α1はオリンピックには使われないだろうけど、広告写真には魅力的だと思う。

画像引用:SONY(https://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-1/)

皆さんこんにちは。

ソニーからフラッグシップ機α1が発表され話題となっています。高画素+高速連写を実現し、α9シリーズとα7Rシリーズの両方の機能を兼ね備えたようなハイスペックモデルであり、一部ではオリンピックのような大規模スポーツイベントを撮影するフォトグラファーをターゲットとしているとも言われています。

ただこの作りだとα9シリーズがワールドカップで全然使われなかったように、東京オリンピックが無事開催されたとしても、α1を使うフォトグラファーは現実には殆どいないと思います。

しかし逆にα1はスタジオ撮影を主体とするようなコマーシャルフォトグラファーには向いているのではないかという気がするので、今回はその話をしたいと思います。

目次

  • α1オリンピックフォトグラファーに向いていない理由
    • 相変わらず全然スポーツ向きでない操作部
    • オリンピックフォトグラファーはきっとα1を選ばない
  • α1がコマーシャルフォトフォトグラファーに向いている理由
    • スタジオ撮影では使いやすそうな操作部
    • 静止画も動画も1台でいける高い汎用性
    • コマーシャルフォトグラファーでお金があればおすすめ
  • α1は誰におすすめなのか?
    • 結局誰におすすめなのか?





■α1オリンピックフォトグラファーに向いていない理由


相変わらず全然スポーツ向きでない操作部

この理由はもう一目瞭然ですね。

あらゆる操作部分(ボディ右側の一等地に露出補正「専用」ダイヤルとか)がスポーツフォトグラファーにはありえない配置だと思います。無駄極まりない。

画像引用:SONY(https://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-1/)

この右側の操作部(左側もどうかとは思いますが)はどう見ても報道やスポーツフォトグラファーの望むレイアウトになってないと思います(スポーツ用のカメラで、こういうタイプのダイヤルやロック機構は適していません)。

これはどちらかと言うと、風景写真向けのレイアウトです。

また例によって小型化を頑張り過ぎていて、横幅はスポーツや報道用としては切り詰めすぎです。

横幅を詰めてしまうと操作系が小さくなるだけでなく、ボディグリップとレンズの隙間が無くなってしまい、大口径レンズを付けた時にグリップも窮屈になってしまいます。

この辺は、相変わらずソニーの開発陣が過酷な環境で自分でテストしてないのが一目で分かる部分です。

Eマウントの場合マウント径が小さいため、レンズの根元も細くなるため、ある程度横幅(グリップのレンズ側の距離)を詰められるのですが、同時にフランジバックも短いため、大口径レンズをつけたときにはマウント付近は大きな後玉で占拠されてしまいます。

その時ボディのグリップ側を切り詰めて小型化してしまうと、レンズ鏡筒の太くなる部分とグリップを握った指が干渉しやすくなるわけです。

どういう事かと言うと、レンズの後玉だけだとそこまで極端にマウント付近のレンズ鏡筒が太くなるわけではないのですが、後玉の近くにはレンズの回路基盤やレンズ駆動用のメカ機構も入れなくてはいけないので、普通に作ると、大口径レンズの根元付近は後玉の大きさ+回路基盤+メカ機構が入る太さが必要になります。

後玉の位置は光学設計上の配置を優先するわけですが、そうするとマウント口径の小さいEマウントではマウント付近が窮屈になってくるため、レンズ回路や駆動機構はそこから離れた位置(要するに被写体側)に少し離して配置して設計することになります。

何を言ってるのか分からないという方は、理屈は分からなくてもいいので例えば実際に同じ焦点距離とF値である、

この2本のレンズ形状を比較して見てみれば、レンズ鏡筒の根元部分がどうなるのかはお分りいただけると思います。

SONY FE 24-70mm F2.8 GM

Canon RF24-70mm F2.8 L IS USM

画像引用:Canon(https://cweb.canon.jp/eos/rf/lineup/rf24-70-f28l/spec.html)

