SankeiBizの記事によると、2020年のレンズ交換式カメラの各社生産台数は、
- キヤノン:276万台(ミラーレス:105万台/一眼レフ:171万台)
- ソニー :115万台(ミラーレス:115万台/一眼レフ:ーーー)
- ニコン : 90万台(ミラーレス : 25万台/一眼レフ:65万台)
であったとのことです。そこで今回はこの話題です。
■レンズ交換式カメラ全体の傾向
順位 | メーカー | 合計 | ミラーレス | 一眼レフ |
1位 | キヤノン | 276万台 | 105万台 | 171万台 |
2位 | ソニー | 115万台 | 115万台 | ———- |
3位 | ニコン | 90万台 | 25万台 | 65万台 |
ミラーレス市場の勢力図
ミラーレス市場ではソニーがトップシェアとなっており、それをEOS R5やEOS R6が好調なキヤノンが追っているという状況のようです。
市場全体では、ミラーレスの2020年生産台数は290万台でキヤノン・ソニー・ニコンの合計が245万台で、残り45万台がその他のメーカーですから、ソニー・キヤノンとニコンの間に恐らくは富士フイルムが入っていると思われますが、レンズ交換式カメラ全体でのトップ3の数字を元に記事が作られているためか、富士フイルムの生産台数は記載されておらず、一眼レフでも台数を持っているニコンを含めた3社の比較となっています。
ニコンは25万台とミラーレスでは2社と比較すると大きく数量で劣るものの、事実上全機種がフルサイズ機と考えれば、今後は高付加価値製品を中心にゆるやかに台数を伸ばしていけるのであれば、ニコンとしては事業計画のうちと言えるのではないかと思います。
私はカメラ市場が利益重視の高級機ばかりになるのは、写真文化の裾野を狭める行為であり、今マニアを相手に一時的な利益の先食いを出来たとしても、将来的には少子高齢化社会のような逆ピラミッド構造になってしまうため(もうなっていますが)、カメラ業界の未来を考えれば、利益にならなくてもエントリー機は全メーカーで一定量作り続けるべきだと思っていますが、メーカーもマニアも経営の話ばかりしているのでまあ難しい気はします。
一眼レフ市場の勢力図
一眼レフ市場においてはキヤノンが171万台と2位のニコン(65万台)に対しダブルスコアでトップとなっています。
ニコンとしてはこの一眼レフのユーザーを上手くZマウントに誘導しつつZマウントのシェアを拡大できればといったところでしょう。
キヤノンの171万台分の一眼レフユーザーはミラーレスに移行する際、多くがそのままRFに移行するのではないかと思われますが、ニコンの65万台の一眼レフユーザーがZマウントに行くのかは不透明です。
素直にZマウントに行くのか、あるいは長年のライバルであったキヤノンに行くのか、はたまた現在険悪な関係のソニーに行くのか、その動向は興味深いところです。
レンズ交換式カメラ全体の傾向
レンズ交換式カメラ(ミラーレス+一眼レフ)というくくりで見ると、
- キヤノン:276万台(ミラーレス:105万台/一眼レフ:171万台)
- ソニー :115万台(ミラーレス:115万台/一眼レフ:ーーー)
- ニコン : 90万台(ミラーレス : 25万台/一眼レフ:65万台)
ということで、生産台数ベースでは相変わらずキヤノンは2位のソニーにダブルスコア以上の差をつけて一強状態にあります。
今後どのようにEOS Rシリーズのラインナップを拡張していくのか?またα1やZ 9に続くフラッグシップ機となるEOS-R1がどのような機種として登場するかは興味深いところです
ニコンはもっと評価されるべき
キヤノンとニコンとパナソニックを仕事で使っている身としては、現行機の「デフォルトの」画作りは、かつてニコンが苦手としていたポートレートでさえニコンがもっとも好ましいと思っています。
キヤノンは「ピクチャースタイルエディター」でピクチャースタイルの設定を調整するとかなり良くなるので、使い勝手などもあって今は頻度としてはEOS R5で撮影する機会が一番多いのですが、EOS R5がピクチャースタイルエディターで相当入念に調整した方が良い(と私は感じている)のに対し、ニコンは「ピクチャーコントロールユーティリティ」を使わずに(実際には使うわけですが)、カメラ内のピクチャーコントロールの設定だけでもかなり理想的な画に近づけることができます。
パナソニックはとにかく動画が素晴らしく、動画は専門ではない私の用途というか使用レベルでも、レタッチもなくカメラの設定だけで使えるとても使いやすい画作りがなされています。
仕事で使っているキヤノン、ニコン、パナソニック以外もソニーやペンタックスを所有しているのですが、(好みの差やそれぞれの機能的な特徴はあるにせよ)デフォルトの設定であれば、JPEGをそのまま使うにせよ、RAW現像するにせよニコンが一番楽に仕上げられると感じます。それだけニコンの画作りが巧みなのでしょう。
実際使ってみてニコンの「写真(画像でも)になった時の良さ」を多くの人に知ってもらい、ニコンには復活して欲しいと願っていますし、優れた画作りが出来ているメーカーが落ち目扱いされているのは、メーカーの問題ではなくカメラを評価する側がおかしいのです。つまりニコンではなく我々の問題です。
参考:SankeiBiz
Reported by 正隆