デジタルカメラ時代の露出計の使い方と選び方を考える!

L-478D

最近はカメラは当然のようにTTL調光になっているため、TTLで撮ってみておかしければ露出補正をかければいいという事で、露出計を使う機会もめっきり減りました。

スタジオでもモノブロックなどの大型ストロボがTTL対応になったり、ラジオスレーブで複数台のストロボを手元で調光が簡単に出来るようになったため、「露出計で毎回計ってはバリエーターで調光するより、勘で出力設定して一枚撮ってみてから調光可能なラジオスレーブで手元で調光した方が楽で早い」という状況も出てきています。

スタジオですら廃れていく露出計の価値ですが、幾ら便利な最新機材が出ているとは言え、モノブロックストロボやジェネレーターは高価なためおいそれとは買い換えられないもの。

そのため露出計やシンクロケーブルを使っているスタジオもまだまだ多いはず。レンタルスタジオを利用する際にも、借りたいレンタルスタジオの備え付け機材が最新の機材であることは稀です。



■露出計の機能比較


露出計メーカーも頑張って露出プロファイル機能などをアピールし、露出計の更なる活躍の幅を作ろうと努力しています。

正直無くてもあんまり困らない、でもまだ必要な現場もある露出計。今回は露出計の代表メーカー、セコニックの現行機種比較表を作ってみました。

L-758D L-478D L-308S L-398A L-208
受光方式 入射・反射光式 入射光式 入射・反射光式 入射・反射光式 入射・反射光式
液晶表示
露出プロファイル機能
反射光測定 5°(要オプション) 40° 30° 33°
フラッシュ光測定
分離測光
メモリー機能 9点 9点
アベレージ機能
フラッシュコードレス
光球・平板切替
電池容量表示  ◯ 電池不要
使用電池 CR123A×1 単4電池×2 単3電池×1 電池不要 CR2032×1
三脚用ネジ穴
自動電源OFF 電池不要
液晶バックライト 液晶なし 液晶なし
 生活防水
 寸法
(mm)
90(W)
170(H)
48(D)
57(W)
140(H)
26(D)
60(W)
110(H)
22(D)
58(W)
112(H)
34(D)
45(W)
65(H)
24(D)
 質量 268g 130g 95g 190g 45g
特徴 多機能・高耐久・操作性 大画面表示・多機能・軽量 小型・軽量・シンプル操作 電池不要・シンプル操作 小型・軽量

■露出計選びのポイント


基本的な選び方のポイントを2つ

・反射光は計るのか?
・フラッシュ光測定は必要か?

最重要なのはこの2点かと思います。本格的に使うならL-758D(入射光・反射光・ストロボ光対応)か旧モデルのL-358D(入射光・ストロボ光対応。ただし中古のみ)、この二つはかなりしっかりした露出計ですので、頻繁にスタジオポートレートや物撮りをするという方にはオススメです。

物は試しに使ってみたいという方や、たまに使うだけならL-308S(入射光・ストロボ光対応)で十分でしょう。

次世代的なL-478D(入射光・ストロボ光・別売りアクセサリーで反射光対応)はタッチパネルの反応が悪く、ババっと操作したい私はもっさりした感じが合いませんでしたが、実際に触ってみてその辺が気にならなければ、画面が大きく本体も軽く、電池が汎用性の高い単4を使える等決して悪くない選択だと思います。

勿論新しい機種ですから、カメラのダイナミックレンジの把握などに使える露出プロファイル機能にも対応しています。

クラシックカメラに合わせるなら、L-208(入射光・反射光対応)か、コシナから出ているCOSINA VCメーターII(反射光のみ)が似合うと思います。お高いですが。

VCメーターII

■露出計に未来はあるのか?


SEKONICも最近は露出計よりもカラーメーターの方に力を入れているように見受けられます。

クラシックカメラ用途であれば需要が多いのはむしろ反射光式になるでしょうし、スタジオでは大型ストロボの進化によって露出計よりも実践的なリモートコントロール機能付きラジオスレーブによる運用方法にシフトしているのが現状です。

つまり露出計で計る手間をすっ飛ばして、とりあえず撮ってみて問題があれば手元でパパっと調光を加えるというやり方です。

ラジオスレーブのリモコンは各モノブロックやストロボヘッド毎に調光を行えるため、光数が増えても可能ですし、アシスタントがいなくても簡単にカメラ位置から調光出来るため、撮影中の変更も容易です。

現状では露出計は古い機材を使っていてラジオスレーブによる調光が出来ない、もしくはモデルではない一般のお客さんをルーチンワークで撮影するスタジオ、つまり写真館のようにライティングが固定化されていて一度ライティングを設定したら殆ど操作しない、同じライティングのままお客さんを招き入れては撮影、招き入れては撮影を繰り返すタイプの現場でしか需要がないように思います。

■露出計よ永遠に


個人的には露出計は斜陽であると思います。しかしそれとともに、露出計というクラシカルな計測機器が妙に好きでもあったりします。

画像:SEKONICCOSINA

Reported by 正隆