漫画ファンの皆さんこんにちは。
写真ファンたる者、漫画や小説も嗜んでおきたいもの。しかし、世の中には数多の漫画があるため、その中から面白い漫画を見極めるのは大変に困難です。
そこで今回はにわか漫画ソムリエの私が、写真愛好家の皆さんにおすすめの名作漫画をジャンル別にご紹介します(※カメラや写真を題材にした漫画ではありません)。
■おすすめ傑作漫画
歴史物:キングダム
面白い歴史漫画は数あれど、やはり私が一番面白いと思うのはキングダムです。
キングダムは、秦の始皇帝である嬴政(えいせい)が中華統一を成すまでの春秋戦国時代を描いた物語で、嬴政のもと、主人公である信が下僕の身でありながら天下の大将軍を目指すというストーリーになっています。
既に大長編となっているため、今から読み始めるのは大変だから…と避ける方もおられますが、それだけに長く楽しめる漫画ですし、読み始めれば最新刊まですぐ追いついてしまうでしょう。そういった魅力を持った漫画です。
現在はヒロインの一人である河了貂と作者お気に入りのキャラクター李牧の不人気っぷりに苦労しているように見えますが、作品全体としての面白さは50巻を超えた今でも全く衰えを見せません。
ちなみに私が作者の原泰久さんのtwitterをフォローし始めたのはフォロワー数82人の時だったと記憶しているのですが、現在では原泰久さんのフォロワーは17万人オーバーとなっており、それだけでも何か感慨深いものを感じます。キングダムはわしが育てた!
ちなみに私のお気に入りキャラは、楚水、亜花錦、赫力剛拳の皆さんなどです。
デスゲームもの:今際の国のアリス
デスゲームものに関しては、その元祖とも言える1999年に発売された小説バトルロワイヤル以来かなり読んでおり、特に漫画のデスゲームものに関しては、「これ読んだことないな」というのを見たことがないほど読んでいます。
そのデスゲームものの漫画の中で、今のところ最も面白かったのが今際の国のアリスです。
一部の福本漫画などもデスゲーム系としてみることも出来ますし、素晴らしく面白いのですが、一般的な意味でデスゲーム系にカテゴライズされているかというと微妙であるため、今回はお金ではなく生命そのものがかかっていて、かつ全編がデスゲームとなっている作品を対象としています。
今際の国のアリスは、主人公がある夜「今際の国」と呼ばれる不思議な世界に迷い込み、そこで生き残るために様々なデスゲームに強制的に参加しながら、今際のさせれていくというストーリーとなっています。
デスゲームものはゲーム自体の面白さや、それを攻略する知略も重要ですが、「死の恐怖にリアリティがあること」もとても重要な要素です。
昨今のデスゲーム系漫画は、迫り来る死に対する恐怖感や、登場人物が死んだ時の他のキャラクターのリアクション軽すぎるように思います。
真剣に生き残る気がないように見えるただ泣き叫ぶだけの者、何事もなかったかのようにテスト勉強のように冷静に作戦を練る者、どう見ても現実世界で生きられるとは思えない突飛なサイコパスなど、こうしたキャラクターはいずれもリアリティがありません。
その点今際の国のアリスはやはり人物の描き方が良く、登場人物たちの苦悩や恐怖が良く描かれています。
またゲーム自体もシンプルでわかりやすい点も魅力です。えてしてこうしたデスゲーム系漫画では、ゲームのルールが複雑になりがちで、読者がルールを理解するのに労力が必要であったりするわけですが、今際の国のアリスのゲームはルール自体がシンプルにできており、非常に分かりやすくなっています。
また不条理なゲームをどうすれば生き残ることができるのか?という部分でも、最近のデスゲーム系にありがちな後出しジャンケンのような解決策ではなく、良く考えれば読者にも分かるようにヒントが適切に散りばめられています。そのため、読者は主人公と一緒になってこのゲームを生き残る策を真剣に考える気にさせられます。
そして善人・悪人と簡単に割り切ることができない複雑な人間模様が、さまざまなドラマを生み出します。デスゲーム好き、あるいはデスゲームに巻き込まれたらどうしようと不安な皆さん、ぜひ今際の国のアリスをおすすめします。
家族もの:よつばと!
