
写真では「カメラブレ」や「被写体ブレ」と呼ばれる画像のブレが発生しますが、今回はこの写真における「ブレの種類」と「ブレの対策」についてご紹介します。
■カメラブレ(手ブレ)とは?
カメラブレ(手ブレ)とは?
カメラブレ(手ブレ)とは、露光中にカメラが動いてしまうために画面全体がブレる(揺れたように不鮮明に写る)ものです。
カメラブレといってもカメラが動いてしまう向きには、
- 角度ブレ
- 回転ブレ
- 並進ブレ
などがあり、また角度ブレの中にもティルト方向(ピッチ)やスイング方向(ヨー)のブレがあり、並進ブレには左右方向(X軸)と上下方向(Y軸)とさらに前後方向(Z軸)の動きもあります。
加えてカメラ自体が左右に回転させる方向に動く回転ブレ(ロール)と呼ばれるブレ方もあります。
ただし、前後方向(Z軸)のカメラの動きは、ブレというよりはピントのズレとなって現れ、左右方向(X軸)と上下方向(Y軸)の並進ブレは、極端に近い被写体を撮影するマクロ領域の撮影をのぞくと、角度ブレと比較して画像に対するブレの影響は小さくなります。
カメラブレ(手ブレ)の対策
カメラブレ(手ブレ)の代表的な対策としては、
- シャッタースピードを上げる
- レンズやカメラボディの手ブレ補正機能を利用する
- 三脚などの固定具を使用する
などがあります。
1.の「シャッタースピードを上げる」は、シャッタースピードを上げることで露光中のカメラの動く量(ブレ量)を減らすという考え方です。
明るいレンズを使用したり、ISO感度設定を高めに設定することで、より速いシャッタースピードを実現します。
シャッタースピードを上げるという方法は、カメラブレを防ぐだけでなく、後に解説する被写体ブレの抑制にも効果があるものの、十分に明るくない撮影環境においては、高いシャッタースピードを得るためには、明るいレンズを使用することで携帯性が犠牲になったり、ISO感度を高く設定するために画質が犠牲になるといったデメリットが発生する場合もあります。
2.の「レンズやカメラボディの手ブレ補正機能を利用する」は、手ブレ補正機構を搭載したレンズやボディを使用することで、ブレを抑制するものです。
手ブレ補正機構は昨今非常に進化しており、より多くの種類の手ブレに対して、より強力に作用するようになりました。
そうした手ブレ補正機構でも、数秒を超えるような長秒露光や前後方向(Z軸)のブレには対しては効果が見込めないため、三脚を使用するといった対策が必要になります。
3.の「三脚などの固定具を使用する」は、三脚などの固定具を使用することで露光中にカメラが動くことを防ぐものです。
また、一脚やカメラ用のクランプといったアクセサリーも、カメラブレの抑制に利用される場合があります。
三脚はカメラブレを抑制する方法として強力な方法ではあるものの、撮影環境や三脚そのものの性能、また三脚と積載するカメラやレンズとのバランスなどによっては、三脚を使用してもブレが発生することはままあり、三脚を使用すればどのような条件下でもブレを止めることが出来るということではありません。
また、シャッタースピードを上げる方法は、この後ご紹介する「被写体ブレ」を防ぐ効果もあるのに対して、手ブレ補正機能や三脚といったカメラの固定具は、被写体ブレを防ぐことは出来ません。
■被写体ブレとは?
被写体ブレとは?
被写体ブレとは、露光中にカメラではなく被写体が動いてしまうために、動いている被写体がブレる(揺れたように不鮮明に写る)ものです。
被写体ブレとカメラブレは同時に発生する場合もありますが、例えば一つの画面内で、静止している物体や風景・建築物などがカッチリとブレずに写っているにも関わらず、風に揺れる草木や人物・動物といった動く被写体だけがブレている場合は、カメラブレではなく被写体ブレが原因であると言うことが分かります。
被写体ブレの対策
被写体ブレに対しては、レンズやカメラボディに搭載されている手ブレ補正機構は効果がありません。また、三脚などの固定具も効果がないことに注意しましょう。
これは動いているのがカメラではなく被写体であるためで、カメラ側を幾ら動かないように配慮しても意味がないためです。
被写体ブレに関しては、シャッタースピードを上げることでブレ量を減らすことが可能ですが、シャッタースピードを上げるためには、十分に明るくない撮影環境下では、前述したような明るいレンズを使用したり、ISO感度を上げることによる画質の劣化などの制約を受ける場合があります。
また、被写体ブレは動く被写体に対してカメラを適正に向けながら撮影することで動感を表現する「流し撮り」といった技法や、そもそも敢えて被写体ブレを撮るという表現方法もあります。
■心ブレブレとは?
心ブレとは?
撮影意図や設定に迷いがあるために、明確な意図のないままにほとんど同じようなショットを何度も撮り直してしまったり、無意味な構図を「とりあえず」という理由で撮影することを「心ブレ」といいます。私は。
結果的に無意味に撮影時間が伸びたり、撮影後のセレクトが大変になるだけでなく、一枚一枚の撮影が雑になるために、肝心の部分で詰めが甘くなってしまうということに繋がる場合があります。
心ブレの対策
試行錯誤をしてみるのも大切ですが、シャッターボタンを押す前によく考えてからシャッターを切るのが良いでしょう。
また、機械式フィルムカメラで撮影していた頃を思い出して、シャッターを切れる回数に縛りを設けて、一枚一枚心を込めて撮影するのも一つの手段でしょう。
いずれにせよ、帰宅してから「ああ、なぜこの時もっと良く考えて、ちゃんと撮らなかったんだろう」といった後悔のないように撮影することが肝心です。
また、実験のつもりでさまざまな撮り方にチャレンジしてみることは良いことですから、堅苦しく考える必要はありません。
画像:正隆
Reported by 正隆