2022年がカメラメーカー生き残りの分水嶺の年になる

真のカメラグランプリ 2022

皆さんこんにちは。

目次
  • 半導体不足は2023年以降は言い訳にできない
    • 半導体不足の対策を出来ていなければならない
  • 現在のシェアだけでは将来性はわからない
    • 伸びるか伸びないかは現在のシェアを見ても意味がない
  • 規模を維持しながら生き残れるのは上位2社だけ
    • カメラ業界で主流になれるのは2社だけ
  • 2022年に伸びるメーカー、落ちるメーカー予想
    • キヤノン:シェアも売上も伸ばし続けマウント規格も有利
    • ソニー:Eマウントの足かせさえなければ
    • ニコン:Z 9に続く中級機以下のヒットシリーズを出せるかが鍵
    • 富士フイルム:堅実に場所を作って行く独自戦略
    • オリンパス:もはや撤退戦をどうするかという段階
    • パナソニック:圧倒的動画全振りに賭けるしかない
    • リコー:船乗りは船と運命を共にするそうだ
  • もっとも熱い戦いはソニーvsニコン
    • ソニーがニコンを潰すか、ニコンがソニーの壁を打破できるか

というわけで、生き残るカメラメーカーが見えてくるであろう2022年について語っていこうと思います。

■半導体不足は2023年以降は言い訳にできない


半導体不足の対策を出来ていなければならない

「半導体不足で思ったように生産できなかったからシェアを落とした」という言い訳は2023年以降は通用しなくなります。

半導体が恒常的に不足することは電子機器を生産するメーカーであれば、数年前から予想できたはずで、2022年末になっても、「半導体不足で思うように生産が…」などと言っているようでは先見の明が無いと言わざるをえません。

■現在のシェアだけでは将来性はわからない


伸びるか伸びないかは現在のシェアを見ても意味がない

今後伸びるかどうかは現在のシェアを見てもほとんど意味がありません。

以下の表は有名なBCN AWARDのミラーレスのシェアの歴史ですが、2018年のBCN AWARD(2017年の年間シェア)ではオリンパスがトップシェア、2021年のBCN AWARD(2020年の年間シェア)でも23.4%あったわけですが、2022年のBCN AWARDではオリンパスはシェアを27.7%から12.7%へと半減以下となっており、わずか1年で急激に衰退している見て取れます。

発表年 1位 2位 3位
2022 ソニー 32.0%(+4.6%) キヤノン 28.2%(+4.4%) オリンパス 12.7%(-10.7%)
2021 ソニー 27.4 % キヤノン 23.8% オリンパス 23.4%
2020 キヤノン 30.9% ソニー 25.9% オリンパス 23.4%
2019 キヤノン 31.6% オリンパス 23.5% ソニー 22.7%
2018 オリンパス 27.7% キヤノン 21.3% ソニー 20.2%
2017 オリンパス 26.8% キヤノン 18.5% ソニー 17.9%
2016 オリンパス 34.5% ソニー 24.8% キヤノン 13.6%
2015 ソニー 34.3% オリンパス 22.3% パナソニック 11.9%
2014 オリンパス 28.9% ソニー 26.5% パナソニック 14.2%
2013 オリンパス 29.8% パナソニック 23.3% ソニー 20.1%
2012 オリンパス 36.6% パナソニック 29.3% ソニー 27.3%
2011 パナソニック 38.7% ソニー 32.2% オリンパス 29.1%

つまりマウントの将来性に対しては、現在のシェアそのものよりも、さまざまな要素を総合的に考慮する必要があります。

普通に考えればオリンパスは今後もシェアを落としていくでしょうから、業界で(主流のメーカーとして)生き残る可能性はかなり低いと言わざるを得ません。

ただし、OMデジタルソリューションズがすぐ無くなるとかそう言った意味ではありませんし、他のメーカーに対しても同様で、今回の話は今後「主流」メーカーとなれるかどうかという話です。

■規模を維持しながら生き残れるのは上位2社だけ


カメラ業界で主流になれるのは2社だけ

近年では先端技術が求められる業界で「まともに生き残れるのは上位3社」という通説がありますが、写真用カメラ業界はそこまで極端な先端技術といえる業界ではないものの、反面業界自体が斜陽であるため、主流メーカーとしてボディやレンズをコンスタントに発売し続けられるのはおそらく上位2社くらいでしょう。

現在のミラーレス時代ににおいては、ソニーとキヤノンが大きなシェアを築いています。

そのため生き残りの最有力候補はこの2社であるわけですが、先ほども申し上げたように現在のシェアだけで将来性を推しはかることは出来ません。

では生き残りの分水嶺となる2022年(※2022年で直接決着がつくという意味ではなく各メーカーの将来性がハッキリする年)、生き残りを確定させるメーカーはどこなのか?

