あり |
Wi-Fi | なし | なし |
Bluetooth | なし | あり |
GPS | あり | あり |
バッテリー寿命 | 約670枚 | 約670枚 |
大きさ | 約148.6×112.4×78.2mm | 約148.6×112.4×78.2mm |
重量 | 約820g(ボディのみ) 約910g(CIPA準拠) |
約830g(ボディのみ) 約920g(CIPA準拠) |
画像:Canon
Reported by 正隆