
皆さんこんにちは。
東京2020オリンピックが遂に開幕しました。果たして東京2020でプロに選ばれたのはどのメーカーなのか?そしてミラーレスはスポーツ報道の現場でどのくらい普及しているのか?
分かりやすくするために、上の画像はカメラマンの顔を色分けしています(カメラが見えず不明な人は無着色)。
- キヤノンユーザー→赤色
- ニコンユーザー→黄色
- ソニーユーザー→水色
上記のようになっており、カメラメーカーが判別できるカメラマンが計43人、メーカーシェアはそれぞれ、キヤノン(30人)、ニコン(11人)、ソニー(2人)でした。
となります。
また、東京2020オリンピックを撮影したプロフォトグラファー、のべ352人の使用カメラを調べたところ、
- キヤノン:210人(59.7%)
- ニコン:110人(31.2%)
- ソニー:32人(9.1%)
という結果となりました。
※全てのフォトグラファーをチェック出来ているわけではないので、ある程度誤差はあると思っておいて下さい。
目次
- スポーツカメラマンは今もキヤノン・ニコンが主流
- 相変わらず強かったキヤノンとニコン
- ソニーαはキヤノン・ニコンの寡占市場を切り崩せたか?
- スポーツプロフォトグラファーのミラーレス化の現状
- スポーツ市場のミラーレス化は2022年以降急速に進む
- ソニーは何を変えるべきなのか?
- これからのプロ機市場で起こること
- ネット上に溢れる多くのデマ
- αは何を改善すればいいのか?
- ソニーの将来はユーザー次第
- スポーツ撮影用カメラの「一体型・分離型論争」にも決着
- αのフォトグラファーたちが証明したバッテリーグリップ一体型の正当性
- ソニーのデザインが古めかしくなる前に
- 東京2020オリンピック、カメラメーカーたちの戦いが終わって
- キヤノン vs ニコン vs ソニー、3社の対決の結末は?
果たして東京2020オリンピックでプロカメラマンはたちはどこのメーカーを使ったのか?そしてキヤノン・ニコンの牙城に挑んだソニーの挑戦の結果やいかに?
天下分け目の大決戦、ここに決着!
■スポーツカメラマンは今もキヤノン・ニコンが主流
相変わらず強かったキヤノンとニコン
結果は一目瞭然、オリンピックのプロフォトグラファーたちは相変わらずキヤノンとニコンで大半を占め、その中にソニーがちらほらという感じでした。
大方の予想通り、最多はやはりキヤノンでした。
今回のオリンピックではニコンの不調(という世間のイメージ)もあって、キヤノンのシェアはかなり高くなるかと思っていましたが特にそういった印象はなく、横ばいといったところでしょう。
理由としてはニコンは粘り強く健闘したことと、一部ソニーが入ってきたことが要因でしょう。
とはいえ今回の調査でも、キヤノン・ニコンが依然としてプロ機市場において絶大な地位を維持していることが分かります。
オリンピックを撮るようなフォトグラファーは、目先の噂話で右往左往してマウントを変えたりしないということなのかもしれません。
今後は2社のミラーレスプロ機EOS R3とZ 9の投入によって、キヤノンがシェアを拡大するのか、あるいはニコンが巻き返すのかも注目されます。

【上の画像では、一列目手前から、(スマホの手前の人物は白レンズですがキヤノンかソニーか判定不能でカウントせず)、キヤノン、ニコン、ニコン、キヤノン(ニコンの後ろでレンズだけが見えています)、ソニー、ニコン、ニコン、ニコン、ニコン、キヤノン、(ビデオカメラを挟んで)、キヤノン、ソニー、キヤノン、ニコン、キヤノン、二列目手前から、キヤノン、ニコン(座っている女性カメラマンの足元にニコン超望遠レンズ)、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ソニー、キヤノン、ニコン(スマホを見ている女性カメラマンの手にニコン機)、ニコン、(ビデオカメラを挟んで)、キヤノン、ニコン、三列目手前から、キヤノン(スマホを見ている女性の後ろの男性)、キヤノン、キヤノン、(ビデオカメラを挟んで)、ニコン、四列目手前から、キヤノン(スマホを手に持って帽子をかぶっている男性)、キヤノン、(ビデオカメラを挟んで)、キヤノン(一見ニコンに見えますがレンズ交換中で黒く見えるだけでストラップがキヤノン)、五列目手前がキヤノン(右側に一人離れて座っている人で超望遠レンズのフードがキヤノン)で、合計34人(キヤノン19人、ニコン12人、ソニー3人)です】
またキヤノン・ニコンが全体の大勢を占める中で、ソニーを使っているフォトグラファーもおり、逆に言えばその3社しか見つけることは出来ませんでした。
これは予想できたこととは言え、その3社以外にも超望遠レンズは出しているのですが、多少望遠レンズを出してみたとか、連写に強いカメラを出してみたといったくらいでは、スポーツフォトグラファーの市場に食い込むことは難しいということなのでしょう。

