決定!真のカメラグランプリ2022

真のカメラグランプリ 2022

皆さんこんにちは。

毎年発表されているカメラ記者クラブ主催のカメラグランプリですが、選考委員がアレなので結果選ばれる機種が同じ場合でも、私が一人でやった方がもう少しマシな選考理由を書けるだろうということで、今回は選考委員が私一人による「真のカメラグランプリ2022」を発表します。

目次
  • 真のカメラグランプリ2022
    • 真のカメラグランプリ2022の概要
    • 大賞:ニコン Z 9
      • 選考理由
    • レンズ賞:キヤノン RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE
      • 選考理由
    • わたしが選ぶベストカメラ賞:キヤノン EOS R3
      • 選考理由
    • 真のカメラグランプリ2022の選考を終えて

※もちろん「真のカメラグランプリ2022」はカメラ記者クラブ主催の「カメラグランプリ2022」とは一切関係ありません。

ちなみにカメラ記者クラブはカメラグランプリのことを「世界で一番権威あるカメラ賞」と意味不明なことを本当に言っているので、この「真のカメラグランプリ」は銀河で一番権威あるカメラ賞と言っておきます。

■真のカメラグランプリ2022


真のカメラグランプリ2022の概要

真のカメラグランプリは代表理事の平原正隆が主催し、真のカメラグランプリ2022実行委員会運営のもと選考委員を1名を組織し、2021年04月01日〜2022年03月31日に発売された製品から各賞を選考しています。

真のカメラグランプリでは、

  • 大賞:期間内に発売されたスチルカメラの中から、優れた1機種を選考委員である平原正隆が選出するものです
  • レンズ賞:期間内に発売された交換レンズの中から優れた1本を選考委員である平原正隆が選出するものです
  • わたしが選ぶベストカメラ賞:平原正隆の投票によって選出されるものです

以上の合計3つの賞を設けています。

各賞の選考理由は選考委員である平原正隆の投票理由をもとに、カメラグランプリ実行委員会の平原正隆がまとめました。

大賞:ニコン Z 9

画像:Nikon(https://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_9/)
ニコン Z 9:選考理由

「真のカメラグランプリ2022 大賞」はニコン Z 9となりました。

Z 9が選ばれた理由としては、技術面においては「真のブラックアウトフリー」とも言えるReal-Live Viewfinderの搭載がに注目が集まりました。

従来のいわゆる「ブラックアウトフリー」と呼ばれていたEVFは、表示遅延は少ないものの原理的には旧来のEVFの進化版であったため、EVF表示映像と記録画像にわずかな時間差が生じることがありました。

また、短い時間とはいえレックビュー(撮影された画像)を表示させることで映像が途切れていないように見せる疑似的なものでした。

しかしZ 9で新開発されたReal-Live Viewfinderでは新開発されたデュアルストリーム技術によって、EVF表示と記録画像を並列処理することで、一定のシャッタースピード以上であればEVF表示と記録画像とのズレを無くし、レックビュー無しの「真のブラックアウトフリー」とも言えるEVF表示を実現しています。

また連写や記録画像設定に影響されず高品質な表示を続けられるという点もZ 9のEVFの価値を高めています。

動画性能に関しては8K UHD/30p動画の内部記録にも対応していますが、8K記録そのものではなく最長125分の記録が可能であることや熱による停止の心配が少ないといった安心感が評価されました。

赤色画面表示も魅力的な機能で、天体撮影などに配慮したこれまでにないメニュー表示や、ON・OFFで設定する項目は階層に潜らなくてもメニュー項目から階層をおりずに直接ON・OFFを切り替えることが可能になっており、ボタンカスタマイズや設定の表示方法などにも細やかな配慮がなされたUIが優れているという意見が出ました。

このようにZ 9は新機能こそあるものの、いずれも飛び道具的な革新性やインパクトを感じさせるものではなく、使い勝手にこだわった設計がなされています。

メカシャッター(物理シャッター)を廃するという大胆な決断に関しては「メカシャッターを無くすことがイコール撮影の利便性や映像表現を劇的に変えるものではない」という意見があったと同時に、VRロック機構なども合わせて耐久性をより高める可能性を秘めており、メカシャッターレスをフラッグシップ機で最初に実現したことに意味があるという意見もありました(全部私が言っているわけですが)。

それらを総合的に判断した結果、ややもすれば数字で表しやすいスペックや斬機能に注目が集まりることの多いカタログスペック偏重型の現代のカメラ業界の風潮に大きなアンチテーゼを突きつけ、実用性にこだわった点がZ 9が示したニコンの考える真の革新性であると評価されました。