このようにEマウントの大口径レンズでは、レンズ鏡筒をマウント部分から前方(被写体側)に一旦伸ばして、その後すり鉢状に広がっていく鏡筒にならざるを得ません。

これはEマウント口径が小さいからマウント部ですぼまって見えという話ではなく(マウント径自体は小さくとも鏡筒は太く作ることができるため)、「様々なEマウントボディにレンズを付けた時、どのボディでもグリップとレンズの間に物理的に握れる隙間を確保する」という互換性のために、大口径レンズでは、グリップとの干渉を防ぐために根元を細く、一旦前方に鏡筒を伸ばしてからメカ機構を盛り込むためにそこから太くなるわけです。

デジカメWatch(https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/745426.html#004_s.jpg)

上はFE 85mm F1.4 GMのカットモデルですが、マウント付近は後玉でスペースが占有されてしまっています。つまり、ここには他の基盤や機構を盛り込むスペースが足りません。

もちろん他のマウントであっても、単焦点F1.2のような極端に明るいレンズだと後玉が極端に大きいためこれに近い構造になるのですが、Eマウントでは単焦点F1.4やズームのF2.8通しなど、そこまで極端に明るいレンズでなくともこう作らざるをえない宿命を背負っています(Eマウントレンズラインナップを参考にしてみてください)。

ただこれ自体はユーザー側というより、開発者側にとっては苦労の多い部分であり、ボディの幅(ボディグリップ側の長さ)さえ十分に確保しておけばレンズの根元のデザインが太かろうが細かろうが、直接的なユーザーのデメリットがあるわけではありません。

なのでこれは良く言われるような「Eマウントは口径が小さいから光学的設計的にどうこう」とかいう類の話ではありません(光学ではなくレンズのメカ設計の制約の話です)。

Eマウントはレンズの根元(マウント径)が小さいのでボディの横幅自体は切り詰められるのですが、ボディ横幅の小型化を頑張ってしまうと、レンズ鏡筒はメカ機構を載せるためにラッパ状に広がり始める部分でレンズとグリップの間隔が急に狭くなりグリップスペースが厳しくなるということです。

そして問題はフラッグシップ機であるにも関わらず、(ハッキリ言って馬鹿げた)ソニーの異常な小型化への執着が、過酷な環境下でのα1の使い勝手を却って悪くしていることにあります。

画像引用:SONY(https://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-1/)
画像引用:Canon(https://cweb.canon.jp/eos/lineup/r5/)

上の画像はEOS R5との比較画像です。

マウント径が大きく、またフラッグシップ機でさえないEOS R5の方が、グリップとレンズマウントの間に十分な余裕があるのがお分りいただけると思います。

逆にグリップと反対側(正面から見て右側)はEOS R5よりもα1の方が広くなっているのもお分り頂けると思います。

横幅をどうしても小型化したかったのなら、むしろグリップと反対の側を詰めるべきだったのですが、それはα1の豊富な端子や可動式モニターの関係で設計的に無理だったのでしょう。

画像引用:SONY(https://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-1/)
画像引用:Canon(https://cweb.canon.jp/eos/lineup/r5/)

上から見ても、レンズマウントとグリップ間の余裕の違いがお分り頂けると思います。またグリップ自体EOS R5の方が太くなっています。

またEOS R5でなくとも、他社のほとんど全てのフルサイズミラーレスカメラは、α1よりも余裕のあるグリップの作りになっています。

下の画像はα1にFE 35mm F1.4 GM(最大径76mm)を装着した状態ですが、グリップと鏡筒の間が狭すぎて既に指がぶつかってしまっています。

画像引用:dpreview(https://www.dpreview.com/articles/2677095861/hands-on-with-the-sony-alpha-1?slide=3)

最大径76mmのレンズでこれですから、先ほど画像でご紹介したFE 24-70mm F2.8 GM(最大径87.6mm)や、FEレンズの中でもマウント付近から太いFE 85mm F1.4 GM(最大径89.5mm)のようなレンズでは推して知るべしというわけです。

