BCNが「BCN AWARD 2017」(2016年分)を発表しました。BCN AWARDは、全国の家電量販店やカメラ量販店などの実売データをもとに、デジタル家電やパソコン関連製品の販売台数を集計し部門別に2016年の年間販売台数No.1メーカーを表彰するもので、18回目を迎える今回は、121部門で58社が受賞したとのこと。
果して2016年一番売れたメーカーはどこなのか?今回は一眼レフ・ミラーレス・コンデジ・レンズ・三脚などカメラに関わるさまざまな製品のシェアをご紹介したいと思います。
■デジタル一眼レフ部門
年 | 1位 | 2位 | 3位 |
2017 | キヤノン(63.3%) | ニコン(31.6%) | リコー(4.8%) |
2016 | キヤノン(56.2%) | ニコン(36.7%) | リコー(6.7%) |
2015 | キヤノン(54.7%) | ニコン(39.1%) | リコー(4.5%) |
2014 | キヤノン(49.2%) | ニコン(42.5%) | リコー(5.2%) |
2013 | キヤノン(52.7%) | ニコン(35.1%) | ソニー(7.1%) |
2012 | キヤノン(46.3%) | ニコン(39.2%) | ペンタックス(7.5%) |
デジタル一眼レフ部門は、1位:キヤノン、2位:ニコン、3位:リコーイメージング(ペンタックス)となっています。
BCN AWARD 2016(2015年分)と比較すると、BCN AWARD 2017(2016年分)はキヤノンがシェアを伸ばしニコンとリコーがシェアを大きく落としています。これは昨年EOS Kiss X7 ダブルズームキットとEOS Kiss X8i ダブルズームキットが売れ続け非常に長い期間1,2位を独占していたことが要因と考えられます。また秋に発売されたEOS 5D Mark IVも高価ではあるものの好調なセールスを続けているようです。
対するニコンはD5やD500、ペンタックスもK-1と話題性の高い機種を発売したもののシェアを上げるには至りませんでした。ニコンユーザーの私としてはニコンにも巻き返しを期待したいところです。
BCNランキングはすべてのカメラ販売店を対象としているわけではないものの、シェアで大きな差を付けられたニコンとペンタックスにとって2017年は勝負の年となりそうです。
■ミラーレス部門
年 | 1位 | 2位 | 3位 |
2017 | オリンパス(26.8%) | キヤノン(18.5%) | ソニー(17.9%) |
2016 | オリンパス(34.5%) | ソニー(24.8%) | キヤノン(13.6%) |
2015 | ソニー(34.3%) | オリンパス(22.3%) | パナソニック(11.9%) |
2014 | オリンパス(28.9%) | ソニー(26.5%) | パナソニック(14.2%) |
2013 | オリンパス(29.8%) | パナソニック(23.3%) | ソニー(20.1%) |
2012 | オリンパス(36.6%) | パナソニック(29.3%) | ソニー(27.3%) |
2011 | パナソニック(38.7%) | ソニー(32.2%) | オリンパス(29.1%) |
ミラーレス部門はオリンパスが2年連続で1位を獲得しています。一昨年は初めてシェア1位を獲得したソニーでしたが、BCN AWARD 2017ではキヤノンに抜かれて3位に順位を下げています
対するキヤノンは「ミラーレスでもシェアトップを目指す」と公言しているように年々順位を上げて2位までシェアを上げています。
オリンパスは1位とはいえBCN AWARD 2016ではシェア34.5%だったにも関わらず、今年は26.8%と大きくシェアを落としています。またソニーは昨年シェア24.8%でしたが、今年は17.9%とこちらも大きくシェアを下げています。
対してキヤノンはBCN AWARD 2016では13.6%から18.5%へと大きくシェアを上げています。2016年キヤノンはEOS M3、EOS M10、EOS M5の3機種を投入しています。一眼レフ・ミラーレス・コンパクトでのキヤノンの三冠が近づいているのかも知れません。
■コンパクトデジタルカメラ部門
年 | 1位 | 2位 | 3位 |
2017 | キヤノン(27.3%) | ニコン(22.1%) | カシオ(19.3%) |
2016 | キヤノン(30.5%) | ニコン(21.0%) | カシオ(14.8%) |
2015 | キヤノン(28.7%) | ニコン(15.3%) | カシオ(15.2%) |
2014 | キヤノン(20.0%) | ニコン(15.5%) | ソニー(15.4%) |
2013 | キヤノン(17.6%) | ソニー(16.5%) | ニコン(14.1%) |
2012 | キヤノン(16.9%) | ソニー(15.1%) | カシオ(13.9%) |
2011 | キヤノン(19.0%) | カシオ(15.2%) | パナソニック(13.9%) |
2010 | キヤノン(19.6%) | カシオ(18.6%) | パナソニック(14.6%) |
