アンダーウォーター・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー2017の受賞作品が発表されましたのでご紹介します。
扉カットとなっている写真は「アウト・オブ・ザ・ブルー」と言う作品で、撮影はニック・ブレークさんによるものです。
この作品はメキシコユカタン半島のセノーテ・チャックモールという陥没穴を撮影したもので、洞窟の暗闇に光が差し込むことで壮麗な光のカーテンが生まれるシーンを撮影しています。
■アンダーウォーター・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー受賞作品
この作品を撮影したのは水中写真家のガブリエル・バラシューさんで、撮影地はインド洋の小島とのこと。
ガブリエルさんはこのショットを得るために、水深が30cmになる春の干潮時を待ったとのこと。タコに広角レンズでギリギリまで近づき、ダイナミックな写真となっています。
デーブ・ペーカーさんによるスペイン領カナリア諸島のエル・イエロ島海洋保護区のダイビングスポットで撮影されたサメの写真です。
サメの写真を撮影するのは怖くないのでしょうか。凄いです。
こちらはフランシス・ペレスさんが撮影したアシカの写真で、メキシコのロスイスロテスで撮影されました。
撮影時イワシの大群を追うアシカの写真を撮影する予定だったそうですが、肝心のイワシがいなかったためペレスさんは「ついていない」と感じていたそうですが、幼いアシカがヒトデをくわえたりはなしたりして遊んでいる面白いシーンに遭遇したそうです。
フランシス・ペレスさんは水中で4時間もの時間をかけ、少しずつ距離をつめてアシカの警戒心を解きながらこの撮影を成功させたそうです。凄い執念です。
この写真はグレッグ・ルクールさんが撮影したもので、スペイン領カナリア諸島、テネリフェ島のダイビングによって撮影されたものだそうです。
早朝のことで太陽光が海面から差し込んでいるところを、ウミガメが近寄ってくるまで待ってシャッターを切ったとのこと。グレートですね。
まるで太古の世界から現れたようなこの大迫力のウミイグアナを撮影したのはダミアン・マウリクさんです。
ガラパゴス諸島で撮影されたとのことで、かつてチャールズ・ダーウィンがこのウミイグアナを「モンスター」と表現したそうですが、まさにこのウミイグアナは恐竜を彷彿とさせます。
ウミイグアナはガラパゴス諸島の固有種で、今では絶滅が危惧されているとのこと。「この希少な生物と水中の瞬間を共有できたことはめったにない恩恵だ」とダミアンさんは語っています。
この写真を撮影したクリストフ・ラペーゼさんは「クジラの子どもと遊ぶという一生に一度の瞬間のため、私はフランス領ポリネシアで丸1週間を費やそうと決めた」と語っています。
クリストフさんはある朝クジラの母子が、水深15メートルの場所で静かに眠っているのを発見しました。体重は6トン、体長は6メートルにも及ぶ子クジラは驚くほどやんちゃだったそうです。
アメリカ陸軍航空軍のB-17Gフライング・フォートレスは1944年にヨーロッパ爆撃の際に撃墜されクロアチアのビス島への侵入中に不時着しました。この時アーネスト・ビエンノー副操縦士が戦死し、生き残った他の搭乗員は救命ボートで脱出したとのこと。
第2次大戦で使われたこの有名な爆撃機の見事な残骸は水深72メートルの地点に今もその形を残して眠っています。
この撮影を成功させたスティーブ・ジョーンズさんは、相棒のアンディ・マロビックさんとともに綿密な打ち合わせの末にこの撮影を行ったそうです。
深い水深のためにチャンスは1度しかなく、潜水時間も限られていたためワンチャンスを完璧にものにした二人の達成感はさぞ大きなものだったでしょう。
最後はニコラ・チミテラさんの撮影によるリュウグウノツカイです。海洋国家である日本人は魚に非常に詳しいため知っている方も多いと思いますが、リュウグウノツカイが実際に泳いでいるシーンは希少で、ニコラさんもリュウグウノツカイを実際に観察できたのはこれが初めてであったそうです。
浮上していくプランクトンを追って深海から上がってきたこの個体は、数十秒ほど姿を現したのちすぐに闇の中へと去って行ったとのこと。
撮影は夜に行われたとのことですが、写真を見るだけでも怖いような神秘的なような、摩訶不思議な雰囲気が漂っており、実際に目撃した時の驚きはさぞ大きなものであったでしょう。
どれも傑作水中写真と呼べる素晴らしい作品ばかりで、撮影者の技術と努力に感心させられます。
Reported by 正隆