全国の家電量販店やECサイトのPOSデータから集計したBCNランキングによると、2018年7月までフルサイズミラーレス市場はソニーがほぼ100%に近いシェアを確保していましたが、キヤノンとニコンがEOS RとZ7でこの市場に参入、わずか2機種で32.6%ものシェアを獲得し、対してソニーのシェアは67.0%まで後退したと伝えています。
そこで今回はこのフルサイズミラーレス市場の最近の動向についてご紹介します。
■台数ではキヤノン、金額ではニコンが伸びる
フルサイズミラーレス機種別シェア | |||
順位 | 機種名 | 平均単価 | シェア |
1位 | EOS R ボディ | 226,000円 | 22.1% |
2位 | α7 III ボディ | 218,000円 | 17.1% |
3位 | α7 III ズームレンズキット | 237,000円 | 16.9% |
4位 | α7 II ズームレンズキット | 137,000円 | 8.5% |
5位 | α7R III ボディ | 310,000円 | 6.5% |
6位 | Z7 24-70+FTZキット | 473,000円 | 5.0% |
7位 | α7 II ボディ | 119,000円 | 4.2% |
8位 | α7R II ボディ | 186,000円 | 4.0% |
9位 | α7 III ズームレンズキット | 257,000円 | 2.3% |
10位 | α7 III ボディ | 236,000円 | 2.1% |
※2位と10位、3位と9位が同じモデルになっていますが、元のBCN+Rと同じ表記としています。 |
10月のフルサイズミラーレスの台数シェアは、以下のようになっています。
順位 | メーカー名 | シェア | |||
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||
1位 | ソニー | 99.5% | 92.0% | 79.1% | 67.0% |
2位 | キヤノン | ー | ー | 8.1% | 22.1% |
3位 | ニコン | ー | 7.6% | 12.3% | 10.4% |
台数のキヤノン、高単価のニコン
やはりキヤノンの販売力は恐るべき破壊力で、ソニーαシリーズの現行機が9機種に対し、EOS Rは1機種で22.1%というのは、発売間もない時期とは言え驚愕の販売力と言えるでしょう。
加えてEOS Rの発売日は10月25日であるため、このシェアは予約分と発売日から僅か7日間のみの数字という点も見逃せません。
今後値段がこなれ、レンズキットのラインナップなどが増えれば、EOS Rはさらに伸びるものと考えられます。
対してニコンのシェアは10.4%とキヤノンの約半分ですが、こちらもキヤノン同様に発売済みのモデルはZ7のみであり、またZ7は価格帯が30万円後半から40万円後半という非常に高価な機種であるため、金額ではEOS Rやα7 IIIの2倍近くなっています。
また、Zシリーズの当面の販売シェアでの主力は価格帯の低いZ6でしょうから、キヤノン同様にニコンもさらにシェアを上げる可能性があります。
一転窮地に立たされたのはソニーで、僅か3カ月間でシェアを3割以上も落とすというのは、相当苦しい展開になったと言わざるを得ません。
BCN+Rでも、
“11月下旬にはニコンのフルサイズミラーレス一眼「Z6」の販売が控えている他、ボディのみの販売であるEOS Rがレンズをセットにして販売となる可能性を秘めている。
キヤノンとニコンが、さまざまな戦略を打ち出す要素がある以上、ソニーの販売シェアはさらに減少する可能性がある。”
と予想されています。
■伸びるフルサイズ市場、APS-Cは横ばい、フォーサーズ市場は減少
販売数量 | 販売金額 | |||
期間 | 2017/10 | 2018/10 | 2017/10 | 2018/10 |
APS-C | 51.8% | 59.2% | 49.9% | 48.9% |
フォーサーズ | 36.4% | 28.6% | 36.7% | 22.2% |
フルサイズ | 2.9% | 10.6% | 8.2% | 27.2% |
その他 | 8.9% | 1.6% | 5.2% | 1.7% |
成長するフルサイズミラーレス市場、最も煽りを受けているのはフォーサーズ
ミラーレスカメラのセンサー別販売シェアを見てみると、APS-Cセンサー搭載機は台数シェアでは伸びているものの、販売額のシェアでは下げています。しかしそれほど顕著にフルサイズミラーレスの影響を受けているわけではないようです。
対してフルサイズミラーレスの影響を最も強く受けているのはフォーサーズセンサーで、これは実質的にオリンパスとパナソニックのマイクロフォーサーズマウントと考えて良いでしょう。
フォーサーズセンサー搭載機は、台数シェアで-7.8%、金額シェアで-14.5%と大幅に下げており、フルサイズミラーレスの影響をもろに受ける形となっています。
最も伸びているのはやはりフルサイズセンサー搭載機で、2017年から2018年の一年間で、販売台数では約3.7倍、販売金額で約3.3倍と急上昇しています。
パナソニックもフルサイズ市場への参入を表明しており、今後この流れは加速していくでしょう。
Reported by 正隆