【上の画像では、左からニコン、ニコン、キヤノン、ニコン、キヤノン、ニコン、ソニー、キヤノン、ニコン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ニコンとなっており、合計13人(キヤノン6人、ニコン6人、ソニー1人)です】
オリンピックではスナップ撮影(競技以外にも会場の雰囲気などの撮影)なども行われますが、富士フイルムのX-Tシリーズらしきカメラを使用しているフォトグラファーが1人いたのですが、富士フイルム機であるという確信は持つには至りませんでした。

【上の画像では、左からキヤノン、キヤノン、キヤノン(座っている人)、ニコン、キヤノン、キヤノン、ニコン(右端ギリギリ)で、合計7人(キヤノン5人、ニコン2人)です】
ソニーαはキヤノン・ニコンの寡占市場を切り崩せたか?
今回のオリンピックでカメラファンたちが最も注目していたのは、キヤノン・ニコンの寡占状態にあったスポーツ市場にソニーがどこまで切り込んでいけたのか?という点だったでしょう。

【上の画像では一列目左から、ニコン、キヤノン、ニコン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ニコン、キヤノン、二列目左から、ソニー、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ニコン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ソニー、ニコン、キヤノン、三列目左から、ソニー(左端にレンズ先端だけが見えている人)、キヤノン、ソニー、キヤノン、キヤノン、ニコン、キヤノン、キヤノン、四列目左から、キヤノン、キヤノン、ニコン、五列目左から、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ニコン、キヤノンで、カメラが判別できるのが合計36人(キヤノン24人、ニコン8人、ソニー4人)です】
レンズ交換式カメラ参入から15年、フルサイズミラーレス、特にα9あたりからソニーはスポーツの現場でプロフォトグラファーに使ってもらえるようにかなり積極的にアピールし、超望遠レンズの拡充や通信の強化などさまざまな改良を行なってきました。
そしてα9 II、α1とさらに性能を進化させていったのですが、使用状況を見る限り、キヤノン・ニコンの牙城を崩すには至らなかったようです。
【上の画像では中継の画面キャプチャーなので不鮮明ですが、レンズのデザインやペンタ部分の形状、ストラップとボディのシルエットから、キヤノンとニコンのフラッグシップ一眼レフと判別できます。奥の列左からキヤノン、キヤノン、ニコン、ニコン、ニコン、キヤノン、キヤノンなので、合計7人(キヤノン4人、ニコン3人)です】
それでも2016年のリオデジャネイロオリンピックではソニー機を使うプロフォトグラファーはほとんどゼロであったことを考えれば、わずかなりともスポーツフォトグラファーのプロ市場に食い込めたということは凄いことだと思います。
それだけガチガチにキヤノンとニコンで固められていた岩盤市場でしたから。

【上の画像では、画面手前から、キヤノン(ギリギリ左端にボディだけがみえています)、キヤノン、キヤノン、ニコン、キヤノン、ニコン、キヤノンで、合計7人(キヤノン5人、ニコン2人)です】
その反面で、α9 II、α1、いずれもカタログスペックは非常に優れていたわけですから、今回の東京2020の結果は、ソニーが期待したほどの成果ではなかったのかもしれません。
カタログスペックではキヤノン・ニコンに劣っていないことを考えれば、オリンピックフォトグラファーにとってはαはまだプロが求める操作性や堅牢性に欠けているという評価なのかもしれません。
勿論一般的な使用であればそこまでの堅牢製を気にする必要はないと思いますし、今のαは脆弱なカメラではありませんが、そうした部分はαの得意分野とは言えないこともまた事実でしょう。