Real-Live Viewfinderを実現するために敢えてEVFの解像度をこの価格帯としては低めのEVFを採用したことや、極端な小型化や軽量化を目指さず、どのような環境下でも信頼性と操作性を担保するためにボディサイズを無理に切り詰めなかったことなど、一歩間違えれば評価を下げられるリスクを恐れず、プロ機のあるべき姿とはなにか?ということをカメラファンに対して投げかけたと言えるでしょう。

ただしAF性能に関しては前フラッグシップ機となる一眼レフのD6や競合機のEOS R3と比較して劣る部分もあり、全てが完璧なカメラというわけではなく、AF及びAFと人を繋ぐインターフェースに関しては改善の余地がかなりあるように思います。

Z 9は従来のフラッグシップに多かった動体特化型のカメラというよりは、あらゆる撮影ジャンルで及第点をクリアできるバランス型のフラッグシップ機と言えるでしょう。

また細やかな設定ができる反面、その設定が他の性能にどういった影響を及ぼすかという点がユーザーにわかりにくい部分もあり、撮影者が自分に必要な設定を的確にできるかという技量が問われる機種でもあります。

フラッグシップ機であるZ 9はユーザー層も基本的にはハイアマチュアからプロフォトグラファーといった人になるわけですが、それでも尚それぞれの設定がどう影響を及ぼすのかが難解な部分もあり、「この機能を設定するとこういった現象が起こる場合があります」といった設定時の注意ポイントなどをわかりやすく喚起する配慮が求められるでしょう。

Z 9は価格面でも戦略的な設定がなされており、近年のミラーレス機の高級化路線に対する対抗姿勢を示したという面においても、Z 9がカメラ業界に与えたインパクトは強烈でセールスに大きく貢献したと思われますが、

  • カタログスペックより信頼性と実用性こそニコンのブランド価値
  • 新しい撮影体験を与えられない表層的なスペック競争にはくみしない
  • 高級化しすぎることで写真趣味への導入を阻害してはならない

こうした点で、Z 9はフラッグシップ機におけるニコンのカメラづくりの思想が強く現れたモデルとなっており、選考委員である平原正隆に高く評価され「真のカメラグランプリ2022」の大賞に選ばれました。

レンズ賞:キヤノン RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE

画像引用:Canon(https://cweb.canon.jp/eos/rf/lineup/rf52-f28l-dfe/eos-vr.html)
キヤノン RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE:選考理由

「真のカメラグランプリ2022 レンズ賞」に選ばれたのは、キヤノンのRF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYEでした。

各社のフルサイズミラーレス化が始まり当初はミラーレスのショートフランジバックを利用した画質向上やレンズの小型化の方に注力した設計のレンズが多く出てきました。

しかしRF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYEはそうしたレンズとは異なり、ショートフランジバックを利用した3D VR映像撮影のためのデュアル魚眼レンズという新しい試みを行っています

過去フィルム時代にも立体視を目的としたカメラや、デジタルカメラ時代にも3D撮影用のレンズ一体型カメラ(コンパクトデジタルカメラ)、交換レンズなどは発売されたことがありましたが、いずれもプロ用というよりは個人で楽しむためのものでした。

RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYEは8Kでのプロレベルの3D VRコンテンツの撮影を、斬新な発想によって実現したレンズです。

RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYEは双眼鏡のようなプリズム構成を利用することで、2つのレンズで生み出された60mmという視差を1つのイメージセンサーへと導入することで、これまで2台のカメラや2つのイメージセンサーで撮影していた3D VRの映像製作を大きく変えました。

RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYEはこれまで2台のカメラによる撮影では手間がかかっていた、レンズ位置調整・ピントの同期(MF)・色や明るさの同期・撮影後の映像の同期やステッチ作業といった処理が劇的に簡略化され、撮影から映像編集までの工程が大幅に削減出来るようになりました。

またカメラ、レンズ、記録メディア、固定具など様々な点でカメラ1台分で撮影が可能になったために、撮影機材全体のシステムとコストを劇的にコンパクトにすることに成功しています。

それでいながら8Kでの撮影にも対応しており、RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYEは低予算での3D VRコンテンツ制作に大きな変革をもたらしたと言ってよいでしょう。

VRコンテンツ制作用のプロ用レンズではあるものの、その斬新で実用的な発想が評価され、RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYEが、真のカメラグランプリ2022のレンズ賞に選ばれました。