よつばと!は主人公である子供のよつばと、そのよつばを取り巻く大人たち、そしてよつば家の近所に住む子供たちの物語です。
特にドラマティックな展開があるわけではなく、他愛もない日常を描いているわけですが、よつばの大人の常識にとらわれない子供ならではの感性と行動が、読者を笑顔にするハートフルストリーです。
また、よつばだけでなく脇役たちも非常に魅力的で、自由奔放なよつばに翻弄されながらも、共に楽しむ姿には、現代社会ではなかなか見ることができない、日本古来の社会性を垣間見ることができます。
よつばのリアクション見たさに何度も読み返したくなる作品です。お子さんがおられる方も、おられない方も、世代や性別を問わずにおすすめの作品となっています。
恋愛もの:満月エンドロール
漫画においても恋愛要素は非常に大きなポジションを占めており、それゆえに恋愛漫画は数多あるのですが、その中から満月エンドロールをおすすめしたいと思います。
満月エンドロールは、とろける鐵工所の作者である野村宗弘さんの作品で、主人公が走馬灯の中で目覚めることろから始まります。
ある時、走馬灯の中で目覚めた主人公は、走馬灯の中に登場した奥さんと共に、自らの生い立ちを奥さんと一緒に巡る旅に出ます。
主人公はなぜ走馬灯を見ているのか?奥さんは主人公に何を伝えたいのか?夫婦が巡る旅路の果てに、一体どんなエンドロールが待っているのか…。
アマゾンレビューにおいてなんと上・下巻共にレビュアーの全員が満点(※記事執筆時)をつけているという恋愛漫画の傑作、満月エンドロール。あなたにも是非手にとってほしい作品です。
料理もの:美味しんぼ
料理漫画の最高峰は、皆さんもご存知美味しんぼ以外にはないでしょう。
なんだかんだ言っても、料理漫画というジャンルの次元を上げた作品であることは疑いようがありません。
新聞社の社員である山岡士郎と栗田ゆう子は、究極のメニューという企画の担当者になりますが、そこに待っていたのは山岡士郎の実の父、海原雄山という高い壁でした。
主人公山岡士郎と栗田ゆう子をとりまく友人・知人たち、そして様々な人々との出会いの中で、さまざまな問題にぶつかりながら山岡士郎が非凡な料理の才能で挑んでいくという形で美味しんぼのストーリーは進行していきます。
病気や怪我はもちろんのこと、恋愛、記憶喪失、国際問題まで、「この世のどんな問題も、食い物で解決できる」と言わんばかりの強引なストーリー展開がたまりません。
美味しんぼの中核となる究極対至高の料理対決はテンションが上がりますが、日常のストーリーも魅力的で、山岡の上司である富井副部長や山岡の友人である料理人岡星精一など、魅力あふれる人物が満載です。
一時はヒロインの栗田ゆう子が山岡を操ろうとする感じに対して反感を持つ人が多く、魅力が失われたと叩かれたこともありましたが、グータラ社員の山岡に翻弄されていた初期とは異なる形で新たな魅力を身につけ盛り返したと思います。
美味しんぼも一応は山岡士郎と海原雄山の料理対決の形式なのですが、一般的な料理漫画でよくあるバトルもののような派手さではなく、「どちらがより食の本質を追求しているか?」というような内容となっています。
見るものの立場によっては、時に悲劇が喜劇と変わるように、美味しんぼの真剣さもある意味では高度なギャグ漫画ともとれるのですが、いずれにせよこれほど本気で食文化に取り組んでいる料理漫画は他にはないでしょう。
登山もの:神々の山嶺
やはり登山漫画の最高峰は神々の山嶺だと思います。
登山漫画はエンターテイメント性と重厚感のどちらに振るか悩ましいところですが、神々の山嶺は重厚感を重視した作品です。
神々の山嶺に登山漫画にありがちな派手さはありません。主人公である深町はなかなか山に登らず、ほとんどは準備期間ですし、もちろん奇跡の救出劇などもありません。また逆にゆるいハイキング漫画でもなく、物語は終始ストイックに展開していきます。
神々の山嶺のストーリーは、不遇の天才登山家、羽生丈二の人生を主人公の深町が追うという形で進行していきます。
果たして不世出登山か羽生丈二とは何者なのか?エベレスト初登頂の謎は明かされるのか?
劇的な救出劇を見るのであれば岳のような作品の方が良いでしょうし、ライトな感じであれば山と食欲と私もおすすめです。しかし、じっくりと重厚な登山漫画を楽しみたいというのであれば、やはり神々の山嶺でしょう。
なぜ人は山に導かれるのか?山男たちの孤独と情熱を描いた、登山漫画不朽の名作です。
あと一応主人公の深町はカメラマンです。今回紹介した作品の中で唯一写真に関係のある漫画です。
またジャンルが不明であるためご紹介はしていませんが、この記事のトビラカットとなっているマスターキートンも非常ににおすすめの漫画です。
画像:Amazon
Reported by 正隆