【上の画像では、一列目手前から、ソニー、キヤノン、キヤノン、二列目手前から、ニコン、キヤノン、ニコン、三列目手前から、キヤノン(ストラップで分かります)、ニコン、ニコン、ニコン、キヤノンとなっており、合計11人(キヤノン5人、ニコン5人、ソニー1人)です】
またシェアの大半を占めたキヤノン・ニコンのプロフォトグラファーたちも、一眼レフフラッグシップ機をメインカメラにしており(EOS R5もちらほら見られましたが、メイン機ではなかった)、プロフォトグラファーが使用するカメラには信頼に値する実績も求められているということが分かります。

【上の画像では奥から、ソニー、ソニー、キヤノン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ニコン、ニコン、ソニーとなっており、合計11人(キヤノン6人、ニコン2人、ソニー3人)です】
EOS R5はスペック的にはEOS-1D X Mark III以上の部分も多いのですが、それでも多くのキヤノンユーザーのスポーツフォトグラファーたちがメイン機をEOS-1D X Mark IIIにしていたことからも、プロ機は単純なカタログスペックだけでは語れない(※本当はどのカメラでもそうなのですが)ということがわかります。

【上の画像では、東京2020にまだ未発売のEOR 3がテスト投入されている様子です。EOS R3はEOS-1D Xシリーズの次世代機として、2022年の冬季オリンピックあたりから活躍していくのでしょう】
余談ですが、この仕様表や公式サイトの性能アピールで書かれないような部分を評価できるかどうかが、本物のマニアとにわかを分ける境界で、皆さんにはそういう部分を意識してカメラを見て欲しいと思います。
それがわからないまま仕様表とずっと睨めっこしていても、一生カメラに詳しくなることは出来ません。
■スポーツプロフォトグラファーのミラーレス化の現状
スポーツ市場のミラーレス化は2022年以降急速に進む
東京2020オリンピックで使われたカメラは、その多くがキヤノン・ニコンの一眼レフでした。
ちなみに2017年02月16日、つまり今から4年半前に「ミラーレスはプロカメラマンの仕事に使える?使えない?」という記事を書き、そこで冒頭以下のように書いています。
“いずれはミラーレスが様々なジャンルのプロカメラマンにとって一般的になると思いますが、少なくとも2020年の東京オリンピックでは一眼レフが明らかな多数派、2022年の冬季北京オリンピックでもまだ一眼レフが少し多いでしょう。
2024年のパリオリンピックあたりではミラーレスが逆転していていると思いますが、逆にいうと、スポーツのプロカメラマンのミラーレスへの移行はそれだけ時間がかかるだろうということです。“
今見てもほぼ当たっていたと思います。

【上の画像では、左からキヤノン、キヤノン、ニコン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ニコン、キヤノン(ストラップがキヤノン)で、合計9人(キヤノン7人、ニコン2人)です】
その記事を執筆した当時は一眼レフの方が出荷台数・出荷金額とも多く、同時にミラーレスが勢いを増していたこともあり、ミラーレス派 vs 一眼レフ派の論争が激しい時代でした(私個人は一眼レフもミラーレスも好きですし、現在はミラーレスのEOS R5をメインに使っています)。

【上の画像では、左からソニー、キヤノン、ソニー、ニコンで、合計4人(キヤノン1人、ニコン1人、ソニー2人)です】
そうしたミラーレス派と一眼レフ派の対立が激しかった時代背景もあり、「2020年の東京オリンピック(※当時はコロナ禍で1年延期になるとは誰も思っていなかった)では、一眼レフがまだ主流であるはずだ」という内容のこの記事に対して、当時ミラーレス信者と思しき方から辛辣な批判のメールなども頂戴いたしました。
メールの内容を読んだ感じでは初心者の方だったと思いますし、その方が今もカメラ趣味を続けているのかまでは分かりませんが、それだけカメラ話に熱くなれるというのは素晴らしいことだと思います。皮肉ではなくて本当に。