わたしが選ぶベストカメラ賞:キヤノン EOS R3

Canon EOS R3/キヤノン EOS R3 01

キヤノン EOS R3:選考理由

投票の結果「真のカメラグランプリ2022 わたしが選ぶベストカメラ賞」に選ばれたのは、キヤノンのEOS R3でした。

EOS R3は非常に高速かつ高精度なAFを実現しており、人物であればマスクや前髪の状態に関わらず瞳を追随し、-7.5EVといった極めて暗い環境にも対応することで野生動物の撮影などにも強さを発揮するなど、被写体や環境に関わらず常に優れたAF性能を発揮し安定的に撮影を行える点が評価されました。

またEOS R3で再搭載された視線入力AFは、フィルム時代から劇的に進化し従来の測距点選択という概念を覆したと言ってよいでしょう。

近年のミラーレスカメラは画像認識技術の劇的な進化によって、AFの追随性が飛躍的に進歩し、撮影者とカメラの双方の考える被写体が一致している場合は測距点選択の煩わしさから解放され利便性が大きく向上しました。

反面、撮影者の意図と異なる部分にAFが食いついてしまうという問題が起きはじめました。

画像認識による被写体追随と指の操作による測距点選択では速度に大きな差があるため、撮影レスポンスの低下や素早い被写体では高い技術力を必要とする問題がありました。

EOS R3では視線入力に切り替えることで、被写体認識をしてほしい対象物をカメラ側に伝えるという特異な使い方が出来るため、従来の物理操作のように単に測距位置を変えるというだけでなく、被写体認識の弱点であった「撮影者の意図と異なる被写体を追ってしまった場合」に撮影者の意思をカメラに伝える架け橋ともなっています。

EOS R3の視線入力はカメラに撮影者の意思を伝えるにはどうしたら良いかという課題に一つの具体的な方法論を示したという点が高く評価されました。

またバッテリーグリップ一体型という報道用カメラの基本構造を押さえながらも、堅牢性と約1,015g(バッテリー、カードを含む)という軽量化を両立しており、一眼レフフラッグシップ機のメリットを維持したままミラーレス構造を利用することで利便性や携帯性の向上を実現しています。

そうした点や素晴らしい高感度耐性と合わせて、従来の一眼レフフラッグシップ機であるEOS-1D X Mark IIIからのユーザーのミラーレスへの移行にも十分に考えられた作りとなっており、レフ機の良さを可能な限り損なわず、ミラーレスのメリットを存分に活かした作りとなっている点も高く評価されました。

反面、Z 9同様このEOS R3も完全無欠のカメラというわけでは当然なく、

  • 低感度画質はEOS R5に負けている(と私は感じる)
  • ミラーレスで撮影可能枚数が落ちるにも関わらずバッテリーが大容量化されていない
  • メモリーカードがCFexpressのダブルスロットではない
  • 使いづらいMODEボタンとモード表示に改善が見られない
  • 対応アクセサリーが準備不足な状態でのホットシューの切り替え

といった後継機あるいは上位機での改善すべき点に関する意見も出ました。

EOS R3はコンセプトを明確化したことで競合機であるZ 9以上の動体撮影能力を持っているとともに、Z 9ほどのオールラウンダーではないため、おそらくは今後登場するであろう高画素機のEOS-R1とセットでラインナップを形成することでより存在価値を明確にする機種と言えるのかもしれません。

真のカメラグランプリ2022の選考を終えて

真のカメラグランプリ2022は(対象期間:2021年04月01日〜2022年03月31日)は、キヤノンとニコンからEOS R3とZ 9という北京冬季オリンピックを見据えたバッテリーグリップ一体型機種が出たことで大きな話題を呼んだ1年でした。

大賞を受賞したZ 9は質実剛健さによって実用性を高め、わたしが選ぶベストカメラ賞を受賞したEOS R3は革新性によって実用性を高めており、2社が異なるアプローチによってミラーレス時代のカメラの使い勝手を追求したことは興味深く、良い意味で審査員たち1名を悩ませました。

レンズに関しては今年は高級高画質なレンズだけでなく、手頃な価格帯で使い勝手に配慮された魅力的なコンパクトなレンズが充実した年となりました。

その中でミラーレスマウントの新たな可能性を示した斬新な設計のVR撮影用デュアル魚眼レンズ、RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYEがレンズ賞を受賞したことも印象的でした。

また今回「真のカメラグランプリ2022」では選考委員を1名に絞ったわけですが、49名の選考委員によるカメラ記者クラブ主催のカメラグランプリよりも有意義な選考がなされたことから、民主主義の課題をも浮き彫りになったように思います。

■「真のカメラグランプリ2022」代表理事・実行委員・選考委員 平原正隆

Reported by 平原正隆