神社仏閣!新築物件!今すぐ始める建築写真の撮り方

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秋といえば京都、京都でなくても神社仏閣を撮りたい季節ですよね?という訳で今日は建築写真の撮影のノウハウをご紹介したいと思います。

趣味のかたもこれから建築写真のプロカメラマンになりたいかたもぜひぜひお立ち寄りくださいませ!



■建築写真の魅力って?


まずは趣味としての建築物の撮影の魅力とはなんでしょう?

  • 天候に左右されにくい
  • その場に行けば必ず撮れる
  • じっくりのんびり撮影できる
  • お出かけの思い出になる

などなど、さまざまな魅力があります。自然風景は天候による影響が大きく、運しだいでかなり作品の質が変わってしまいます。それを回避するために同じ撮影地に何度も何度も足を運ぶのですが、これがおいそれと行ける場所でなければやはり運しだいという部分が避けられません。

しかし建築物の場合、天候の影響が無いとは言いませんが、自然風景写真に比べれば条件は良く、撮影技術と機材さえしっかりしていれば、コンスタントにクオリティを出しやすいことも魅力です。現地に行けば必ずあるのですからその点も心配がありません。

また事前にリサーチすることが容易な被写体ですから、お目当の構図があれば腰を据えてじっくりと撮影する楽しさがあり、撮影することで旅行の思い出となってくれることも大きな魅力です。

■プロカメラマンにとっての建築撮影とは?


趣味としても魅力的な被写体ですが、これからプロカメラマンとしてやっていきたいという方で、人物撮影はあまり興味がわかないというかたにもオススメです。

と言うのも、プロカメラマンの撮影の大半は人物撮影で、ブライダル、スクール、写真館、スタジオポートレート、コマーシャルフォト、企業のイベント、対談、プロスポーツ、戦場、これらは全て技術や機材が違えど人物撮影に変わりありません。

人物以外のプロカメラマンのメジャーなジャンルとなると商品撮影(物撮り)がありますが、ある程度の実績がないとなかなか仕事にありつけません。またライティングやスタジオ撮影の知識なども必要で、同時にライティング機材も必要になります。

仮に運良く仕事の依頼があったとしても、受けたはいいがまともに撮れなかったという苦い思い出をつくる羽目になりかねません。

では風景撮影はというと、仕事として数が少なく、ごく一部の有名風景写真家が少ない仕事を占有している状態で、おいそれと仕事にありつくことは難しいのが現実です。

しかし建築写真は新築物件や観光ビジネスで常に必要とされるため意外と募集が多く、人物撮影ではないカメラマンにこれからなりたいというかたに割と参入しやすいジャンルとなっています。

加えて大掛かりなライティング機材が必要ないため、もちろん技術は必要ですが、練習する際にスタジオやライティング機材を借りる必要がないこともこれからカメラマンになりたいかたにはプラスに働くでしょう。

ポートフォリオを製作する際、人物撮影ではモデルやメイクさん、スタジオのレンタルが必要になりますが、建築物なら自分一人で撮影に行けばいいだけですから、お金をかけずに幾らでも製作可能です。

物件撮影のような一般家屋の内観を撮りたい場合、大型住宅展示場などで一部撮影目的であっても許可している展示場がありますからそちらを利用させてもらいましょう。神社仏閣もそうですが、管理されている方に撮影はダメと言われたらダメですから素直に従いましょう。

■撮影のテクニックと機材


建築写真は内観と外観で撮影テクニックが変わります。

内観撮影

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新築物件の内観撮影は、十分な自然光が入る日中であればライティングなしでやや明るめになるようにプラス補正で撮影すると見栄えする写真になります。十分な外光がある物件ではライティングは使用しないほうが自然な仕上がりにしやすくオススメです。

夜間の撮影や外光が入りにくい物件の撮影ではライティングを行う場合がありますが、カメラに内蔵のポップアップストロボは非常に不自然な仕上がりになるので使用しません。

その場合ストロボを別途用意しますが、部屋を広く見せるために超広角レンズで撮影した場合、広い部屋ではストロボ1灯では写る範囲に十分に光が回せない場合があります。

そのため数灯を使ったライティングで、手前の空間と奥の空間といったように分割してライティングすることになります。その際、大型ストロボでは奥側に置いたストロボ機材そのものが写ってしまったり、写らない位置まで下げてしまうと部屋全体に均等に配光することが出来ません。

そこで使うのがクリップンストロボです。クリップオンストロボを数灯用意し、家具の影に隠してバウンスさせながら多灯スレーブ発光させます。

そうすることで広い室内全体に光を回しながら写真に機材が写ることを防ぐことが出来ます。家具の裏に隠して発光させるためラジオスレーブ可能なクリップオンストロボが確実です。

暗い物件や店内を撮影しなければいけないのにライティングが苦手という方は、三脚を使用して感度が上がりすぎないように設定して環境光で撮影してください。

ただし住宅物件や歴史的建造物などでは、必ず管理責任者に三脚を立てる許可を得るとともに、絶対に床を傷をつけないように十分な配慮をして撮影しましょう。

趣味としての建物の内観撮影や神社仏閣のような場所では、マンションや戸建住宅の物件写真のように明るく撮るのが基本ということはありません。厳かな雰囲気を出すなら、暗めに撮るのも表現の一つです。

また、三脚もライティングも使用できない場合が多いため、手振れしないギリギリのシャッタースピードを把握して感度が上がりすぎないように適切なシャッタースピードで撮影しましょう。