2009 | キヤノン(18.3%) | カシオ(15.4%) | パナソニック(15.2%) |
2008 | キヤノン(19.8%) | 松下電器産業(16.1%) | ソニー(14.1%) |
2007 | キヤノン(21.0%) | カシオ(16.3%) | ソニー(15.2%) |
2006 | キヤノン(18.5%) | カシオ(14.7%) | 松下電器産業(12.7%) |
コンパクトデジタルカメラ部門の1位を獲得したのはまたしてもキヤノンでした。キヤノンは高級コンパクトのPowerShot G7 X Mark IIや人気の中級機であるPowerShot SX720 HS、リーズナブルなIXY 190など満遍なく売れたことが要因と考えられます。
しかしながらコンパクトデジタルカメラ部門に関してはキヤノンはシェアを落としており、ニコンが微増、カシオが大幅増となっています。
カシオのコンデジといえば「自撮り」と「ハイスピード」ですが、一眼レフやミラーレスをラインアップしないカシオはある意味一番コンデジに本気なメーカーなのかも知れません。
■交換レンズ部門
年 | 1位 | 2位 | 3位 |
2017 | キヤノン(24.0%) | シグマ(14.3%) | ニコン(12.5%) |
2016 | キヤノン(24.1%) | ニコン(15.2%) | シグマ(13.5%) |
2015 | キヤノン(21.2%) | ニコン(15.2%) | シグマ(13.3%) |
2014 | キヤノン(20.2%) | ニコン(18.9%) | シグマ(12.6%) |
2013 | キヤノン(23.3%) | ニコン(19.6%) | タムロン(14.5%) |
2012 | キヤノン(21.7%) | タムロン(20.3%) | ニコン(19.7%) |
2011 | キヤノン(24.9%) | ニコン(20.4%) | タムロン(15.5%) |
2010 | キヤノン(26.3%) | ニコン(23.3%) | シグマ(14.1%) |
交換レンズに関してはキヤノンが今年も1位を獲得しています。
などが好調であることが理由のようです。
対して昨年3位だったシグマはシェアを上げ遂に2位となりました。シグマはArtシリーズなどの高品質なレンズラインアップでじわじわと評価を上げ、それに伴い毎年少しずつシェアを上げてきました。
カメラメーカー以外がシェア2位を獲得したのはBCN AWARD 2012(2011年分)のタムロン以来5年ぶりとなっています。シグマは今年、
などのArt、Sportsシリーズを中心に発売しており、もうシグマはリーズナブルなレンズメーカーというよりは、高品質なレンズメーカーとして積極的に選ばれるメーカーとして定着したと言えるでしょう。
■ビデオカメラ部門
年 | 1位 | 2位 | 3位 |
2017 | パナソニック(41.8%) | ソニー(36.0%) | JVCケンウッド(19.9%) |
2016 | パナソニック(37.8%) | ソニー(36.7%) | JVCケンウッド(20.3%) |
2015 | ソニー(43.0%) | パナソニック(30.3%) | JVCケンウッド(16.2%) |
2014 | ソニー(37.1%) | パナソニック(27.8%) | JVCケンウッド(24.4%) |
2013 | ソニー(40.2%) | パナソニック(24.8%) | JVCケンウッド(18.2%) |
2012 | ソニー(33.6%) | パナソニック(25.6%) | JVCケンウッド(16.9%) |
2011 | ソニー(37.7%) | パナソニック(21.5%) | キヤノン(13.6%) |
2010 | ソニー(40.8%) | パナソニック(24.4%) | 日本ビクター(20.3%) |
2009 | ソニー(36.1%) | パナソニック(20.9%) | 日本ビクター(20.7%) |
2008 | ソニー(38.5%) | ビクター(20.7%) | 松下電器産業(15.9%) |
2007 | ソニー(35.5%) | ビクター(18.8%) | キヤノン(16.3%) |
2006 | ソニー(38.6%) | 松下電器産業(21.1%) | キヤノン(16.4%) |
2005 | ソニー(44.1%) | キヤノン(19.9%) | 松下電器産業(18.6%) |
ビデオカメラ部門はパナソニックが2年連続でシェア1位を獲得しています。ソニーのシェア自体は昨年からほとんど変わっていませんが、パナソニックは4%もシェアを伸ばしており、好調が見て取れます。
■アクションカム部門
年 | 1位 | 2位 | 3位 |
2017 | GoPro(51.2%) | ソニー(15.5%) | パナソニック(13.7%) |
2016 | GoPro(33.9%) | ソニー(25.4%) | パナソニック(20.5%) |