【上の画像では、左からキヤノン(左上にレンズが先端が見ています)、キヤノン(帽子の人の上にキヤノン超望遠レンズのフード下部が見えています)、キヤノン(薄紫の帽子の人の周辺にキヤノン製レンズの4本重なっています)、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ソニー(カーキの帽子の人)、キヤノン(その後ろ)、ソニー、キヤノン(この人の周辺に3本固まって見えます)、キヤノン、キヤノン、ソニー(レンズにGマーク)、ソニー(フード先端にシナバーオレンジライン)、ソニー、ニコン、キヤノン、キヤノン、キヤノン(メガネの人)、キヤノン、ニコン、キヤノン、キヤノン、キヤノンで、合計24人(キヤノン17人、ニコン2人、ソニー5人)です】
ところで、実際の結果はどうだったでしょう?
コロナ禍で1年間開催がズレたにも関わらず、2021年現在もオリンピックの主役は一眼レフであり、4年半前の私の予想は当たっていたようです。
ただ今後EOS R3やZ 9が登場することも分かっており、2022年以降、報道やスポーツカメラマンの市場も急速にミラーレス化が進んでいき、2023-2024年以降は大規模スポーツイベントでも、ミラーレスが主流になっていくでしょう。
■ソニーは何を変えるべきなのか?

【上の画像ではプレスセンターで、左端の床に置かれているのが上面液晶が小さいことから恐らくEOS R5(EOS R6は上面液晶がない)かと思いますが、それ以外は殆どが一眼レフとなっており、この写真ではニコンの一眼レフが沢山写っています】
これからのプロ機市場で起こること
長らく寡占状態にあったスポーツ市場でキヤノン・ニコン以外のメーカーを使うプロが出てきたことは喜ばしいことですが、EOS R3やZ 9が発売されるようになれば、今大会でαを試してみたスポーツフォトグラファーたちもまたキヤノンやニコンに戻る可能性が高いと思います。
そのため、来年2022年の冬季オリンピックか夏のワールドカップくらいまではαがスポーツフォトグラファーの市場で微増する可能性はあると思いますが、このままのコンセプトを続けるのであれば、2023年を境に、2024年以降αを使うスポーツフォトグラファーはAマウント時代のように減少していくと思います。
いや、もっと言うならプロのほとんど全てのジャンルで2024年以降、αは現在よりもシェアを落としていくと思います。
そしてその最大の要因となるのは、キヤノンにシェアを奪われることでしょう。

【上の画像では、ネットの手前の右側から、キヤノン、ニコン、ニコン、キヤノン(女性カメラマンで肩のストラップにキヤノンロゴが見えます)、ニコン(その奥のの女性カメラマン)、ニコン、キヤノン、ネットの後ろ右側から、ニコン、ニコン、キヤノン、ニコン、ニコン、ビデオカメラを挟んで、ニコン、キヤノン、キヤノン、ニコン、キヤノン、ニコン、キヤノンで、合計19人(キヤノン8人、ニコン11人)です】
既にEOS R5がプロフォトグラファー市場で急速に普及しており(コマーシャル・フォト誌の調査、フォトグラファー白書において、2020年にプロフォトグラファーが「今年一番購入した機種」と「一番欲しい機種」の双方でEOS R5が1位に選ばれています)、スポーツフォトに関しても2022年以降、EOS R3が急速に普及していくと考えられます。

【上の画像では一列目手前から、キヤノン、ニコン、ニコン、二列目手前から、キヤノン(一番手前に立って写り込んでいる人の足元にキヤノンのレンズ)、ニコン、ニコン(手に持っているカメラと足元に倒しておいてあるニコン機)、で、合計6人(キヤノン2人、ニコン4人)です】
個人的にはEOS R3にスポーツ市場のシェアを取られていくのは、あまりにも予定調和的ですごく嫌(※キヤノンが嫌いという意味ではありません)なので、Z 9やα9 IIIやα1 IIには頑張って欲しいと思っています。
そして今回のこの予想は、先ほど話した「東京オリンピックでは一眼レフがまだ主流」という4年半前の予想ほど待つ必要はなく、3年後の2024年のパリ夏季オリンピックで動向が分かるはずです。

