太陽に向けて撮影したり、撮影しなくてもレンズキャップを付けずに太陽が画角に入るような状態でカメラを置いておくと、カメラ内部が溶け(焦げ)てしまいカメラが壊れてしまう場合があります。
PetaPixelで実際にそれをテストした動画が紹介されています。というわけで今回は望遠レンズや大口径レンズを付けて太陽に長時間向けていると、カメラが壊れてしまう場合があるというお話です。
■望遠や大口径レンズで太陽を撮るとカメラ内部が溶けてしまう場合がある
動画:via GIPHY
望遠や大口径レンズの使用で起こるカメラ内部の溶解
カメラレンズは虫眼鏡のようなもので、太陽を画角に入れた状態で長時間撮影しているとカメラ内部を焦がしてしまう場合があります。
こうした事が起きやすい条件としては、
- 望遠レンズを使用している
- 大口径レンズを使用している
- レンズキャップを外している
- 長時間撮影している
といった場合などに起こりやすくなります。
望遠レンズでは太陽が画角に占める割合が増えるために、大口径レンズでは入ってくる光量が多いためによりカメラが溶けやすくなります。
そのため例えば400mm/F2.8や600mm/F4.0といった大口径超望遠レンズなどでは、特にこの現象が起こりやすくなり、条件が揃うとわずか数秒でカメラ内部が焦げ始める場合もあります。
太陽を撮っているつもりはなくても溶解は起きる
「自分は望遠レンズや大口径レンズで太陽を撮らないから大丈夫」と思われるかもしれません。
しかしカメラを溶かしてしまう多くのケースでは、撮影者は太陽を撮っているつもりはありません。
幾つかの具体的な例を挙げると、
- 超望遠レンズで野鳥撮影をしている際、カメラを設置して鳥を待機していたらその間に太陽が動いて画角に入っていた
- 大口径レンズで風景撮影するべく三脚にカメラを設置して待機している間に太陽が画角に入っていた
また例えば日の出を撮ろうと明るいレンズでライブビューで長時間撮影していたところ、日が昇って強い日差しがカメラ内に入ってしまうという場合もあります。
太陽光が撮影画面に入っていなくても溶ける場合がある
これらの現象は、強い日差しが虫眼鏡のようにカメラ内部で焦点を結ぶことでカメラ内部を溶かしてしまうわけです。
私が実際に見た方のケースでは、野鳥を撮影しようと望遠レンズで待機していたところ、太陽が撮影画面内に「入っていないにもかかわらず」気付いたときにはミラーボックスの端が溶けてしまっていたというケースがありました。
実際にこのカメラを見せてもらいましたが、溶けている位置がミラーボックスの周辺であったことからも、撮影画面内ではないものの、撮影画面に入らないイメージサークルの周辺部で太陽が入っており、ミラーボックスを溶かしてしまったものと考えられます。
カメラ内部の溶解に対する対策
この現象の対策として、
- 超望遠や大口径レンズを使用する際はなるべく太陽を入れる構図で撮影しない
- 太陽そのものを撮影する際は濃いNDフィルター等を使用する
- カメラを太陽(あるいは太陽が通る方角)に向けて放置しない
- 三脚などにカメラを設置して撮影する場合は、撮影直前までレンズキャップを装着しておく
- ライブビュー撮影などイメージセンサーに直接光が当たるような撮影では注意する
といった点に気をつけて撮影されると良いでしょう。
特に大口径超望遠レンズでは、カメラが焼けてしまうのはあっという間で、もちろん内部が溶けてしまうとカメラは正常に動作しなくなり、修理にはそれなりの金額がかかってしまいます。
太陽やレーザーのような強い光線の撮影は慎重に
また余談ですが、コンサートを動画撮影していたところ、コンサートの演出で使われるレーザー光線がイメージセンサーに当たり、イメージセンサーに線が入り壊れてしまったというケースも何件か確認されているようです。
コンサートなど高出力のレーザーが当たる可能性がある場合は、動画撮影やライブビュー撮影は気をつけましょう。ただしこれはカメラの機種によって影響度はかなり違うようです。
また太陽による溶解はミラーやミラーボックス部分が溶けるとは限らず、カメラやカメラの撮影状態によってシャッター幕やイメージセンサーを溶かしてしまう場合もあります。
大切な機材を焦がしたり溶かしてしまわないために、強い太陽光やレーザーが当たる可能性がある場合は、注意して撮影しましょう。
参考:PetaPixel
画像:PetaPixel
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Reported by 正隆