まして報道やスポーツのような過酷な環境で撮影するフォトグラファーはグローブを着用して撮影することもままあるわけですから、そうした用途に使われることを目指しているなら、尚更α1はこんな無謀な小型化はすべきではありませんでした。

dpreview(https://www.dpreview.com/articles/2677095861/hands-on-with-the-sony-alpha-1?slide=2)

この画像をみても分かるように、そもそもマウントとグリップの間を狭く作り過ぎなのです。

これはα9シリーズの頃から言っていることですが、プロ機にとって(特にフラッグシップ機のようなカメラ)は、軽いことはほとんどの場合メリットですが、必ずしも「小さい=正義ではない」ということをソニーの開発陣はいい加減理解しなければなりません。

もちろん小型軽量化がプロ用途のメリットになる場合もあるので、一概に「プロ機の小型化、ダメ絶対!」と言っているわけでもありません。

小型化した方が良い場合や、良い箇所というのも多々あるわけで、そういった部分ではソニーの高い小型化の技術を存分に発揮していただければと思いますが、α1で行なっているような「この性能でこんなに小さく作れる俺ら凄くない?」というような実用性を犠牲にした小型化はやめた方がいいということです。

そして恒温室で低温・高温環境のテストをするのと、実際の屋外の過酷な環境下での使ってみることは全く違うことなので、自分の足で外に出て撮影してみないといけません。

開発者自身が「現実の撮影環境でフォトグラファーと同じように撮影して実際に体感すること」はとても重要なことです。

画像引用:SONY(https://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-1/)

背面操作部もAF-ONボタンやマルチセレクターの形状などは良くなってきているのですが、

  • Fn(ファンクション)ボタン
  • 再生ボタン
  • 削除ボタン
  • コントロールホイール
  • C3ボタン(カスタムボタン3)
  • MENU(メニュー)ボタン

など多くのボタンやダイヤルが相変わらず小さ過ぎますし、相変わらずバッテリーグリップ分離型という「実にアマチュアっぽい発想の」小型化の呪縛に囚われたままです。

問題がないなら分離型でも一向に構わないのですが、現実に分離型のデメリットが出まくっている以上、その選択は間違いであるとしか言いようがありません。

そもそも、

  • 分離型のカメラにバッテリーグリップを付けた時の操作性
  • 最初からバッテリーグリップ一体型で設計されたカメラの操作性

この二つは「全く違うもの」です。

これが分からないとすると、(一体型の)フラッグシップ機を使ったことが無いんだと思います。

同時にカメラ開発者もバッテリーグリップ一体型のカメラを実際に設計して製品化してみないと、一体型として設計することのメリットを「理屈では」分かっていても、実際のノウハウを掴むことは出来ません。

単に一体型で作れば良いというものではないし、内部スペースの広さを生かすという設計側の利点だけでなく、一体型形状を活かした操作性を作り上げ、それに対するユーザーのフィードバックを受けて後継機に反映させていくということを繰り返さなければ、ノウハウは蓄積されていかないというわけです。

ついでに言うと、CFexpress Type Aというのもスポーツや報道の現場を考えれば明らかに誤った選択だと思います。

オリンピックフォトグラファーはきっとα1を選ばない

リアルなスポーツフォトグラファーたちは、ソニーの広告塔をやっている講師業カメラマンやYouTuberとは違うのでα1をオリンピックで実際に使ったりはしないでしょう。

もし無事に東京オリンピックが開催されればすぐ分かることですが、カメラマンブースでα1を使っているフォトグラファーはゼロではないかも知れませんが、まあ殆どいないだろうと思います。

 

■α1がコマーシャルフォトグラファーに向いている理由


スタジオ撮影では使いやすそうな操作部

オリンピックレベルのガチのスポーツ撮影用途としては「コレじゃない感」が凄いα1ですが、一転、コマーシャルやグラビアのフォトグラファーには使いやすそうなコンセプトとなっています。

