今日は携帯性バッチリ、旅行や徒歩での移動が多い撮影にピッタリのトラベラー三脚のご紹介です。
といっても、単なる持ち運びが楽な三脚ではなく、本格的な撮影にも対応できるちゃんとしたトラベラー三脚をご紹介していきますので、メインの三脚にも使えますよ!
「旅行に行くけど荷物いっぱいだし、三脚は重いから…まあいっか」とお考えのあなた!ちょっと待った!
トラベラー三脚一本で撮れる写真が変わり、ひいては旅の満足度も変わります。今こそ持ち歩くのが楽しみになるお気に入りの一本を探しましょう!
■トラベラー三脚の選び方
トラベラー三脚を選ぶ際のポイントとしては、以下のような点があります。
- 載せるカメラとレンズは何か?
- 機内持ち込みするのか?
- 予算
載せるカメラとレンズは何か?
まず三脚全般に言えることですが、携帯性を重視してはいけません。トラベラー三脚でもそれは同様です。載せるカメラとレンズに適合する、これはカタログ上の耐荷重のことではなく、実際に使用した場合に上に載せるカメラやレンズに見合うしっかりしたものを選びましょう。三脚は基本的に重くてゴツいものほどブレにくく載せた機材も操作しやすくなります。
機内持ち込みするのか?
次に機内持ち込みをするのかどうかという点ですが、航空機の機内持ち込みする予定ならサイズオーバーのものを選んでも意味がありません。
持ち込めるサイズの中で選ぶわけですが、トラベラー三脚は縮長が短いためにほとんどの場合問題ありませんが一応事前にスーツケースの内寸と三脚の縮長をチェックしておきましょう。
予算
お手頃価格の三脚と高級三脚の違いは、脚の材質や雲台及びクイックシューの質などです。
悲しいかなやはり良いものほど高価ですが、良いトラベラー三脚はメイン三脚としても使えるしっかりしたものになりますから、フルサイズ機や望遠レンズでも使用することができます。
■トラベラー三脚選びのポイントと人気モデルの比較
各社のトラベラー三脚の選び方のポイントと比較表を作ってみました。見るべきポイントですが、
伸高
センターポールは伸ばさずに、脚だけを伸ばした状態のことです。センターポールを伸ばすほど不安定になってしまうため、センターポールを伸ばさないこの伸長の状態でご自身の伸長から少なくともマイナス15〜20cm程度の高さが出ることが理想です。
ここにカメラが載って丁度アイレベル(目線の高さ)となります。コンパクトだからといって伸長が適正でない小さい三脚を使ってしまうと常にセンターポールを伸ばさねばならず、安定感の悪い状態でしか使えなくなってしまいます。
全伸長
センターポールを伸ばした状態での最大の高さです。全伸高は伸高ほど重要ではありませんが、目の前の柵越しに撮影するために身長よりも少し高くカメラを設置したい場合などもあるため、身長程度までは伸びた方が良いでしょう。
縮長
トラベラー三脚の場合は脚を折り返しもっとも短くした収納状態の長さとなります。海外旅行などでスーツケースに入れて運ぶような場合はスーツケースに入る最大の長さをあらかじめ把握しておきましょう。
脚径
脚の太さとなります。三脚の安定性は脚径で決まるといっても過言ではありません。しっかりした三脚かどうかは耐荷重よりも脚径を見て判断しましょう。脚径の目安としては、
- ミラーレス+ズームレンズキット→脚径22mm以上
- ミラーレス上級機or一眼レフ入門機+ズームレンズキット→脚径25mm以上
- 一眼レフ中級機以上+望遠レンズ→脚系28mm以上
となります。300mm/F2.8などの大口径望遠レンズはトラベラー三脚ではしっかりと支えるのが難しいため、トラベラータイプではないよりしっかりした三脚を使用するか、重さを支えるだけというつもりで太めの一脚でわりきって手持ち撮影に切り替えましょう。
もしくはトラベラー三脚でも大型のものであれば、三脚から離れないという条件付きで使用することは可能ですが、安定性や操作性の面で理想的な組み合わせではないということは理解して使用しましょう。
段数
脚が何段で構成されているかを記載しています。段数が多ければそれだけ縮められますから縮長を短くできますが、段数が多いほど段落ち(下の段になるほど脚が細く不安定になること)が激しくなり安定性が落ちます。
