キヤノンから3本のティルトシフトレンズが発表されました。50mm、90mmはリニューアル、さらに135mmが追加されたことで、商品撮影などにもさらに強いラインアップとなりました。
そこで今回はこの新レンズを加えたTS-Eレンズの比較をご紹介します。
■TS-Eレンズ比較
TS-Eレンズの魅力
TS-Eレンズはいわゆるアオリレンズと呼ばれるものに属するレンズで、ティルト機構やシフト機構を搭載しています。
ティルト機構とはレンズを傾けることが出来る機構で、これを利用することで通常絞りを絞っても得られない難しい深い被写界深度を実現したり、逆に遠景など絞りを開けてもぼかすのが難しい状況であっても浅い被写界深度を実現することが出来るようになります。
そのため、例えば風景撮影では手前か無限遠までピントの合った撮影を行ったり、商品撮影では小さな商品のクローズアップでも商品全体にピントを合わせた撮影を行うことが可能になります。
シフトはレンズを水平・垂直方向にずらしてパースペクティブをコントロールすることが出来る機構で、これを利用することで例えば普通に撮影すると上すぼまりに写ってしまってような高層建築物を上すぼまりにならないように撮影することなどが可能です。
TS-Eレンズ比較表
レンズ | 絞り枚数 | 最小絞り | 最短撮影距離 | 最大撮影倍率 | フィルター | ティルト | シフト | 最大径×長さ | 質量 |
TS-E17mm F4L | |||||||||
12群18枚 | 8枚 | 22 | 0.25m | 0.14倍 | 取付不可 | ±6.5° | ±12mm | 88.9×106.7 | 820g |
TS-E24mm F3.5L II | |||||||||
11群16枚 | 8枚 | 22 | 0.21m | 0.34倍 | 82mm | ±8.5° | ±12mm | 88.5×106.9 | 780g |
TS-E50mm F2.8L マクロ | |||||||||
9群12枚 | 9枚 | 32 | 0.273m | 0.5倍 | 77mm | ±8.5° | ±12mm | 86.9×114.9 | 945g |
TS-E90mm F2.8L マクロ | |||||||||
9群11枚 | 9枚 | 45 | 0.39m | 0.5倍 | 77mm | ±10° | ±12mm | 86.9×116.5 | 915g |
TS-E135mm F4L マクロ | |||||||||
7群11枚 | 9枚 | 45 | 0.486m | 0.5倍 | 82mm | ±10° | ±12mm | 88.5×139.1 | 1110g |
待望のTS-E135mm F4L マクロも登場!
新TS-Eレンズシリーズは絞り羽根の枚数が9枚となっており、最近のキヤノンは絞り羽根を8枚から9枚へと増やす傾向にあるようです。
またTS-E135mm F4L マクロが登場したことも大きなトピックでしょう。商品撮影などではパースペクティブを意図的に残す場合もあれば、徹底してパースペクティブを消したいというケースもあります。
商品撮影を行うカメラマンなどから、「90mmでもまだ(焦点距離が)短い」という意見がありましたから、TS-E135mm F4L マクロはそうしたカメラマンにも人気が出そうです。
非常にマニアックなレンズですが、こうしたレンズまでラインアップ出来るのがキヤノンの大きな強みなのかも知れません。
画像:Canon
Reported by 正隆