画像引用:SONY(https://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-1/)

スポーツ撮影では全く向いていないように見えたこのダイヤル配置も、グラビアやコマーシャルフォト用途と考えると急にまともに見えてきます。

この位置は露出補正専用ダイヤルより優先すべきものがあると思うので支持はしませんが、グラビアや広告写真ならこの位置の露出補正ダイヤルも絶対ダメという程のことではないですし、散々お話にならないと言ってきた操作部の小ささやグリップとレンズの間の狭さや操作部の小ささも、スタジオ環境などでは大きな問題ではありません。

またロケーション撮影であっても、グラビアやコマーシャルフォトの撮影現場で「ゴツいグローブをしたまま撮影」ということはまずありません。そんな状況では被写体であるモデルさんの方が大変すぎるからです。

このへんは「ソニー開発陣の引きこもり体質が室内撮影に活きている」とまではいいませんが、デメリットとして出にくいのでしょう。

画像引用:SONY(https://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-1/)

側面の端子類はこの小型ボディでありながらとても充実していて、急に魅力的に見えてきます。

よくまあこの小型ボディの側面にこれだけの端子を詰め込んだものだと感心します。これなら静止画・動画、外部モニター、テザー撮影、おおよそどんな撮影でも対応できるでしょう。

ちなみにワイヤレスコマンダーが普及してきた現在でもシンクロ端子は保険として必要です。

現実のスタジオは、ワイヤレスコマンダーが使える新しいストロボやジェネレーターばかりではないですし、ワイヤレスコマンダーが上手く作動しなかったり壊れたりしたらシンクロケーブルを使わざるを得ないわけです。

またマルチアクセサリーシューにアダプターでシンクロ端子を追加する方法もありますが、そのような方法は凄く撮影の邪魔なので、間違いなく歓迎されないでしょう。

ちょっと細かいことを言うと、シンクロ端子は側面のこの位置ではなくて、ボディ前面の向かって右側にして欲しかったのですが、このあたりはシンクロ端子自体保険ですし、ソニーのデザインへのこだわりを考えれば納得できる範囲だと思います。

この点に関してはニコンのD6などのボディ前面のシンクロ端子の位置が個人的には一番好きです。

側面に配置するなら、EOS R5のような一番下側に独立したカバーで配置するのが良いと思いますが、おそらくソニーの開発者はそこまで深く考えてシンクロ端子の位置を決めたわけではなく、「なんかプロがシンクロ端子を付けろとうるさいから」という程度の理由で頑張って設けたのだと思いますが、それでもα1にシンクロ端子があることは歓迎すべき点だと思います。

また、CFexpress Type Aという選択がオリンピックを撮るようなガチガチのスポーツフォトグラファーにはマイナスでも、コマーシャルフォトグラファーでは逆にプラスに働いてきます。

元々コマーシャルフォトグラファーは高解像機(EOS 5D系やD800系、ソニーならα7R系)を使う人が主流であっため、XQDよりもSDカードの方を大量に持っている人が多いので、CFexpress Type AではなくSDを使うという意味ではあるものの好意的に捉えるフォトグラファーは多いのではないかと思います。

静止画も動画も1台でいける高い汎用性

何と言ってもこれです。静止画と動画の両方をカバーできる性能は大きな魅力です。

近年ではコマーシャルフォトの現場でもスチール+ちょっとしたムービーを求められる撮影が増えています。

その点α1ならα7R IVα7S IIIの両方の性能を1台でクリアできます(α7R IVα7S IIIに分けて使うメリットも大きいですが)。

α1だけでなく、今後発売されていく各社のフラッグシップ機もこれまでのカメラ業界の慣習であった低画素+高速連写ではなく、8Kに対応できる高画素を持ちつつ高速連写も兼ね備えたモデルが主流になっていく気がします。

モニターをバリアングルにすべきだったかチルトで良かったかは悩ましいところで、個人的にはスチール撮影ではチルトの方が好きなのですが、スチールカメラマンが「静止画と動画を兼用できるカメラ」という意味ではバリアングルにした方がベターであったように思います。