アクションカムは王者GoProがHERO5やHERO5 Sessionなどでシェアを伸ばし、昨年の33.9%から51.2%まで大きくシェアを伸ばしています。その反面ソニーとパナソニックはシェアを大きく落としています。
■三脚・一脚部門
年 | 1位 | 2位 | 3位 |
2017 | ベルボン(18.2%) | ハクバ写真産業(13.8%) | スリック(10.3%) |
2016 | ベルボン(21.0%) | ハクバ写真産業(12.9%) | 新東京物産(11.5%) |
2015 | スリック(18.9%) | ハクバ写真産業(17.1%) | ベルボン(16.9%) |
2014 | スリック(25.7%) | ハクバ写真産業(18.3%) | ベルボン(9.4%) |
2013 | スリック(24.9%) | ハクバ写真産業(17.5%) | Joby(10.2%) |
2012 | スリック(28.9%) | ハクバ写真産業(18.2%) | Joby(13.2%) |
三脚部門は2年連続ベルボンがシェアNo.1を獲得しています。ウルトラロックの発明以降じわじわとシェアを上げ続けたベルボンがUT-63やUT-43などを好調に売り続け、三脚業界シェアNo.1の地位を確立しつつあるようです。対するかつての王者スリックはここ数年元気がなく、苦戦が続いているようです。
アルカスイス系雲台が無いわけではないものの、基本的には国内三脚メーカーはアルカスイス系雲台へ主軸を移す気はなく、独自の発展を目指しているようです。
■カメラバッグ部門
年 | 1位 | 2位 | 3位 |
2017 | ハクバ写真産業(25.0%) | エレコム(20.2%) | ニコン(4.5%) |
2016 | エレコム(27.4%) | ハクバ写真産業(18.6%) | キヤノン(4.8%) |
2015 | エレコム(33.2%) | ハクバ写真産業(16.4%) | ソニー(5.1%) |
2014 | エレコム(29.1%) | ハクバ写真産業(13.7%) | サンワサプライ(9.2%) |
2013 | エレコム(30.8%) | サンワサプライ(15.1%) | ハクバ写真産業(13.8%) |
カメラバッグ部門ではハクバ写真産業が遂にシェアNo.1を獲得しました。ロープロをはじめとする数々のカメラバッグブランドを擁するハクバですが、フリップサイド400AWやフリップサイドトレック BP 450 AWなど比較的高単価なモデルも人気のようです。
■インクジェットプリンタ部門
年 | 1位 | 2位 | 3位 |
2017 | キヤノン(45.9%) | エプソン(40.4%) | ブラザー(11.6%) |
2016 | キヤノン(45.5%) | エプソン(39.1%) | ブラザー(10.9%) |
2015 | キヤノン(42.6%) | エプソン(39.4%) | ブラザー(12.0%) |
2014 | セイコーエプソン(41.6%) | キヤノン(40.0%) | ブラザー(10.8%) |
2013 | セイコーエプソン(42.5%) | キヤノン(40.1%) | ブラザー工業(9.7%) |
2012 | セイコーエプソン(45.0%) | キヤノン(39.3%) | ブラザー工業(8.8%) |
2011 | キヤノン(44.6%) | セイコーエプソン(41.8%) | ブラザー工業(7.6%) |
2010 | キヤノン(44.2%) | セイコーエプソン(42.8%) | ブラザー工業(7.7%) |
2009 | セイコーエプソン(44.6%) | キヤノン(42.5%) | ブラザー工業(7.4%) |
2008 | キヤノン(45.2%) | セイコーエプソン(44.7%) | 日本ヒューレット・パッカード(3.7%) |
2007 | キヤノン(46.5%) | セイコーエプソン(44.3%) | 日本ヒューレット・パッカード(3.2%) |
2006 | セイコーエプソン(45.9%) | キヤノン(43.4%) | 日本ヒューレット・パッカード(5.7%) |
2005 | キヤノン(59.6%) | セイコーエプソン(37.0%) | レックスマーク(2.0%) |
2004 | セイコーエプソン(51.6%) | キヤノン(45.6%) | 日本ヒューレット・パッカード(1.3%) |
2003 | セイコーエプソン(51.0%) | キヤノン(42..7%) | 日本ヒューレット・パッカード(3.5%) |
2002 | セイコーエプソン(50.4%) | キヤノン(38.2%) | 日本ヒューレット・パッカード(5.5%) |
2001 | セイコーエプソン(52.4%) | キヤノン(31.5%) | NEC(6.1%) |
2000 | セイコーエプソン(56.0%) | キヤノン(28.2%) | HP(6.2%) |
インクジェットプリンタ部門では、キヤノンが3年連続で1位を獲得しました。写真用としては10色顔料インクのPIXUS PRO-10Sと8色染料インクのPIXUS PRO-100Sが有名ですが、どちらにするかは非常に悩ましいところでしょう。
画像:BCN
Reported by 正隆