最近、BCNランキングなどを見ていると、EOS Kiss Mが良く売れている、というのを見かけることが多くなってきました。
そこでBCNランキングの売り上げTOP50をミラーレスカメラに限定してカウントし、現在のどのメーカーのミラーレスが売れているのか?をチェックし、各メーカーのシェアを概算してみました。
というわけで、今回は、2018年のミラーレスのシェア動向について考えてみたいと思います。
■ミラーレスカメラの市場シェア予測
ミラーレスの売れ筋ランキングに点数を付けていく
BCNランキングは、全国の家電量販店やECサイトのPOSデータからカメラの実売台数を集計したものですが、このランキングの「レンズ交換式カメラ」部門の売れ筋TOP50(集計期間:2018年04月30日-05月06日)に点数を付けて算出していきます。
【条件】
- TOP50機種(レンズキット等バリエーション含む)をカウント
- レンズ交換式カメラのうち、ミラーレスカメラのみを抽出
- TOP50の売れ筋の1位であれば50点、2位なら49点、3位なら48点という風に、順位が上のものから高得点としてカウント
- その合計点からシェアを概算
順位、メーカー、機種数、合計点、シェア
順位 | メーカー | 機種数 | 合計点 | シェア |
1位 | キヤノン | 11機種 | 268点 | 36.1% |
2位 | オリンパス | 10機種 | 266点 | 35.8% |
3位 | ソニー | 7機種 | 156点 | 21.0% |
4位 | パナソニック | 1機種 | 37点 | 5.0% |
5位 | 富士フイルム | 1機種 | 15点 | 2.0% |
もちろんこの方法で現在の確実なシェアやまして通年でのシェアが分かるわけではありませんが、今回の調べではオリンパスを僅差でかわしたキヤノンがシェア1位となりました。
EOS Kiss Mが非常に売れている
キヤノンはTOP50に11機種(レンズキットバリエーション含む)をランクインさせていますが、なんとこのうちの6機種がEOS Kiss Mとなっており、EOS Kiss Mは他のマーケティング会社のランキングの方でも上位にランクインしていることから、現在非常に売れているのは確かなようです。
また、EOS Kiss Mには、
という多くのボディとレンズキットのバリエーションがあり、加えてそれぞれにブラックとホワイトのカラーバリエーションもありますが、流石にボディ単体はあまり売れていないものの、その他のレンズキットのバリエーションは満遍なく売れているようです。
■他社はEOS Kissのブランドに対抗できるのか?
果たして2018年のミラーレス市場シェアはどうなるのか?
ちなみに、BCNランキング2018(2017年分)のミラーレスのシェアは、以下のようになっています。
- オリンパス:27.7%(前年比0.9%)
- キヤノン:21.3%(前年比2.8%)
- ソニー:20.2%(前年比2.3%)
しかしもしかすると、このEOS Kiss Mなどの勢いをみると、キヤノンは2018年はミラーレスカメラでもシェア1位を獲得し、一眼レフ、ミラーレス、コンパクトデジタルカメラの全てを制覇する可能性が高くなってきたように思います。
強すぎるキヤノン+EOS Kissのブランド力に、他メーカーは対抗できるのだろうか?
BCNランキングは、6月下旬ごろに上半期の市場シェア1位が発表されますから、それに注目したいところですが、現時点ではキヤノンとオリンパスがミラーレスのシェア1位を僅差で争っているようです。
なぜキヤノンは一眼レフの圧倒的なシェアがありながら、ミラーレスでもこれほど売れるのでしょう?
その理由のの一つとして、一般ユーザーの多くが、「メーカーを横断的に見て、自分の用途にあった機種を選ぼう」とは考えず、「まずメーカーを決め、その中から具体的な機種を選んでいこう」という傾向にあるという点があります。
そのため、キヤノン+EOS Kissという強大なブランド力を前に、他メーカーが対抗できないという状況が、ミラーレスでも生まれているのではないか?と考えられます。
これまで「EOS Kiss」というブランドは、
- 一眼レフの中から選ぼうと考えている人
- 一眼(レンズ交換式カメラ)の中から選ぼうとで考えている人
この2つのイメージを持って来店するお客さんに対して絶大なブランド力を発揮していましたが、「ミラーレスの中から選ぼうと考えている人」に対しては、キヤノンと言えどもそれなりに対等に近い立場で他のメーカーと戦ってきました。
しかし、ミラーレスに「EOS Kiss」のブランドを持ち込んだことで、それも崩れつつあり、
- 一眼(レンズ交換式カメラ)という括りで考えて来店する人
- 一眼レフという括りで考えて来店する人
- ミラーレスという括りで考えて来店する人
その全てが、EOS Kissというブランド力に引っ張られているのではないかと考えられます。
市場シェアが一社独占状態になるのはカメラ業界にとって良いこととは思えませんので、他のメーカーにも頑張って欲しいところですが、これはカメラの性能というよりは、買う側の先入観の問題であり、ブランディングの戦いなのでしょう。
Reported by 正隆