【上の画像では水泳競技のものですが、見えているのは2本ともキヤノンの超望遠レンズです】
そのため、ソニーとしては早い段階で何らかの手を打たないと、折角少し風穴を開けたプロ市場を、再びキヤノンとニコンに塞がれてしまうでしょう。
私はこれまでも特殊な意見を言ってきたわけではありませんし、普通のプロなら大抵の人が感じることを書いてきたはずです。
そもそも私の考えが珍しいものではなく、プロフォトグラファーの多くが私と似たような考えだったから、
- 東京2020オリンピックで主流はまだ一眼レフである
- オリンピックフォトグラファーの主流はキヤノン・ニコンのままである
という予想は的中したわけです。

【上の画像では、左からキヤノン、ニコン、ニコン、キヤノン、ニコンとなっており、合計4人(キヤノン2人、ニコン2人)です】
ネット上に溢れる多くのデマ
逆に「東京オリンピックではミラーレスが過半数かも」とか「ソニーが一番多いかも」と本気で思っていた人がいたとすれば、それは単にその人が、敬虔なソニー信者なのだろうという気がしますが、特定のメーカーが好きというのは個人の自由なので全然構わないと思います。

【上の画像では、左からキヤノン、ニコン、ニコン(カメラを掲げている人のストラップ)、キヤノン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ニコン、キヤノン(カメラを脇に抱えている人アイカップの形状から分かる)、キヤノンとなっており、合計11人(キヤノン8人、ニコン3人)です】
ただここ数年ネット上では「○○のプロがこぞってソニーに乗り換えてる」とか「俺の周りのカメラマンも皆αに変えている」というような言説を時々見かけるのですが、どこのパラレルワールドの話でしょうか?
私の知っている全てのジャンルで、スチールのプロフォトグラファーの最多は明らかにキヤノンで、次いでニコン、三番手にソニーです。
なので、なぜプロのふりをしてまで「プロが皆んなαに変えている」などという嘘を言いふらしているのか理解に苦しみますが、結局その手の話はいつも証拠が伴っていません。
「嘘も百回言えば真実になる」とでも思っているのでしょうか?
なりませんし、それを言ったナチスのヨーゼフ・ゲッベルスは最後は自殺しています。嘘はやめましょう。
また数年前から聞く話に「テニスやゴルフは音がうるさい一眼レフは禁止されてαだらけ」というのもあります。本当に?
下の画像は昨年2020年09-10月の間に行われたテニス世界四大大会の一つ、「全仏オープンテニス」の様子です。

【全仏オープンテニスの様子(※勿論この画像のメーカーシェアは今回のオリンピックのメーカーシェアには含んでいません)。一列目左手前から、キヤノン(帽子をかぶったカメラマン)、キヤノン、ニコン、ソニー、キヤノン、ニコン、ニコン、キヤノン(一番上ギリギリに写り込んでおりレンズがキヤノンのテレコン内蔵レンズです)、二列目左手前から、キヤノン、キヤノン(グレーの帽子の人)、キヤノン(緑のニット帽の人)、ニコン、キヤノン(足元に立てています)、ニコンとなっており、合計14人(キヤノン8人、ニコン5人、ソニー1人)です】
ソニーを使っているのは14人中の1人でシェアは約7.1%です。これのどこがαだらけなのでしょうか?
それどころか禁止されているはずの一眼レフだらけです。つまりテニスやゴルフがαだらけというのも完全にデマです。この手のデマを熱心に流しているのは一体どういう層なのでしょう。

【上の画像では、左からキヤノン、ソニー、ニコン、ソニー、キヤノン、ニコン、キヤノン、ソニー(カバーがかかっていますがシナバーオレンジのリングが見えています)、キヤノン、ニコン、キヤノンとなっており、合計11人(キヤノン5人、ニコン3人、ソニー3人)です】
また大手メディアでさえ(この記事は朝日新聞)、「五輪のカメラに異変 ミラーレスに脚光、「新興勢力」が存在感」こんなふわっとした内容の記事を時々見かけます。
しかしこの朝日新聞の記事の内容も結局は、
“世界的な通信社のAP通信は昨年、カメラ機材をすべてソニー製にすると発表している。”
といったような、良くあるネット上の話をそのまま転載しているだけで、ソニーがプロフォトグラファーにキヤノンやニコンと同程度に使われているという具体的な数字は一つも示されていませんでした。
そのような事実が無いので、根拠の示しようがないのです。
またカメラメーカーもカメラメーカーで(ソニーに限らず)、「多くのプロに使って頂いています」といった話をよくしていますが、自社のプロサービスの会員数が世界全体で何人いるかといった明確な数字を出せなければ、そんなものは単なるメーカーの願望に過ぎません。