これは自撮りがどうこうとか、縦位置撮影がどうこうというような話ではなくて、動画撮影がメインのムービーのカメラマンならどうせ外付けモニターを使うでしょうし、スチールがメインだけれど動画もたまには撮るというような基本の立ち位置がスチールにあるカメラマンの場合、チルトよりバリアングルの方が動画撮影時に使い易いだろうと感じるからです。

ただこの点は個人の撮影スタイルもあると思うので、「絶対にチルトで正解だった」とか「絶対にバリアングルにすべきだった」とは私には言い切れません。

多分ソニーも確信を持てなかったので、これまでのαシリーズの主流であったチルト式に落ち着いたのだろうと思います。

ソニー的には「強度や耐久性を考えて」といったことを、もしかしたら後付けで言うかもしれませんが、チルトもバリアングルも強度的な問題なんて早々起こらないでしょう。

バリアングルだったから壊れた、チルトだったら平気だったのに。なんてことは実際には起こらないと思います。

仮にバリアングルが強度的にダメならα7S IIIはどうなんだという話になるわけで、「α7S IIIのモニターはバリアングル式で壊れやすいのでプロの方にはお使い頂けません」とはソニーも言わないと思います。

話は戻りますが、α1は値段は高いものの仮にα1をサブ機含めて2台買っておけば、まずほとんどのコマーシャルフォトの現場においてボディ性能的で困ることはないでしょう。

ただ、凄い凄いと言われがちなストロボ同調速度1/400秒はむしろ少し素人騙しの匂いを感じていて、

  1. ソニー純正クリップオンストロボを
  2. マルチインターフェースシューで接続して
  3. フラッシュ同調速優先が[入]または[オート]時のみ有効

といった制限だらけでは、実際は大した使い道はないと思いますし、条件の1に関しては互換性の検証の点から仕方ないとしても(1の条件も他のメーカーではあまり見ないことですが)、2と3は何か納得のいかない部分があります。

そしてそれだけストロボ同調速度に制限があるのは、本当に同調速度1/400秒の幕速が十分に出てるのかな?という不安があります。安定的に1/400秒で同調する幕速があるなら、このような細かい条件は必要がないはずだからです。

そもそもコマーシャルフォトグラファーは、

  • クリップオン1灯ライティングなんて普通しない
  • 仮にクリップオンストロボでもソニー純正は選ばない
  • 本気で早い動きを止めて写したいならHMIを使う

といったようなことがあって、少なくともコマーシャルのフォトグラファーは「純正クリップオンストロボで同調速度1/400秒を実現した」と言われても喜びません。

またジェネレーターやモノブロックのような大型ストロボは、現実には有効閃光時間の関係で今でも1/125秒固定などに固定して撮っている人も沢山いるわけです。

動画需要の高まりなども考えると、ライティングに関してはカメラボディのストロボ同調速度がどうこうというより、定常光ライティング機材、つまりHMIやLEDライト(Aputure LS 600d Proのようなガチ系のLEDライト)の低価格化・小型化・発熱量の低減(LEDもHMI並みの光量のものはとても熱くなります)の方がコマーシャルフォトグラファーたちが求めているものでしょう。

で、α1の同調1/400秒ですが、スポーツだとストロボを使うこと自体禁止であったりしますし、報道関係なら意味があるかというと、報道カメラマンはそもそもストロボ同調速度をあまり気にしていないように見えます。

ブライダルフォトグラファーなら意味があるかも知れないと思いましたが、あの人たちは逆に「クリップオンストロボライティングの専門家」みたいなところがあるので、やっぱりコストパフォーマンスの悪いソニーの純正ストロボを積極的に選ぶことは少ないと思います。彼ら彼女らにとってクリップオンストロボは鬼のように使い倒す消耗品ですし。

