シグマから全域F1.8の50-100mm F1.8 DC HSM Artと30mm F1.4 DC DN Contemporaryが発表されました。
APS-C用のF1.8通しズームレンズとしては2本目となる50-100mm F1.8 DC HSM ArtはAPS-C機でもフルサイズF2.8通しレンズ並みのボケ量を得られるAPS-C派にとって魅力のあるレンズです。この独創的な2本のレンズの魅力を見ていきましょう。
■50-100mm F1.8 DC HSM Artの特長と魅力
高性能単焦点レンズと同等の明るさと解像力をもちつつ、APS-C機でもフルサイズ並みのボケを得られるこのレンズは、表現の幅を大きく向上させるでしょう。
世界で初めてズーム全域で開放F値1.8を実現した18-35mm F1.8 DC HSM Art、そのコンセプトはそのままに、中望遠域をカバーする大口径中望遠ズームとして開発されたのが、この50-100mm F1.8 DC HSM Artです。
背景のボケを生かしたポートレート撮影などに最適な、85mm F1.8、105mm F1.8、135mm F1.8相当(35mm判換算)という、単焦点レンズ3本分以上の焦点域をカバー。「ズームレンズ」の新しい画質基準を確立する一本となることでしょう。
メーカー希望小売価格は15万5,000円(税別)、キヤノン用、シグマ用、ニコン用をラインナップするとのことです。
■50-100mm F1.8 DC HSM Artの写りは?
50-100mm F1.8 DC HSM Artはレンズ構成も非常に贅沢なものとなっており、蛍石と同等の性能を持つFLD(“F” Low Dispersion)ガラスをなんと3枚。
SLD(Special Low Dispersion:特殊低分散)ガラスを1枚、高屈折率SLDガラス3枚、高屈折率高分散ガラス1枚を最適に配置し、軸上色収差、倍率色収差を徹底的に補正。各群に1枚以上の低分散ガラスを用いることでズーム全域、フォーカス全域で高画質を実現しています。
いやいや本当にとてつもなく贅沢なレンズ構成となっています。これなら従来フルサイズ機でポートレート撮影を行っていた方でも十分満足できるものとなるのではないでしょうか?
■SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM Artのオートフォーカス性能は?
サードパーティ製レンズを購入するに際して不安になるのはやはりそのオートフォーカスの速度と精度です。
50-100mm F1.8 DC HSM Artでは開放値F1.8と高画質を両立するため、今回シグマは超音波モーターHSMを新開発。HSMの構成見直しとパーツ形状の最適化を図り、従来のHSMより約30%の薄型化を実現しました。この薄型化により、従来では困難であった開放値F1.8と高画質両立を図ったズームレンズが完成させたとのことです。
尚、従来のHSMと変わらずAF駆動中でもフォーカスリングを回転させるとマニュアルフォーカスに切り替わる新フルタイムマニュアル機構を搭載。フォーカスモードを切り替えることなく素早いピント調整が可能です。
また、別売りのSIGMA USB DOCKを使用することで、従来のフルタイムマニュアルに切り替えることもできます。
■当然のインナーフォーカス・インナーズーム!三脚座もあるよ!
静止画はもちろん、動画撮影でも使用されることが多い18-35mm F1.8 DC HSM Art 。このレンズと同時に使用されることを考慮し、レンズ交換しても同じ操作感を実現するため、50-100mm F1.8 DC HSM Artもズームやフォーカスの感触を同じにする様に配慮しました。
全長の変化しないインナーフォーカス、インナーズーム方式を採用。ズームによる焦点移動にも配慮しました。バリフォーカルレンズではありますが、メカニカルコンペンセーションが採用されているのではないかと予想されます。
手持ち撮影時のホールディング性や操作性を考慮し、三脚座を小型化。無電解ニッケルメッキを施したパーツを使用することで品位・耐久性のある90°毎のクリックストップを実現。縦位置、横位置の切り替えもスムーズに。レンズ携帯時にも負担が掛かりにくい形状です。
三脚座に関しては手持ち撮影時のホールディング性や操作性を考慮し、三脚座を小型化。無電解ニッケルメッキを施したパーツを使用することで品位・耐久性のある90°毎のクリックストップを実現。縦位置、横位置の切り替えもスムーズに。レンズ携帯時にも負担が掛かりにくい形状です。
■30mm F1.4 DC DN Contemporaryの特長と魅力
30mm F1.4 DC DN Contemporaryは、本格的な大口径レンズの楽しさをミラーレスシステムで体験できる、開放値F1.4の明るさを持つ大口径標準レンズです。
既にミラーレス用の30mmレンズとしては30mm F2.8 DN Artが発売されており人気がありますが、今回発表された30mm F1.4 DC DN Contemporaryは、「より大口径のレンズが欲しい」という要望に応えた形となっています。
35mm判換算50mmに近い画角で、明るさがF1.4の単焦点レンズは、比較的人間の視野に近い画角を持ち、開放の浅い被写界深度を生かしたポートレートやテーブルフォト、絞りを絞って被写界深度を深くしたスナップや風景写真など、写真の基本となる様々な撮影法が楽しめることから昔から標準レンズとして親しまれてきました。
マイクロフォーサーズマウントで35mm換算約60mm、ソニーEマウントで換算約45mm相当の開放値F1.4の標準レンズとしてお使いいただけます。
■大口径でも小型軽量を実現したミラーレスレンズならではの設計思想
30mm F1.4 DC DN Contemporaryは、ショートフランジバックを採用した小型軽量なカメラボディで使用する際のバランスを考えてコンパクト化を実現。
動画撮影でも快適なAFを実現するためにフォーカス群の設計を考慮するなど、高画質を最優先にしながらも小型化と快適な操作性を共に実現しました。歪曲収差はデジタル補正を採用するなど、最先端のテクノロジーを投入しています。
前玉に高屈折率高分散ガラスを採用して大きな屈折力を確保し、レンズ全長の短縮を図りました。ミラーレスカメラに最適化したレンズタイプに、非球面レンズを採用し高画質化と小型化を実現。
インナーフォーカスを採用し、フォーカス部分のレンズ軽量化によるアクチュエータの小型化も達成。ホールディングやボディを置いた際の安定感を高めました。
■新素材で強度と軽量化の両立を実現!
新複合材TSCは、シグマによると、アルミニウムと同等の熱膨張係数を持つポリカーボネート素材で、温度変化による膨張及び収縮が低く抑えられているため、弾性率が高いことも特長の一つで、ガラス含有率20%のポリカーボネートものよりも70%、同含有率30%のものよりも25%高い弾性率を持ち、弾性が高いため塑性変形が少なく、パーツ間のガタを最小限に抑制できるとのことです。
30mm F1.4 DC DN Contemporaryでは、レンズ鏡筒のみならず、絞りの部品にもTSCを採用し、ボディのコンパクト化を実現するとともに、絞りの滑らかな駆動を可能にしました。また、鏡室やフォーカス付近のパーツにも採用し高い精度でのレンズ作りに寄与、レンズ性能を最大限に発揮させています。
耐久性が求められるマウント取り付け部分には、高い精度と堅牢性を兼ね備えた真鍮製マウントを採用。長期使用に耐えうるよう、表面処理を施して強度を高め、高品質なレンズづくりを実現しました。
画像:Amazon
Reported by 正隆