 

■2022年に伸びるメーカー、落ちるメーカー予想


キヤノン:シェアも売上も伸ばし続けマウント規格も有利

キヤノンは主流となる生き残りメーカーの1社でほぼ確定です。

  • シェアの伸び
  • カメラ事業の売上及び利益
  • マウント規格の先進性
  • 技術開発・研究
  • 半導体工場の創設

あらゆる面で盤石の準備を整えており、負ける要素がないと言っても良いでしょう。

また、2022年は新機種シリーズ・新センサーの登場もほぼ確定しており、これまでキヤノン唯一のアキレス腱であったイメージセンサーの性能も自社開発・自社生産の裏面照射型積層CMOSセンサーをEOS R3から搭載できるようになったため、DxOのセンサーレーティングでも高感度耐性の項目でフルサイズセンサーでずば抜けたトップスコアを出しています。また遠からずクアッドピクセルデュアルクロスAFも採用してくるでしょう。

EOS R5で8K/30P、EOS R5 Cで8K/60Pにもいち早く対応し、静止画・動画共に先手を打ち続けています。

マウント規格も新しく恒常的な不足が懸念されている半導体も2023年から新工場を稼働予定で、主流として生き残る2社残るうちの1社はキヤノンでまず間違いありません

ソニー:Eマウントの足かせさえなければ

主流メーカーとして残る2つの席の1つをキヤノンがほぼ手中にしているため、残る1席を6社で争うことになるわけですが、事実上残り1席を争うのはやはりソニーかニコンでしょう。

主流たり得る開発力を持つのがキヤノン以外ではこの2社だけなのですが、ソニーの強みはやはりイメージセンサーをはじめとする電子技術でニコンに対して優位性をもっていることでしょう。

ミラーレスのシェアの上でも現時点ではソニーはニコンを圧倒しているわけですが、そのソニーが逆にニコンに対して不利な部分としては、

  1. マウント規格
  2. レンズ光学設計の自由度
  3. カメラボディの作り込み

これらになります。

1と2に関してはある部分では相関関係にあるわけですが、ここ数年Fマウントの呪縛から解き放たれたニコンは、マウント径やショートフランジバックを活かして次々と高画質なレンズを次々とリリースしています。

しかしソニーも一方的にやられているわけではなく、不利なマウント規格でありながら写りではトップクラスに追随できていますし、AF速度ではニコンに明確に勝っています。

ただこのマウント規格の不利というのは今後ずっと続くものですから、果たしていつまで光学設計でニコン・キヤノンに追随していけるかは悩ましい部分でしょう。

一番の解決策は口径を大きくした新マウントにすることですが、売れてしまったEマウントを捨てて新マウントにするという決断は、ソニーにはできないと思います。

とはいえレンズの画質だけでシステムの総合的な良し悪しが決まるわけではないので、そのほかの面でニコンに対して優位を保ち続けられれば問題ありません。

また、これまでもニコンの心臓を握っていたといえる高いイメージセンサー技術はそのままに、半導体不足にも対応予定が立てられているため、そう簡単にニコンに逆転は許さないでしょう。

あとはボディの作りをなんとかしないと、ニコンが今後Z 9のようなクオリティとコストパフォーマンスをもったボディをZ 8やZ 7IIIのようなクラスで出してくるようになると、ニコンがミラーレスでも再び2強を視野に入れてきてくる可能性は十分あります。

ニコン:Z 9に続く中級機以下のヒットシリーズを出せるかが鍵

ニコンは現状のミラーレスシェアではソニー・キヤノンにかなり水をあけられている状態です。

しかしNIKKOR Zレンズの評判は上々で、これまでまともなボディがなかったところにZ 9が登場したことで、近年やられっぱなしだったソニーに対して反撃の狼煙を上げたところです。

レンズに関しては画質面での心配は今後もないでしょうが、Z 9に続くボディのヒット作を中級機以下でもリリースできるかどうか、実際にそれを順調に生産できる体制を整えられるかがシェア獲得の鍵になってくるでしょう。

Z 9でミラーレスに対して開眼した印象は受けるため期待は持てますが、相変わらずミラーレス時代の心臓部と言えるイメージセンサーや画像処理エンジンの生産を他社に委ねざるを得ないという状況は懸念材料です。

しかし、Z 9以降明らかに風向きは変わってきたというか、ニコンには追い風が吹いており、実際にミラーレスの販売ランキングにもトップ10に入ることが増えてきていますから、十分な期待が持てると思います。

富士フイルム:堅実に場所を作って行く独自戦略

富士フイルムは富士フイルム自身主流メーカーになるという気持ちはあまりないでしょうから、一定の強固なファンを今後も維持し続けられるかが生き残りの鍵となるでしょう。

富士フイルムのコンセプトは明快で、またAPS-Cとミディアムフォーマットという2本柱ですから、これら、特に中判の方をジワジワと浸透させ続けられるかが富士フイルムがミラーレス業界において息の長いメーカーになれるかどうかの鍵となりそうです。