外観撮影にも言えることですが、建築物は水平垂直が傾いていると非常に目立つため、傾きがないように注意を払って撮影しましょう。

また背が高いかたの場合、物件撮影では俯瞰したような不自然な構図になる場合があります。その場合は椅子に座る程度の高さで撮るイメージで中腰で撮影すると自然な見た目になります。

カメラ

屋外に比べて思ったよりも暗いことが多く、なるべく高感度に強いフルサイズ機を使いましょう。また超広角レンズが充実しているのもフルサイズ機の魅力です。

レンズ

超広角のレンズで撮影すると部屋を広く写すことができて見栄えする写真になります。特に仕事としての物件撮影では広ければ広いほど喜ばれますので、可能な限り焦点距離の短い超広角ズームレンズを使いましょう。

明るいレンズの方が良いのは確かですが、単焦点レンズは使いません。物件撮影ではズームでフレーミングできないと不便ですから、なるべく明るく画角の広い超広角ズームレンズがオススメです。

三脚

大半の場所では三脚が使用出来無いため、手持ちでの撮影が多くなりますが、使える場合は三脚を使うことで感度の上昇をおさえて高画質に撮影できます。

その際はあまり大きなものでなく、取り回しの良い(携帯性ではなく)設置と撤収が素早く行える段数の少ない中型の三脚がオススメです。また設置の際は床を傷つけないように十分な注意を払いましょう。

ライティング

スレーブでシンクロさせられるクリップオンストロボ、それもなるべく発光量の大きなものが数灯あると良いでしょう。

家具の裏などに隠して写真に映らないように設置しますので、フォトセルや赤外線によるスレーブよりも、ラジオスレーブ可能なストロボであれば理想的です。

■外観撮影


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外観撮影で重要になってくるのは建築物を下から見上げる形で撮影すると上すぼまりになるのを防ぐことです。そのためにはシフトレンズ(アオリレンズ)が必要になります。

補正する手段としては、レタッチソフトなどでも可能ですが、修正時に画角が狭くなってしまったり、多少の画質の劣化が起こるため本来は広角のシフトレンズ(アオリレンズ)で撮影することが理想です。

ただし完全にパースを消してしまうと迫力がなくなってしまう場合もあるため、アートとしての建築写真の場合、塔や高層ビルなどの高さを強調するためにはパースを残す場合もあります。

シフトレンズ(アオリレンズ)は写りを確認しながらレンズ側で複雑な操作を必要とするため、手持ちの撮影は現実的ではありません。そのため三脚が必須の機材となります。

建築物は傾きや歪みが目立ちやすい被写体ですから、キッチリと撮るということを心がけましょう。カメラの電子水準器やホットシューに付けられる水準器を使用して撮影します。

建築物外観はライティングの必要はありませんが、自然光の当たり方は重要になるため、時間帯を考慮して最も被写体である建物が映える時間帯を狙います。

軒下など影になる部分があり輝度差はさけられないため、HDR撮影やハイライト部を抑えたりシャドー部を持ち上げるような露出に関するレタッチが必要になる場合が多くあります。

建築撮影はそれほど複雑なレタッチを必要としませんが、基本的なRAW現像と不要物の除去に関するレタッチははマスターしておきましょう。

カメラ

画角的に広く撮れるのであればAPS-C機やマイクロフォーサーズ機でも構いませんが、本格的に撮影するならシフトレンズが使えるフルサイズ一眼レフがオススメです。

レンズ

超広角レンズ、理想を言えば広角のシフトレンズ(アオリレンズ)が欲しいところです。またシフトレンズ(アオリレンズ)は横方向に長い建物などを斜めから撮影する際などに被写界深度を大幅に広げて撮影することも可能になります。

三脚

外観撮影の場合は風や車などの振動の影響を受ける場合があるため、持ち運び可能な限りしっかりした物を使用しましょう。またギア雲台などを使うことでより精密な操作が可能になります。

フィルター

外観撮影の場合、ガラス面などの写り込みや反射を軽減させるためにC-PLフィルターが必要になる場合があります。特に店舗撮影など商業施設の撮影には必須となりますので、1つは持っておきましょう。

■建築撮影おすすめ機材


建築撮影にオススメの撮影機材をご紹介します。これから仕事で撮られるかたや本格的に建築物を撮影したいかたにもオススメです。

お手軽建物撮影に
メーカー Nikon Canon
カメラ D5500 EOS 8000D
広角レンズ AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM
三脚 Geo Carmagne E435M Geo Carmagne E435M
レリーズ MC-DC2 RS-60E3
趣味なら本気で建物撮影
メーカー Nikon Canon
カメラ D750 EOS 6D
広角レンズ SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD
ストロボ SB-910 600EX-RT
三脚 カーボンマスター 823 PRO N カーボンマスター 823 PRO N
レリーズ MC-DC2 RS-80N3
プロの建築写真家を目指すなら
メーカー Nikon Canon
カメラ D810 EOS 5Ds
広角レンズ AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED EF11-24mm F4L USM
シフトレンズ PC-E NIKKOR 24mm f/3.5D ED TS-E17mm F4L
ストロボ SB-5000(2台) 600EX-RT(2台)
三脚 GT3532S GT3532S
三脚アクセサリー GS3311GS GS3311GS
雲台 ギア付きプロ雲台 405 ギア付きプロ雲台 405
レリーズ MC-30A RS-80N3

■地図に残る仕事


タワー、ビル、神社・仏閣、橋など日本にも世界にも美しい建物は数多あります。それらをただ撮るのではなく、キッチリと撮ることで作品に仕上げていくのが建築写真の魅力です。

さあ、あなたも建築物を撮ってみませんか?

Reported by 正隆