【上の画像では、画面手前から奥に向かって、ニコン、キヤノン、キヤノン、キヤノン(首のストラップがキヤノン)、キヤノン、キヤノン、キヤノン(迷彩柄のレンズになっている後ろのもう一人の迷彩柄のレンズの人、シャッターボタンの形状からキヤノンとわかる)、キヤノン(一番奥で左にレンズを向けている人)、キヤノン、ニコン、ニコン、ソニー(ストラップがソニー)、キヤノン、ニコン、ソニー(帽子をかぶった女性)、キヤノン(その女性の肩越しにしゃがんでいます)、ニコン、キヤノン、ニコン、ニコン、ニコン、となっており、合計21人(キヤノン11人、ニコン8人、ソニー2人)です】
αは何を改善すればいいのか?
ソニーがαシリーズをより多くのスポーツフォトグラファーに使って貰いたいと思っているのであれば(※思っていなければ必要ありません)、α9が発売された2017年から言っていますが、以下の3点を必ず直すべきです。
- バッテリーグリップ一体型ボディにする
- 過酷な環境でも操作しやすい常識的な大きさにする
- 上面の専用ダイヤルなどの操作系を現代的に変える
2.の大きさについては、そもそもα自体が代を重ねるごとに少しずつ大きくなっていますし、小さいものを大きく作ることは小型化よりも容易なのでそれほど心配する必要はないと思います。
問題はソニーにノウハウがほとんど無いに1と3でしょう。しかしオリンピックやワールドカップでさらにαを使って貰いたいのであれば、早急に実現しなければなりません。

【上の画像では黒つぶれが多く判別しづらいですが、ピンクのシャツの方がニコン機のように見えます。それ以外はカメラの上面液晶、レンズ、ストラップなどから、右側の白レンズの人はキヤノン一眼レフ、その下のしゃがんで上を見上げている人もキヤノン一眼レフ、さらにその下の人はカメラが顔に隠れおりメーカー不明、左側一番目立っている人はストラップからキヤノン、その上のカメラを構えずにメダルを見ている人はダイヤルとカメラの形からキヤノンと思われます】
開発を始めてすぐにカメラができるわけではないですし、初めての一体型ボディを一世代でまともなものを出すのは難しいので、ソニーは本当に今すぐ一体型ボディで、かつ全く新しい操作系のカメラの開発を始める必要があります(というより既に開発を始めていなければ間に合わないでしょう)。
EOS R3やZ 9が普及してから開発を始めたのでは手遅れになるからです。
ソニーの将来はユーザー次第
ソニーファンの方には、本当の意味でソニーのためになるアドバイスをしてあげて欲しいと思います。
そうすればソニーもバッテリーグリップ一体型のαを開発するかもしれませんし、また上面のゴチャゴチャしたダイヤル類もやめてスピーディーな撮影に適した現代的なレイアウトを採用するかもしれません。

【上の画像では正面を向いていたり人の影になっている人もいるので見え辛いですが、判別が確実に可能な人は、左から、ソニー(正面にレンズを向けている人、ストラップがソニー)、ソニー、ソニー、キヤノン、キヤノン(重なっていて一脚を肩に当てて正面に向かって持っている人)、キヤノン(一脚の人の手前)、キヤノン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ニコン、キヤノン、キヤノン(右端レンズのみ)、キヤノン(右端レンズのみ)で、合計13人(キヤノン10人、ニコン1人、ソニー3人)です】
また逆に「自分は今の分離型のままの方が持ち運びやすくてありがたい」とか「クラシックなダイヤル操作の方が好きだ」という人は、それはそれで全然良いと思いますから、そういった方は逆にそうした要望をソニーに出すと良いでしょう。

【上の画像ではで左から、ニコン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ニコン、キヤノン(一番手前のニコンの人の下の方を見ると一列奥の人が足元にキヤノンのレンズを置いています)で合計6人(キヤノン4人、ニコン2人)です】
私はプロ機が万人に良いカメラとは全く思いませんし、むしろさまざまなカメラのありようがあって良いと思います。
例えば「友達と遊びに行く時に一緒に自撮り出来るカメラが欲しい」という高校生に、「プロ機が一番性能がいいんだ、最初から一番いいのを買っておくべきだ」とフラッグシップ機と大三元を勧める人がいたら、その人はちょっと頭が弱い人だと思います。
なので、ここで言っているのはあくまで、スポーツフォトグラファーのプロ市場にソニーが進出したいと考えているという前提の話です。
■スポーツ撮影用カメラの「一体型・分離型論争」にも決着
αのフォトグラファーたちが証明したバッテリーグリップ一体型の正当性
また一時あれほど論争になった、「フラッグシップ機は一体型と分離型、どちらが正しいのか?」という話は一体何だったのでしょう?