オリンパス:もはや撤退戦をどうするかという段階

オリンパスというかOMデジタルソリューションズは、規格的にももう正直将来性はないと思います。

技術力は高くカメラ自体が悪いわけではありませんが、一般の人がスマートフォンのカメラで十分となり、カメラマニアしか残っていない現在のカメラ業界では、マイクロフォーサーズマウントというだけで買い控えられてしまうので、機種の出来の良し悪しに関わらずOMデジタルソリューションズは厳しい立場にあります。

ミラーレス黎明期にカメラ女子を相手に無理のあるマイクロフォーサーズマウントで売れてしまったことがオリンパスのカメラの歴史にとっては致命傷となってしまいました。

スマートフォンが登場しなかったとしても、他社がフルサイズ対応マウントでミラーレスに続々と参入してきた時点で、時間の問題でオリンパスはこうなっていたでしょう。

2021年の1年間で国内シェアを10%以上下げてしまったことからも、もうカメラファン層の多くがオリンパスの未来に期待していないことは明白で、立て直すことは相当困難でしょう。

しかし根強いマイクロフォーサーズファンもいるため、何かしら特徴を出せれば細く長く生き残っていくことは不可能ではないのかもしれません。

パナソニック:圧倒的動画全振りに賭けるしかない

パナソニックはマイクロフォーサーズマウントに関してはOMデジタルソリューションズと似た立場というか、より厳しい状況ではありますが、パナソニックはフルサイズ対応マウントをもっているため、Sマウント次第では動画一点に特化したメーカーとして生き残れる可能性はあるかもしれません。

ただその動画に関しても、もうソニーとキヤノンが十分すぎるほどに強く、加えてコントラストAFという弱点を抱えているパナソニックとしては、動画需要においてもここから生き残るのは相当な頑張りが必要です。

パナソニックの場合は初期のイメージセンサーとAFの開発方針で大きく方向性を間違ってしまい、有機CMOSイメージセンサーやDFDといった研究開発を続けた結果、他社に完全に遅れをとってしまいました。

パナソニックの開発陣にもっと先見の明がある技術者がいればこのようなことにはならなかっただろうと思うと残念ですが、ほぼ同時期にレンズ交換式カメラ業界に参入し、当時は同じ家電メーカーというイメージが強かったソニーが裏面照射積層CMOSセンサーや像面位相差AFに注力して成功したわけですから、

ソニー開発陣>パナソニック開発陣

であったことは結果が証明しているため、パナソニック開発陣が企画・開発面で競合他社に劣っていたことは揺るぎない事実です。

今後はパナソニックがどれだけお客さんの意見を素直に聞き入れて製品に反映できるかにかかっていると思いますが、どうなることやらといった感じです。

具体的にはSマウントの動画性能に開発力を全投入して、「動画撮影だけを目的とするならLUMIS Sシリーズはいいね」というブランドイメージを作り上げていくしかないでしょう。

リコー:船乗りは船と運命を共にするそうだ

リコーはもう潔く「一眼レフでいく」という方針を打ち出していますし、カメラ業界の主流になることは完全に諦めているでしょうから、開発リソースを考えても、この方向でコツコツとやっていくしかないでしょう。

レンジファインダーを作り続けて生き残ったライカのように、いつかリコーが最後の一眼レフメーカーとして細々と生き残ってくれることに期待したいと思います。

そのためには現在のコスパ路線から、高級一眼レフブランドへとイメージを変えていく戦略が必要かもしれません。

 

■もっとも熱い戦いはソニーvsニコン


ソニーがニコンを潰すか、ニコンがソニーの壁を打破できるか

結局のところどのメーカーが主流メーカーとして生き残るのか考えた場合に、現実的に可能性があるのは、

  1. キヤノン
  2. ソニー
  3. ニコン

この3社だけでしょう。

そして先に話したようにキヤノンはほぼ生き残りを確定させているので、残る1席はソニーvsニコンとなります。

ソニーは今後もニコンを全力で潰しにかかるでしょうし(商売として)、ニコンはソニーに先行されているイメージのあった動画やAFを巻き返し、レンズやボディの作りでソニー以上の価値を見せられるかに今後の展開がかかっているでしょう。

現状ソニーがニコンに明確に優っている点としては、

  • シェア
  • ラインナップ
  • AF速度

などで、対するニコンの優位点は、

  • 光学設計の優位
  • マウント規格の将来性
  • プロ用ボディの経験値

などになるでしょう。

果たしてソニーとニコン、どちらが主流カメラメーカーの最後の1席を獲得できるのか?

また富士フイルム・オリンパス・パナソニック・リコーはいかに独自性を打ち出して生き残っていくのか?2022年の展開に注目です。

 

Reported by 平原正隆