そもそも日中シンクロで使うにしては微妙な速度だと思います。使える時もあれば使えない時もあるという。現実的にはハイスピードシンクロの方が使いやすいでしょう。

ただこの「ストロボ同調速度がどうこう」といった話自体、そのうちグローバルシャッターがスチールカメラでも普及し、全速同調が当たり前の時代が来てどうでも良くなっていく話であるような気もしています。

また話はα1に戻りますが、この高価な価格のカメラで(恐らくは)メカシャッター先幕を廃したのは、思い切った決断だとは思います。

原理的には電子先幕シャッターだと高速シャッター時にボケ欠けなどのケラれが発生することになるわけですが、ソニー的にはそれだけα1の電子シャッターに自信があるということなのでしょう。

それにメカシャッターをデュアル駆動でどうこうより、電子シャッターの使い勝手を良くする方がソニーの得意分野だと思うので、メカシャッターの方で新技術を盛り込んできたのは個人的には驚きでした。

しかしメカ機構の開発に力を入れるという考え自体、意外と「急がば回れ」でαをより良いカメラに近づけていく最短距離のようにも思うのでとても良いことだと思います。

実際、「どうしても1/2000秒を超えるシャッター速度で点光源をメカシャッターで撮らないといけない、電子シャッターではダメなんだ」なんてシチュエーションはまずないと思うので、電子先幕シャッターと電子シャッターだけでも実用上そんなに心配はいらないと思います。

コマーシャルフォトグラファーでお金があればおすすめ

ハッキリ言って、α1はスポーツのプロフォトグラファーにはそんなにお勧め出来ないし、オリンピックを撮るようなレベルのフォトグラファーなら尚更選ばないと思います。

しかし、グラビアやコマーシャルフォトグラファーには凄く良さそうなカメラで、むしろソニーはこっちの方面で推した方が結果が出ると思います。

凄く現実的なことを言ってしまうと、コロナ禍で広告費や撮影機会そのものが減少している昨今、80万円近い(アクセサリーも買うとなればそれ以上の)カメラをポンポン買うのは、そこそこ売れているフォトグラファーであってもそれなりに大きな決断だと思います。

またリアルなコマーシャルフォトの撮影を考えれば、α1ボディ単体に80万円出すよりも、

  • α7R IV+レンズ(もしくはライティング機材)
  • EOS R5+レンズ(もしくはライティング機材)
  • GFX 100S+レンズ(もしくはライティング機材)

といった組み合わせで機材を追加した方が、結果的には良い写真が撮れるでしょう。もちろんここで言う「ライティング機材」とは大型ストロボのような物のことです。

 

■α1は誰におすすめなのか?


結局誰におすすめなのか?

α1が誰におすすめで、誰におすすめ出来ないのかというと、

α1をおすすめ出来るジャンル、出来ないジャンル
ジャンル/撮影者 適正 理由
報道 室内環境では報道にも使えるがα1を敢えて選ぶ理由がない
スポーツ(プロ) ✖️ 操作性など全くプロフェッショナル向けになっていないので不向き
コマーシャル レンズと十分なライティング機材があるならおすすめ
グラビア レンズとライティング機材があるならおすすめ
ブライダル 性能は良いがコスト面で現実性が無くα7系の方がおすすめ
営業写真館 ここまでの画素数や動画性能は要らないので衣装や設備に投資すべき
ムービー 性能自体は良いが動画専門ならα7S IIIFX3の方がおすすめ
スポーツ(アマ) レンズを揃えられるなら運動会から野鳥まで対応でき万能
風景 性能的は申し分ないが現実的にはα7R IVにレンズを幅広く追加すべき
ポートレート 良いレンズを持っているなら十分におすすめ
カメラ系YouTuber チャンネル登録者数次第だがXperia Proとセットで何度もネタに出来る
YouTuber ✖️ お金があってもカメラ系以外のYouTuberならα7S IIIFX3方が使い易い
カメラマニア スペック的にも価格面でも間違いなくご自慢の一品になるはず

こんな感じかと思います。

 

画像:SONY,Canon

Reported by 山﨑将方