【上の画像では前後に重なっていますが、左からニコン、キヤノン、ニコン、ソニー(カメラは見えませんが右手の下の方にソニーのストラップが見えています)、ニコン、キヤノン、キヤノン(レンズ鏡筒が黒いのはパーマセルを巻いているせいでストラップがキヤノンです)、キヤノン、キヤノン、ニコン、ニコン、キヤノンで、合計12人(キヤノン6人、ニコン5人、ソニー1人)です】
この記事のいくつもの画像からも分かりますが、αを使っているフォトグラファー全員がバッテリーグリップを付けて撮影しています。
ゆえにこの「一体型・分離型」論争はここに完全に決着したと言えます。それはスポーツ撮影のプロ機はバッテリーグリップ一体型が正しいということです。
実際にαを使用しているスポーツフォトグラファーが、バッテリーグリップを常用しているのですから。
大体、超望遠レンズをつけて1日に1万枚を超えるような撮影をするのに、バッテリーグリップを使わない意味がないでしょう?使わない方がよほど不便なのに。

【上の画像では、左からニコン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ニコンのフラッグシップ一眼レフで、合計5人(キヤノン3人、ニコン2人)です】
ソニーのデザインが古めかしくなる前に
勿論スポーツ用のプロ機以外は分離型のままで良いと思いますが、そうした機種でも、上面のダイヤル操作は早く現代的な操作系を採用していかないと、気付いた時には古臭いデザインのメーカーになってしまいます。

【上の画像では、左からでニコン、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ニコン、合計5人(キヤノン3人、ニコン2人)です】
富士フイルムのようなクラシックデザインそのものが売りで「撮影の過程も楽しんで下さい」というようなスタイルを提唱しているようなメーカーはそれで全然良いのですが、先進性を売りにしているソニーのようなメーカーには、あの操作系は将来必ず足かせになるので早急に改善する必要があります。
これも一体型ボディと同じで、一世代で理想的なものを作るのは難しいので、早く変えて経験を積むべきです。
例えばEOS R3がクラシックデザインだったら、カメラのコンセプトとしておかしいでしょう?そういうことです。
■東京2020オリンピック、カメラメーカーたちの戦いが終わって
キヤノン vs ニコン vs ソニー、3社の対決の結末は?
アスリートたちにとっての東京2020オリンピックは始まったばかりですし、カメラメーカーにとっても会場サポートはまだまだこれから大変になっていくわけですが、オリンピックでのシェア争いという意味では結果は既に出ました。

【上の画像では、画面手前左から、ニコン(レンズ先端が見えている)、キヤノン、キヤノン、ソニー、キヤノン、キヤノン、キヤノン、ソニー、ニコン、ニコン、キヤノン、ニコン、キヤノン、キヤノン、ニコン、キヤノン、ニコン、キヤノンで、合計18人(キヤノン10人、ニコン6人、ソニー2人)です】
最後にこの記事の全ての画像を集計(※EOS R3単体の画像とメーカーの判別が不可能な人、全仏オープンテニスの画像を除く)してみたことろ、写っていたプロフォトグラファーたちのメーカーシェアをオリンピック風に表すと、
- 金メダル:キヤノン:210人(59.7%)
- 銀メダル:ニコン:110人(31.2%)
- 銅メダル:ソニー:32人(9.1%)
という結果となりました。
2022年の冬季五輪までは半年しかありませんから、このシェアに大きな変化はないと思いますが、2024年の夏季五輪においてどう変動しているのかが注目されます。
また3年後、2024年のパリ夏季オリンピックで答え合わせをしましょう。
では!
画像引用元:Getty Images
Reported by 正隆