Bloombergによると、オリンパス米子会社がアメリカで医師にキックバックを提供し、中南米の当局者に賄賂を支払っていたとされる問題で、同社は米司法当局による刑事捜査と民事調査を決着させるため6億4600万ドル(約717億円)を支払うことに同意したとのこと。
またフロリダ州やブラジルに拠点を置くグループ会社2社も海外の医師に便宜を図ったなどととして、この和解に伴う経費は総計で約740億円余にのぼるとのことです。
■今回のオリンパスの問題と事件の流れ
米オリンパスは、キックバックの件の決着で6億2320万ドル(約740億円)を支払うこととなりました。
米国でのこうしたケースでの支払額としては過去最大。医療機器メーカーによる支払いとしても過去最高。米オリンパスは医師や病院からビジネスを確保するため豪華な食事や旅行、ワイン醸造所見学などを提供していたとのことです。
米ニュージャージー州のポール・フィッシュマン連邦検事は1日、ニューアークでの記者会見で、病院や医師に金銭的利益を提供することで6億ドル相当の契約を確保し、2006年から11年までに70億ドル相当の医療機器を販売したと指摘しています。
「数年にわたり、オリンパスの2子会社のマーケティング計画には大規模なキックバックが含まれた。特に驚かされたのは、米オリンパスの従業員がキックバックを支払っていた期間のほとんどについて、同社にはコンプライアンス責任者がいなかったことだ」と指摘しました。
当局による捜査は、米オリンパスの元最高コンプライアンス責任者ジョン・スロウィク氏が10年に米虚偽請求取締法に基づき内部告発の訴訟を起こした後に始まっており、勤続19年のジョン・スロウィク氏は同年に解雇されています。
スロウィク氏の弁護士を務めるケニー・アンド・マカファティのタビー・デミング氏とキャサリン・シリング氏は発表資料で、スロウィク氏は最高コンプライアンス責任者に起用されてから間もなくして「オリンパスの営業・マーケティングの成功はキックバックによるものだったことを発見」し、不正をやめさせようと取り組んだものの、オリンパスは「企業責任よりも利益拡大を選択した」と説明しました。今回の決着に伴いジョン・スロウィク氏には5110万ドルが支払われるとのことです。
オリンパスは今回の費用を既に引当金(将来予想される特定の支出や損失に備えるために企業が積み立てるお金のこと)で計上しており業績への影響は無いとのことです。
Reported by 正隆