またベルボンで採用しているウルトラロックのようなものは構造的に段落ちが少ないため段数が多くてもそれほど問題ではありませんが、一般的な三脚の場合、段数が多いほど設置や撤収にロックの操作が増えるため設置性が落ちます。
材質
主にカーボンとアルミのタイプがあります。カーボンの方が同じ強度であれば軽く、同じ重さであればより高い強度を得られます。
また寒冷地などで触った際にも寒さが伝わりにくく快適に持ち運んだり設置することができ、振動の収まりが早いため、風で三脚が揺らされたり、車などの影響で地面から三脚に振動が伝わった場合などに収まりが早く、夜景や花火など長秒露光などでは、露光開始のタイミングをある程度自由にとりやすいメリットがあります。
耐荷重
メーカーによって社内基準がまちまちであるため、耐荷重(載せても壊れない)を表記しているメーカーもあれば、推奨積載質量(実用的な上限)を表記しているメーカーもあります。
そのため耐荷重を基準に頑丈な三脚かどうかを判断することは出来ませんが、同じメーカーの三脚同士であれば、耐荷重が高いものほどしっかりした三脚と考えて良いでしょう。
重量
トラベラー三脚の場合、携帯性を求めてトラベラータイプを選ぶわけですから重量を完全に無視することはできませんが、積載するカメラとレンズに見合ったものを選びましょう。
軽いからといって撮影機材に見合わない三脚を使っても不安定になるだけですから、持ち運べる範囲で可能な限りしっかりした三脚を選びましょう。
メーカー | Velbon | Manfrotto | Gitzo | Gitzo | ||
機種名 | UT-53Q | UT-63Q | MKBFRA4-BH | MKBFRC4-BH | GK1545T-82TQD | GK2545T-82QD |
伸高 | 1,401mm | 1,362mm | 1,230mm | 1,210mm | 1,405mm | 1,420mm |
全伸高 | 1,560mm | 1,510mm | 1,440mm | 1,420mm | 1,635mm | 1,655mm |
縮長 | 275mm | 278mm | 400mm | 400mm | 425mm | 445mm |
脚径 | 27.0mm | 30.0mm | 22.0mm | 22.0mm | 25.3mm | 29.0mm |
段数 | 6段 | 6段 | 4段 | 4段 | 4段 | 4段 |
材質 | アルミ | アルミ | アルミ | カーボン | カーボン | カーボン |
耐荷重 | 2.5kg | 3kg | 4kg | 4kg | 10kg | 12kg |
重量 | 1,400g | 1,590g | 1,400g | 1,100g | 1,450g | 1,840g |
■ズバリおすすめのトラベラー三脚は?
ミラーレス、エントリー一眼レフ、中級一眼レフとキットレンズ程度の望遠レンズでの使用目的であれば、手頃な価格のものであればVelbonのUT-53Q、高品質を求めるならGitzoのGK1545T-82TQDがおすすめです。
フルサイズ+望遠レンズでの使用であれば、UT-63Qかいっそトラベラー三脚の最高峰、GK2545T-82QDをおすすめします。
高価な三脚ですが、脚も更に改良され最下段で40%も太くなり、ナットロックも複数を一度に緩めたり締めたりできるように小型化され、自由雲台もフリクションコントロールを搭載し脚を折り返した最に当たりにくくなっています。
大きすぎたクイックシューは小型化されてもちろんアルカスイス規格と、今考えうる最高のトラベラー三脚を実現しています。良い三脚は非常に長持ちであるため投資に見合う成果を得られるでしょう。
■人生の旅人たちへ
良いトラベラー三脚はあなたのフォトライフの信頼できる旅の仲間となるでしょう。しっかりした三脚は定期的にメンテナンスを行えば日常的に三脚を使用するかたでも20年は十分に使えます。
そしてその20年の間あなたの写真にずっと支え続けるのですから、カメラやレンズどころではありません。
三脚が変わればあなたの写真が変わります。この機会にぜひあなたの旅の仲間を探してみてはいかがでしょうか?
画像:Gitzo
Reported by 正隆